2016年、あなたの発電所はどのぐらい発電していましたか?
2016年も終わり、一年間の発電量が出ました。
1月から12月まで公開してきた各月の発電データから、岐阜県、三重県、愛知県の平均発電量をまとめました。ぜひ、お手元に電気料金の明細や発電モニター、計算用の電卓をご用意いただき、あなたの発電所と比べてみてください。
発電量のデータは、昨年同月との対比が必要なためソラサポで設置していただいたお客様の発電量を1年以上、遠隔監視をしたものです。周囲に影となる建物が出来るなど発電量に影響を与える変化のない発電所を対象としています。
発電量を比較してわかること 発電量の比べ方
公開データとあなたの発電量を比較することで、異常の早期発見や、無駄なメンテナンス費用の回避ができます。
- あなたの設置場所と【近い地域】で比べてみましょう。
- あなたの発電所と【同規模】で比べてみましょう。
- 【1kWあたりの発電量】で比べてみましょう。
- 【昨年の発電量】との割合を比べてみましょう。
*予想発電量は、傾斜面日射量×太陽光パネル設置容量(kW)×各種係数(パワコン変換効率、温度係数など)
で計算することができます。
この記事では、天候の目安として「日照時間」のデータを記載しております。
日射量ではありませんのでご注意ください。
1. 2016年各月の発電量と天気
各月の個別ページをご覧になりたい方は下記のリンクからご確認ください。
岐阜県・三重県・愛知県の太陽光発電の発電量と天気のデータ | ||
---|---|---|
2016年1月 | 2016年2月 | 2016年3月 |
2016年4月 | 2016年5月 | 2016年6月 |
2016年7月 | 2016年8月 | 2016年9月 |
2016年10月 | 2016年11月 | 2016年12月 |
2. 2016年の天気
2016年は4月の熊本地震、8月の台風など災害がありました。
太陽光発電に関することでは、9月、10月と日照時間が少なく、発電量が少なかったという人も多いのではないでしょうか。
気象庁は、2016年(平成28年)の天候の特徴を以下のとおりに発表しています。
- 高温が持続し、年平均気温は東日本以西でかなり高く、北日本で高い
北日本の秋を除き、全国的に高温傾向が続き、年平均気温は、東・西日本、沖縄・奄美でかなり高く、北日本でも高かった。特に東日本では、平年差+1.0℃と1946年の統計開始以降で2004年と並び、最も高かった。年降水量は、北日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美でかなり多く、北日本日本海側でも多かった。年間日照時間は北日本と東日本日本海側で多く、西日本日本海側、西日本太平洋側で少なかった。- 8月に北日本に4個の台風が上陸
北日本では、8月に台風第7号、第11号、第9号、第10号が相次いで上陸し、大雨や暴風となった。特に北海道と岩手県では記録的な大雨となり、河川の氾濫、浸水害、土砂災害などが発生した。- 秋に西日本で顕著な多雨寡照
秋は、低気圧や前線、台風の影響を受けやすく、西日本中心に全国的に日照時間が少なかった。西日本では、降水量もかなり多かった。
(引用元:気象庁 報道発表資料『2016年の天候』より)
今年は全国的に高温傾向で、特に東日本では統計開始以来1位タイとなる平年差+1.0度になったようです。
8月の台風だけでなく、秋も西日本では降水量が多く、日照時間が少なかったとのこと。
太陽光発電はお天気商売。なるべく日照時間は長くなって欲しいものです。
それでは、岐阜県、三重県、愛知県の日照時間と発電量を見ていきましょう。
3. 岐阜県の日照時間と発電量
岐阜県の日照時間(今年と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、岐阜県内の観測地点における今年の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
岐阜 | 2134.5 | 102% | 101% |
高山 | 1689.1 | 104% | 104% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
岐阜県の観測地点に置ける日照時間(2016年)
観測地点 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
岐阜 | 日照時間 | 173 | 179 | 229 | 163 | 212 | 158 | 182 | 238 | 102 | 156 | 161 | 180 |
平年比 | 108 | 109 | 122 | 83 | 106 | 99 | 109 | 118 | 65 | 90 | 103 | 113 | |
高山 | 日照時間 | 95 | 128 | 174 | 167 | 210 | 150 | 151 | 195 | 99 | 125 | 101 | 94 |
平年比 | 99 | 114 | 115 | 96 | 116 | 105 | 103 | 108 | 80 | 99 | 102 | 106 |
観測地点 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
岐阜 | 日照時間 | 173 | 179 | 229 | 163 | 212 | 158 | 182 | 238 | 102 | 156 | 161 | 180 |
平年比 | 108 | 109 | 122 | 83 | 106 | 99 | 109 | 118 | 65 | 90 | 103 | 113 | |
高山 | 日照時間 | 95 | 128 | 174 | 167 | 210 | 150 | 151 | 195 | 99 | 125 | 101 | 94 |
