危険度100%!売買NGの分譲・中古太陽光発電を見破る4つの特徴

投資目的の太陽光発電で人気なのが、分譲太陽光発電や中古太陽光発電です。
土地探しや規制の確認・申請の手間が無く、高い売電単価の物件があるので、引く手あまたです。
特に中古太陽光発電(連系済太陽光発電)は、売電期間は短くても発電実績があって、
より正確な収支シミュレーションができるので大人気です。

しかしながら、トラブルがあるのも事実です。
2019年11月には制度の運用変更が行われ、50kW未満の分譲・中古物件に新しいリスクが発生しました。

分譲用太陽光発電、中古太陽光発電は大きな買い物です。
リスクは回避したいですよね。

この記事では、次の3つを解説します。

・新しいリスク「名義変更できない太陽光発電」
・名義変更できない太陽光発電を見分けるポイント4つ
・名義変更できる太陽光発電を見分けるポイント5つ

この記事を読むと、新しいリスクを避けて分譲・中古物件を選ぶための方法を知ることができます
満足できる物件探しに活用してください。

本記事は2019年11月19日に改訂されたルールを解説しています
この記事では、2019年11月19日に改訂され、翌20日から適用された「再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について」という資料を基に解説しています。
再度改訂された場合、最新の改訂版が優先されます。必ず最新の情報を基に判断してください。

目次

【1】 名義変更できない!ルール変更で一部の分譲・中古太陽光発電は販売不可になる

分譲型太陽光発電が一部販売不可になる

この章では、売買が不可になる理由と条件をひとつずつ解説します。

分譲・中古太陽光発電の売買には、経産省への名義変更申請が必要です。
もともと、中古物件の売買時には名義変更が完了することは、リスクの1つでした。
(変更完了までに必要な時間、書類不足、業者の知識不足、変更前の販売業者の倒産など)

しかし、分割設置の判断基準が変わったことで、条件に当てはまる発電所は申請しても承認されないことになります。
つまり、実質的に売買が不可能になりました。

簡単な3段論法で説明すると次の通りです。

・分割設置の判断基準が変わった
・過去に認定を受けた太陽光発電も、新しい基準で分割設置に該当すると名義変更できない
・名義変更できない太陽光発電所は売買できない

順を追って説明します。

1-1. 2014年までさかのぼって、隣の発電所と地権者が同じ時期があったら分割案件と判断される

名義変更が新たなリスクとなったのは、分割案件の判断基準が変わったことがきっかけです。

変更日判断基準(片方に該当したら分割案件)
2014年4月1日・同じ発電事業者か
・同じ地権者
2017年7月14日・同じ発電事業者か
1年さかのぼって、同じ地権者だった時期があるか
2019年11月20日・同じ発電事業者か
2014年までさかのぼって、同じ地権者だった時期があるか

※地権者とは、土地の所有者に加えて、地上権を設定している、賃貸借権を設置しているなど、その土地を利用できる人のこと

2017年7月13日までは、隣接していても異なる発電事業者、異なる地権者であれば問題ありませんでした。
不動産業者が一括して土地を購入・整地して販売していた土地を、それぞれ赤の他人が購入すれば問題なく太陽光発電が設置できました。

2019年11月19日までは、隣に発電所があっても、土地を購入して登記変更し、1年待てば太陽光発電を設置できました。

それが2019年11月20日からは、2014年まで地権者をさかのぼって確認することになりました。
この変更によって、何年待っても太陽光発電が設置できなくなった土地もあります。
さらにこれまで問題なく認定をとれた物件でも、名義変更はできなくなったケースが出てきました。

