今月の発電量、少なくないかな?2月だからしょうがないのかな?
もしかしてこんなことを考えていませんか?
確かに、冬の発電量は春〜夏と比べると少なくなります。
しかし、それが日照時間が理由なのか、発電所の故障が理由なのかは、他の人の発電量と比べてみないと分かりません。
この記事では、岐阜県、三重県、愛知県に設置された太陽光発電(地面設置)の月間発電量のデータを設置パネル容量・パワコン容量とともに公開しています。
発電量のデータは、昨年同月との対比が必要なためソラサポで設置していただいたお客様の発電量を1年以上、遠隔監視をしたものです。周囲に影となる建物が出来るなど発電量に影響を与える変化のない発電所を対象としています。
発電量を比較してわかること 発電量の比べ方
公開データとあなたの発電量を比較することで、異常の早期発見や、無駄なメンテナンス費用の回避ができます。
- あなたの設置場所と【近い地域】で比べてみましょう。
- あなたの発電所と【同規模】で比べてみましょう。
- 【1kWあたりの発電量】で比べてみましょう。
- 【昨年同月の発電量】との割合を比べてみましょう。
*予想発電量は、傾斜面日射量×太陽光パネル設置容量(kW)×各種係数(パワコン変換効率、温度係数など)
で計算することができます。
この記事では、天候の目安として「日照時間」のデータを記載しております。
日射量ではありませんのでご注意ください。
1. 2016年2月の天気
2016年2月は、それほど寒さもなく暖かい日が多かったですね。
雪は降りませんでしたが、雨がまとまって降っていたのが印象的です。
気象庁は、2016年(平成28年)2月の天候の特徴を以下のとおりに発表しています。
- 北・東日本は高温、西日本と沖縄・奄美では平年並だった
全国的に気温の変動が大きかったが、北・東日本では、中旬に南からの暖かい空気が流れ込んだため、月平均気温が高くなった。西日本と沖縄・奄美では、月平均気温は平年並だった。- 全国的に降水量が多かった
低気圧や前線の影響を受けやすく全国的に月降水量は多く、北日本日本海側ではかなり多かった。- 日本海側の降雪量は全国的に少なかった
冬型の気圧配置は長続きせず、日本海側の降雪量は全国的に少なかった。
(引用元:気象庁 報道発表資料『2月の天候』より)
今年の2月は雪は少なかったものの、全国的に雨が多かったようです。
日射時間を左右するのが、雨や曇りの日数。
太陽光発電のことを考えると、なるべく晴れの日数が多い方が嬉しいですね。
それでは、岐阜県、三重県、愛知県の日照時間と発電量を見ていきましょう。
2. 岐阜県の日照時間と発電量
岐阜県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、岐阜県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
岐阜 | 178.8 | 109% | 108% |
高山 | 128.4 | 114% | 119% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「岐阜」は平年より9%増、「高山」は14%増になりました。
昨年の岐阜の日照時間は、平年比101%だったので、2015年2月の発電量を基準にして考えるといいかもしれません。
「高山」は「岐阜」より日照時間が約50時間少ないので、比較する際は注意してください。
それでは、岐阜県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
岐阜県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
安八郡 | 44.00 | 39.6 | 3910.6 | 112% |
安八郡 | 59.00 | 49.5 | 4953.5 | 111% |
安八郡 | 50.00 | 49.5 | 4418.5 | 108% |
揖斐郡 | 44.52 | 39.6 | 3480.8 | 113% |
揖斐郡 | 53.04 | 49.5 | 4866.0 | 113% |
揖斐郡 | 33.18 | 29.7 | 2770.2 | 117% |
大垣市 | 26.00 | 29.7 | 1972.8 | 121% |
大垣市 | 40.28 | 29.7 | 2212.8 | 113% |
加茂郡 | 18.50 | 16.5 | 1822.5 | 113% |
土岐市 | 34.00 | 29.7 | 3432.1 | 110% |
中津川市 | 63.60 | 49.5 | 5625.7 | 118% |
羽島郡 | 63.00 | 49.5 | 6818.5 | 108% |
本巣市 | 15.90 | 15.4 | 1361.1 | 112% |
本巣市 | 20.14 | 19.8 | 1755.9 | 107% |
岐阜県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 87.4 | 112% |
岐阜県の発電量は昨年比で約12%増、という結果になりました。
12月、1月よりもやや発電量が多くなっています。
もし、発電量がガクッと少なくなっていたら原因を把握してください。
もしかしたら機器が知らないうちに故障している可能性があります。
表の一番下には、「岐阜県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
岐阜県では「87.4(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 87.4 × 8.0 = 699.2(kWh)
2月の月間発電量は、699.2(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
3. 三重県の日照時間と発電量
三重県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、三重県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
津 | 167.5 | 107% | 97% |
上野 | 143.4 | 122% | 133% |