平年比 | 99 | 114 | 115 | 96 | 116 | 105 | 103 | 108 | 80 | 99 | 102 | 106 |
(日照時間:h 平年比:%)
2016年1月〜12月の日照時間をまとめたものが上の表です。
4月、9月、10月が平年を下回っており、特に9月の「岐阜」の日射量は少なくなっています。
逆に2月、3月、5月、8月は日照時間が平年より長いので、年間としては平年をやや上回っています。
「高山」と比べて「岐阜」の方が440h以上、日射時間が長いので、同じ岐阜県内でも発電量に差が出てきそうです。
それでは、岐阜県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
岐阜県の発電量(今月と昨年の比較)
2016年1月〜12月までに算出した、「岐阜県に設置された太陽光パネルの月間発電量」をまとめました。
※元となるデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年 | 66 | 78 | 108 | 99 | 139 | 108 | 106 | 117 | 97 | 108 | 62 | 66 | 1153 |
2016年 | 74 | 87 | 123 | 105 | 124 | 107 | 116 | 131 | 78 | 87 | 70 | 71 | 1173 |
昨年比 | 112 | 112 | 114 | 106 | 89 | 99 | 110 | 112 | 81 | 80 | 114 | 107 | 101.7 |
(発電量:kWh 昨年比:%)
岐阜県の発電量は昨年比で約1.7%増、という結果になりました。
日射時間の短かった5月、9月、10月は2015年よりかなり下回りましたが、他の月がほとんど上回っており、年間発電量としては2015年より多くなりました。
岐阜県に設置された太陽光パネル1kWあたりの、年間発電量は「1172.6kWh」です。
あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 1172.6 × 8.0 = 9380.8(kWh)
2016年の年間発電量は、9380.8(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
4. 三重県の日照時間と発電量
三重県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、三重県内の観測地点における今年の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
津 | 2143.6 | 104% | 105% |
上野 | 1886.8 | 107% | 110% |
尾鷲 | 1942.2 | 100% | 103% |
四日市 | 1992.3 | 102% | 103% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
観測地点 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
津 | 日照時間 | 173 | 168 | 224 | 169 | 210 | 139 | 214 | 270 | 110 | 137 | 146 | 184 |
平年比 | 106 | 107 | 127 | 89 | 110 | 92 | 122 | 128 | 71 | 83 | 91 | 107 | |
上野 | 日照時間 | 147 | 143 | 177 | 153 | 220 | 128 | 193 | 228 | 103 | 120 | 141 | 134 |
平年比 | 119 | 122 | 123 | 90 | 125 | 95 | 126 | 121 | 75 | 83 | 106 | 99 | |
尾鷲 | 日照時間 | 178 | 183 | 198 | 158 | 191 | 120 | 179 | 209 | 79 | 112 | 158 | 179 |
平年比 | 99 | 108 | 107 | 86 | 110 | 93 | 115 | 119 | 61 | 79 | 104 | 100 | |
四日市 | 日照時間 | 160 | 170 | 212 | 166 | 209 | 131 | 185 | 242 | 96 | 117 | 138 | 167 |
平年比 | 105 | 116 | 122 | 90 | 110 | 88 | 116 | 128 | 66 | 75 | 88 | 106 |
(日照時間:h 平年比:%)
2016年1月〜12月の日照時間をまとめたものが上の表とグラフです。
4月、6月、9月、10月が平年を下回っており、9月の「尾鷲」は平年比61%でした。
逆に5月、7月、8月は平年以上だったため、年間としては平年をやや上回りました。
同じ三重県でも「津」と「上野」では250h以上差がありました。
地域や、山や海など周囲の状況によっても天候に差がありますね。
それでは、三重県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
三重県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年 | 69 | 80 | 120 | 105 | 152 | 106 | 114 | 122 | 100 | 110 | 65 | 67 | 1198 |
2016年 | 73 | 89 | 122 | 113 | 135 | 107 | 126 | 140 | 80 | 83 | 72 | 71 | 1212 |
昨年比 | 107 | 112 | 111 | 108 | 89 | 101 | 110 | 115 | 80 | 76 | 111 | 106 | 101.1 |