認定当時のルールで問題なかった案件でも、変更認定申請時のルールで分割案件かどうか判断されるからです。

1-2. 名義変更の認定申請時に分割案件と判断されたら名義変更不認定になる

変更認定を申請した際にも分割案件かどうか判断されます。

名義変更の認定申請時に分割案件と判断されたら、認定してもらえません

注10 変更認定申請により事後的に分割案件になると判断される場合、当該申請は不認定とする。

2019年改訂 「再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について」より

事業計画認定を取得している運転開始前の分譲太陽光発電も、稼働開始済みの中古太陽光発電も、分割案件と判断されたら名義変更できないのです。

1-3. 事業計画認定の名義変更できないと実質的に購入または売却できない

なぜ事業計画認定の名義変更できない太陽光発電所は、分譲・中古物件として売買できないのでしょうか。

なぜ名義変更できないと発電所を売買できないか

事業計画認定の名義変更できないということは売電する権利の所有者を変更できないということです。
そして制度変更へ対応する責任や、発電所にトラブルが発生した時の責任を購入者に移せないということです。

20年間という長い売電期間を考えると、これは非常に大きなリスクです。

・みなし認定のような制度変更があった時
・経産省から連絡があった時
・近隣住民から苦情があった時
・どちらかが引っ越しした時
・発電所を売買した本人が亡くなった時

発電所を売買した本人同士は対応できても、その相続人の方はどうでしょうか。

売る側も買う側も、本人だけに収まらない大きなリスクを背負い込むことになります。
そのため、名義変更できない太陽光発電所は実質的に売買できないといえるのです。

1-4. 相続する場合は名義変更できる

分割案件と判断されると名義変更できませんが、相続の場合は例外となります。

太陽光発電を相続する場合、事後変更届出という手続きになります。
認定申請ではなく届出だけのため、分割案件かどうかの判断自体されません

そのため、相続の場合は名義変更可能です。


【2】 4つのポイントでチェック可能!名義変更できない分譲・中古太陽光発電所の見分け方

未定のチェックポイント

 

分譲・中古太陽光発電のすべてが分割に該当するわけではありません。
名義変更できない分割設置かどうかの判断ポイントは4つです。

まず、次の2つの基準両方に当てはまる場、分割案件か確認されます。

①複数の野立て発電所の認定が隣接している
2014年以降の設備認定(事業計画認定)である

①、②の両方ともに該当する場合、分割案件ではないか、と疑われます。
さらに次の2つのどちらかが同じであった場合、分割と判断されます。

③発電事業者(事業計画認定上の設置者)
④登記上の地権者

特に50kW未満の場合、登記上の地権者を2014年までさかのぼって確認されます。
それぞれのポイントについて詳しく説明します。

2-1. 複数の野立て太陽光発電所が隣接している

太陽光発電の分割が禁止されたのは、複数の50kW未満の発電所にすることで必要な義務やコストを回避できるからです。
同じ場所に1つだけ認定されている太陽光発電や、隣接している太陽光発電の出力を合計しても50kW未満である場合、分割判断の対象になりません。

隣接している太陽光発電を合計して50kW以上になる場合は、分割を疑われて審査が入ります。

発電所の間に私道を作っても分割と判断される
発電所の間にアスファルト敷きの道路があるから大丈夫、とは判断できません。
「私道等を意図的に設置し、分断していると認められる場合」は分割と判断する、と明示されています。
必ず、もとからある道路なのか、発電所設置時に作った道路なのか確認しましょう。

2-2. 2014年度以降の認定(売電単価32円以下)である

太陽光発電の分割設置が禁止されたのは、2014年度からです。
2014年度以降の認定(売電単価32円以下)の場合、別の太陽光発電と隣接していると分割を疑われて審査が入ります。

隣接している発電所が2013年度以前の認定なら、2014年度以降の認定でも分割にならない
2013年以前は分割が禁止されていなかったため、分割判断の対象にはなりません。
そのため、2013年度以前の太陽光発電所に2014年度以降に認定を取った太陽光発電所が隣接していても、分割とはみなされません。

ただし、2014年度以降の発電所とも隣接していたら分割と判断されます。
隣接するそれぞれの発電所ごとに、認定の年度がいつになっているか確認が必要です。

2-3. 隣の発電所と発電事業者が同じ、または関係者

すでに太陽光発電所を所有していて、もう1基欲しい場合、1基目と近くなら管理が楽ですよね。
そんな時に隣の発電所が売りに出た、となったらすぐにでも買いたくなりますが、待ってください。