尾鷲 | 182.6 | 108% | 97% |
四日市 | 169.8 | 116% | 109% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「上野」は平年を大きく上回り、昨年比33%増と日照時間が長くなっていました。
「津」「尾鷲」がほとんど平年並みで、昨年より少し短くなっています。
「四日市」はその中間、やや日照時間が長くなっています。
同じ三重県でも、観測地点によって日照時間が異なります。ご注意ください。
それでは、三重県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
三重県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
桑名市 | 22.00 | 19.8 | 1865.9 | 117% |
津市 | 24.00 | 22.0 | 1888.3 | 106% |
三重郡 | 54.00 | 49.5 | 4888.7 | 113% |
三重郡 | 54.00 | 49.5 | 5120.1 | 112% |
三重県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 89.4 | 112% |
三重県の発電量は昨年比で約12%増、という結果になりました。
2015年2月と比べると、1kWあたり10kWh(例えば8.0kWの人だと80kWh)ぐらい多くなる計算です。
元の数字が小さいため、パーセントとしては大きくなりがちです。
計測の誤差や設置条件の違い(増設、周囲の影など)も踏まえて考えてみてください。
表の一番下には、「三重県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
三重県では「89.4(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 89.4 × 8.0 = 715.2(kWh)
2月の月間発電量は、715.2(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
4. 愛知県の日照時間と発電量
愛知県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、愛知県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
名古屋 | 184.2 | 108% | 105% |
伊良湖 | 189.4 | 108% | 105% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「名古屋」も「伊良湖」も、平年より8%増、昨年比5%増でした。
日照時間が増えたのと同じ割合で発電量が増えるわけではありませんが、昨年と同じような発電量が予想されます。
それでは、愛知県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
愛知県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
一宮市 | 53.00 | 49.5 | 4418.4 | 106% |
一宮市 | 58.66 | 49.5 | 5280.5 | 108% |
稲沢市 | 41.00 | 29.7 | 4261.2 | 103% |
稲沢市 | 41.00 | 29.7 | 3345.4 | 88% |
稲沢市 | 55.90 | 39.6 | 4211.9 | 105% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4581.0 | 101% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4501.9 | 101% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4405.2 | 100% |
稲沢市 | 65.31 | 49.5 | 5202.1 | 104% |
西尾市 | 54.00 | 49.5 | 5354.7 | 106% |
西尾市 | 28.00 | 29.7 | 2789.9 | 106% |
愛知県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 86.5 | 103% |
愛知県の発電量は昨年比で約3%増という結果になりました。
周囲の環境に変化がなければ、ほぼ昨年と同じ発電量になっているはずです。
設置状況によっては、下回ったり上回ったりするかもしれません。
表の一番下には、「愛知県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
愛知県では「86.5(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 86.5 × 8.0 = 692.0(kWh)
2月の月間発電量は、692.0(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
2月の天気と発電量のまとめ
あなたの発電量と比べていかがでしたか。
冬は雪が積もったり、雨が降らなくても曇っていたりと発電量が少なくなる原因がいくつかあります。
天候による発電量の変化をきちんと把握し、それ以外の発電量の低下を気づけるようにしてください。
太陽光発電の故障を見逃さないようになります。
発電量の「多い・少ない」は、比較する対象と、算出の基準によって変わります。
シミュレーションよりも発電量が多くても、他の似た条件の発電所と比べると少ない、ということもあり得ます。
太陽光発電を長期・安定稼働させるためには、次の3つが絶対に必要です。
- 発電量の見える化(どれだけ発電しているか)
- 発電量の監視(今、発電しているか)
- 他所との比較(比べて少なくないか)
この3つを実行することで、発電量に関してより正しい評価をすることができます。
また、無駄なメンテナンス費用を投入することも回避できますので是非実行してみてください!