(発電量:kWh 昨年比:%)
三重県の発電量は昨年比で約1.1%増、という結果になりました。
5月、9月、10月は2015年を大きく下回りましたが、他の月でほとんど上回ることができました。
特に8月は昨年比15%増と、もともと多い発電量がさらに増え、昨年以上に発電しました。
三重県に設置された太陽光パネル1kWあたりの年間発電量は、「1211.8(kWh)」です。
あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 1211.8 × 8.0 = 9694.4(kWh)
2016年の年間発電量は、9694.4(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
5. 愛知県の日照時間と発電量
愛知県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が岐阜県内の観測地点における、今年の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
名古屋 | 2168.2 | 104% | 103% |
伊良湖 | 2251.6 | 102% | 106% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
観測地点 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名古屋 | 日照時間 | 186 | 184 | 233 | 176 | 214 | 154 | 183 | 236 | 102 | 144 | 168 | 190 |
平年比 | 109 | 108 | 123 | 89 | 108 | 109 | 111 | 118 | 67 | 85 | 103 | 110 | |
伊良湖 | 日照時間 | 180 | 189 | 227 | 180 | 207 | 148 | 224 | 290 | 112 | 136 | 161 | 197 |
平年比 | 100 | 108 | 118 | 91 | 105 | 95 | 116 | 124 | 68 | 82 | 97 | 109 |
(日照時間:h 平年比:%)
2016年1月〜12月の日照時間をまとめたものが上の表とグラフです。
「名古屋」と「伊良湖」どちらの観測地点でも、平年比、昨年比ともやや上回りました。
4月、9月、10月はかなり平年より短くなってしまいましたが、3月、8月は逆に平年を上回りました。
月ごとの発電量ではバラつきがありましたが、年間日射時間ではおおよそ平年並みといえます。
それでは、愛知県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
愛知県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年 | 73 | 84 | 108 | 97 | 138 | 106 | 105 | 113 | 93 | 111 | 63 | 69 | 1159 |
2016年 | 76 | 87 | 121 | 107 | 122 | 102 | 113 | 122 | 76 | 81 | 67 | 71 | 1146 |
昨年比 | 105 | 103 | 112 | 111 | 89 | 97 | 108 | 108 | 81 | 73 | 107 | 103 | 98.9 |
(発電量:kWh 昨年比:%)
愛知県の発電量は昨年比で約1.1%減、という結果になりました。
3月、4月は昨年を10%以上上回ったものの、5月、9月、10月の発電量が昨年よりかなり少なかったため、年間発電量としては昨年をやや下回りました。
特に10月は、昨年の発電量が多かったこともあって、差が大きくなっています。
愛知県に設置された太陽光パネル1kWあたりの年間発電量は、「1146.2(kWh)」です。
あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 1146.2 × 8.0 = 9169.6(kWh)
2016年の年間発電量は、9169.6(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
2016年の天気と発電量のまとめ
さて、あなたの発電所はいかがでしたでしょうか?
1月〜12月まで発電データが揃っているという方は、実際に計算してみてください。発電量を12ヶ月分足して、パネルの設置容量で割るだけです。
1kWあたりの年間発電量はいくつでしょうか?
- 愛知県の平均:1140kWh
- 岐阜県の平均:1170kWh
- 三重県の平均:1210kWh
900kWh以下になる場合、何か問題があるのかもしれません。
- データが12ヶ月分揃っていない
- 影がかかる
- 機器(パネル、パワコン)に異常がある
- 抑制がかかっている
機器の異常や抑制は解消できる場合があります。
いつ頃からどのぐらい発電量が少なくなっているのか、確認してみてください。
抑制について詳しくは「売電収入ダウン!パワコンの電圧抑制・温度抑制での損失を最小限にする方法」をご覧ください。
発電量の「多い・少ない」は、比較する対象と、算出の基準によって変わります。
シミュレーションよりも発電量が多くても、他の似た条件の発電所と比べると少ない、ということもあり得ます。
太陽光発電を長期・安定稼働させるためには、次の3つが絶対に必要です。
- 発電量の見える化(どれだけ発電しているか)
- 発電量の監視(今、発電しているか)
- 他所との比較(比べて少なくないか)
この3つを実行することで、発電量に関してより正しい評価をすることができます。
また、無駄なメンテナンス費用を投入することも回避できますので是非実行してみてください!