隣り合う太陽光発電所の発電事業者が同じ場合、分割と判断されます。

全く同一でなくても、血縁関係や同じ会社に所属している等、発電事業者同士に関係があると判断されると、分割と判断される可能性があります。

2-4. 隣の発電所と登記上の地権者が同じだった時期がある

発電事業者だけでなく、隣の発電所と登記上の地権者が同じ場合にも分割と判断されます。
2014年から現在までに一度でも同じ地権者名義になっていたら分割と判断されます。

名義変更が不可となる土地付き太陽光発電の例

2014年以降一度でも地権者が同一になっていたら分割になる

地権者が同一の時期があるので名義変更できない

2014年以降に地権者が変わっていたり、地上権、賃貸借権が設定されたことがある場合は要注意です。
一時期でも隣接する発電所と地権者が同じだった可能性があるなら、登記を取得して確認しましょう。

地権者=土地所有者ではないことに注意
地権者とは、その土地を利用する権利を持っている人のことです。
所有者以外にも、地上権や賃借権を持っている人も地権者となります。
隣の発電所の工事のために土地を借りて、登記したので一時的に地権者が同じになってしまった、ということもありえます。
登記簿の所有者欄だけでなく、権利部分もきちんと確認しましょう。

【3】これはOK!5つのポイントでわかる名義変更可能な分譲・中古太陽光発電の見分け方

追加情報

どんなに魅力的な分譲・中古太陽光発電所でも、名義変更できなければ意味がありません。

この章では、どのような条件を満たす太陽光発電所だったら名義変更できるかご紹介します。
見分けるポイントは5つです。

・ほかの太陽光発電と隣接していない
・2013年度までに認定されている
・2013年度までに認定された発電所とのみ隣接している
・隣接の発電所と設置者名義が異なり、かつ地権者名義も2014年以降ずっと異なる
・分割判断の例外規定に当てはまるか

いずれか一つを満たしていれば、名義変更できる可能性が高いです。
それぞれ解説します。

最新のルールを確認しましょう
これからご紹介するのは、2019年11月20日から適用されるルールで名義変更できる条件です。
ルールが変更された場合は、変更後のルールに沿って判断する必要があります。

3-1. 周りに他の太陽光発電所の事業計画認定がない物件

そもそも分割に該当しなければ問題ありません
周りに発電事業者または地権者が同じ太陽光発電の認定が無ければ分割と判断されません。

隣地で太陽光発電所の認定がとられていても、地権者が2014年度以降別の人で、発電事業者も違う人であれば問題ありません。

周りに未設置の太陽光発電がある場合も分割案件か判断される
分割案件の判断は、周りに太陽光発電の認定があるかどうかで判断されます。
発電所が1基だけに見えても、周りの土地で認定を取得していて未設置という場合もあります。

20kW以上の太陽光発電については、認定情報が公開されています。
販売業者に確認してもらいましょう。

3-2. 2013年度までに認定を受けた物件

2013年度までは分割設置が禁止されていませんでした。
そのため、2020年2月現在のルールでも2013年度までに認定を受けた物件は、分割禁止の対象外になっています。

中古でもほとんど出てこないこと、売電期間が短いこと、現在の設備と比べると見劣りするのに価格は高くなることはネックですが、
出力抑制の心配がほとんどないことも含め非常に安心なプレミア物件といえるでしょう。

3-3. 2013年度までの物件だけに隣接している物件

2013年度までの物件が例外となっているので、2013年度までの物件に隣接する2014年度以降の物件も分割とはみなされません。

ただし、2014年度以降の物件同士が隣接している場合は分割とみなされます。
隣接している発電所それぞれについて、認定年度の確認が必要です。

3-4. 事業計画認定上の発電事業者(設置者)が異なり、かつ2014年以降土地の名義も異なる物件

複数隣接している発電所でも、次の2つを両方満たせば分割とは判断されません

・発電事業者が違う
・2014年以降、地権者同じになったことが無い

両方とも満たしていても、分割を疑われます。
土地の登記簿等の提出が必要になりますし、疑いのない物件よりも審査に時間がかかります。

分譲・中古物件の販売業者に発電事業者と地権者の資料を用意してもらって、自分の目で確認しましょう。

3-5. その他分割とみなされないので名義変更できるケース

発電事業者または地権者が同じでも、分割案件と判断されない例外があります。

間に公道や河川、転用できない農地等他用途に使用できない土地や第3者の土地を挟む場合

物理的に一つの発電所にまとめられないケースです。
分割案件の疑いがかけられても、公図や登記簿で証明することができます。

隣接する発電所が建物屋根に設置している場合

分割案件は、原則として野立ての太陽光発電所に対して判断されます。
建物屋根に設置した太陽光発電所と隣接していても、分割とは判断されません

ただし、建物屋根に設置した太陽光発電が20kW以上で、一部だけ屋根上に設置し、一部は野立てにしている、という場合は分割案件と判断されます。

運転開始済みの太陽光発電所と引込を共有し、子メーターで別計測している場合

高圧の発電所として設置し、発電所の中で子メーターをつけて分割している場合です。
分割案件の問題点である、安全規制の回避や電力会社へのコスト転嫁を行っていないので例外として認められています。

ただし、高圧部分の点検や子メーターの検針の問題もあるため、実際に活用している事例自体が非常にまれです。

分割してもすべての発電所が2MWを超える場合

2MW以上の場合特別高圧という区分になり、これ以上上の区分がないためです。

他の再生可能エネルギー発電設備と隣接している場合

風力発電や水力発電、地力発電、バイオマスといった、他の再生可能エネルギーと隣接している場合も分割とはみなされません。

ただし限度があります。
太陽光、風力、太陽光、風力、太陽光のように互い違いに設置しては分割とみなされます。

3-6. 販売業者に認定情報や登記情報等公的資料で確認してもらう

一つ一つの条件を自分で確認していくのは大変な手間です。
名義変更できるなら購入したい、という物件を見つけたら、販売業者に確認してもらいましょう。

大切なのは、どのような資料で確認したかです。

認定通知書で年度と名義を確認したか?
・電子申請の情報公開サイトで隣地に認定が無いか、名義は異なっているか確認したか?
登記簿で地権者の名義を確認したか?

公的資料で確認したか問い合わせましょう。

名義変更できるかの判断は自己責任で行いましょう
名義変更できるかどうかの基準は、未設置の太陽光発電や2014年以降の地権者名義も関わるため非常に判断が難しいです。
販売業者や設置業者も、名義変更が全くできない認定はわかります。
しかし、絶対に名義変更できるとは言い切れません。
判断権限がないためです。
JPEA代行申請センターにも判断権限がないため、実際に申請してみないとどうなるかわかりません。

名義変更ができるか、物件を購入するかの最終判断は自己責任で行いましょう。
また、契約時に名義変更できなかった場合の取り決めを明文化してリスクヘッジすることが大切です。


【まとめ】分譲・中古太陽光発電所の売買時には最新ルールと詳しくない業者に要注意

2019年11月20日以降の申請に適用される分割設置の判断基準は、2017年7月14日付けの資料を改訂する形で公開されました。
大々的に発表されたものではないため、販売業者も把握できていない可能性があります

気づかずに購入または売却しようとして手続きを進めてしまうと、手間と時間だけ浪費することになりかねません。
少しでも不安に思ったら、最新の改訂を把握した上で販売しているか問い合わせましょう

また、分譲・中古太陽光発電は安定した非常に魅力的な投資対象ですが、リスクもあります。
この記事で紹介したリスク以外にどんなものがあるかを次の記事でまとめていますので、併せてご参考にしてください。

土地付き分譲型太陽光発電16のリスク|▲1730万円の失敗事例に学ぶお役立ち情報

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