FIP制度とは|太陽光発電の固定価格買取制度終了後の有力候補を解説

FIP制度

終了報道でにわかに注目を浴びた、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)ですが、実際のところは制度の抜本的な見直しに向けて議論が始まった段階です(2019年6月時点)。

業界関係者や有識者にヒアリングが行われる中で、FIT制度の次の制度として「FIP制度」という名前が登場しました。
まだ議論段階とはいえ、これから太陽光発電のオーナーや導入を検討している方は、どのような制度なのか気になっているのではないでしょうか。

実は、「FIP制度」自体はドイツやスペインなどの諸外国ですでに導入実績のある制度です。
ほとんど自由市場と同じ内容もあれば、FIT制度と同じような形にもなり得ます。

そこで、今回の記事では「FIP制度」について次の4点を解説します。

・FIP制度の概要
・FIP制度のバリエーション
・FIT制度との違い
・FIP制度がどんな制度になるかの要点

FIT終了後の新制度の有力候補の一つとして、大まかな内容だけでも知っておけば安心できると思います。

最後まで読んでいただければ、FITが導入されている現在、何をするべきなのかも考えるヒントになるはずです。
ぜひ最後までお付き合いください。

※2019年6月の固定価格買取終了報道については次の記事をご覧ください。

固定価格買取制度が終了?私の太陽光発電所は大丈夫?FITの今後を解説


1. FIP(フィップ)とは何か|制度・仕組み・特徴を解説

この章では、まずはFIPがどのような制度か、概要を解説します。
2つの特徴と他国で導入された3つのバリエーションをみていきましょう。

FIP制度の概要

1-1. 「FIP」の読み方は「フィップ」 Feed-in Premiumの略称

FIP(読み方:フィップ)とは「Feed-in Premium」の略称です。
premiumには景品や賞金、掛け金など様々な意味がありますが、「割増金」が適した訳になります。

おさらいですが、現在施行されているFIT(固定価格買取制度)の読み方は「フィット」、「Feed-in Tariff(フィード・イン・タリフ)」の略称です。

1-2. FIP制度とは電力卸売市場で電気を売って、更に上乗せ分(プレミアム分)の金額を受け取る仕組み

FIP制度とは、再生可能エネルギーの発電事業者が市場価格で電力を販売する場合に、市場価格に「割増金(プレミアム)」を上乗せする方式です。

FIPの特徴は大きく2つあります。

FIPの特徴はこの2つ
(1)電気は市場で売る
(2)売電量に応じて、プレミアム分(割増金)を受け取る
電気は市場で売却し、市場価格にプレミアム分を上乗せするため「FIP」と呼ばれます。
FIP制度の3タイプ

1-3. FIP制度の3つの種類

FIP制度のプレミアム分は、下の図のように「固定型」、「固定型(上限・下限あり)」、「変動型」の3つに分かれます。

外国で導入されたFIP制度の3パターン

各タイプについて1つずつ解説していきます。

(1)「プレミアム固定型FIP」:一定金額(固定)しプレミアムとして上乗せする

プレミアム固定型FIP制度

「プレミアム固定型FIP」の特徴は、電気の市場価格がいくらかに関わらず常に一定の金額を上乗せする点にあります。

最も市場売買に近い形になります。
また、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を抑えられるので、電気代の負担が一番低くなります。

一方で、発電事業者にとっては、売上の予測が立てにくくなるので厳しい制度と言えます。

外国では、🇪🇸スペインで導入された実績があります。(現在は廃止)

 

(2)「プレミアム固定型FIP(上限・下限あり)」:市場価格+プレミアムの上限と下限を決める

プレミアム固定型FIP制度(上限・下限あり)

「プレミアム固定型FIP(上限・下限あり)」の特徴は、市場価格+プレミアムの金額の合計(和)に上限と下限を定める点にあります。

電力の市場価格が、上限と下限の範囲に収まる場合は、固定のプレミアム分が上乗せされます。
市場価格+プレミアムの金額の合計(和)が上限を超える場合は、プレミアム部分が上限ラインに合わせてカットされます。
一方で、市場価格+プレミアムの金額の合計(和)下限を下回る場合は、下限の金額までプレミアム分がプラス調整されます。

(例)上限:¥9/kWh 下限:¥5/kWh プレミアム:¥3/kWh と仮定

市場価格 プレミアム 上限・下限の調整 調整後の価格
1 3 +1 5
2 3 +0 5
3 3 +0 6
7 3 -1 9

外国では、🇪🇸スペイン、🇩🇰デンマークで導入された実績があります。(スペインは廃止済)

 

(3)「プレミアム変動型FIP」:市場価格+プレミアムを一定に維持する

プレミアム変動型FIP制度

「プレミアム変動型FIP」の特徴は、市場価格に応じて上乗せする額を調整し、市場価格+プレミアムの金額を一定に維持する点にあります。

例えば、市場の電気代が高騰して設定した金額を超えた場合、プレミアムで上乗せされる額は「0」になります。
仮に、設定金額を市場価格が上回ることのない金額に設定すると、FIT制度とほぼ同じ制度になります。
(現在のFIT制度では、売電価格が市場価格よりもはるかに高く設定されている)

設定金額にもよりますが、一番売上の予測を立てやすい制度になります。

外国では、🇮🇹イタリア🇩🇪ドイツ🇳🇱オランダ🇨🇭スイスで導入された実績があります。

1-4. FIP制度の3つの種類のメリットとデメリットを比較

FIP制度には外国で3つのタイプが導入されていることがわかりました。
それでは、再生可能エネルギーのオーナー(設置者)にとってどのタイプが理想的なのか、メリットとデメリットを表にしましたのでご参考にしてください。

FIPの種類 メリット デメリット 外国の採用実績
プレミアム固定型FIP制度固定型 プレミアム分の売電収入の計算がしやすい 売電収入全体の目処を立てづらい 🇪🇸スペイン
プレミアム固定型FIP制度(上限・下限あり)固定型(上限・下限あり) ・プレミアム分の売電収入が安定している
・上限下限のない「固定型」と比べ売電収入の目処が立てやすい
売電収入の伸び代がやや少ない 🇪🇸スペイン
🇩🇰デンマーク
プレミアム変動型FIP制度変動型 売電収入自体が安定している
FIT(固定価格買取制度)に似ている
特になし

🇮🇹イタリア
🇩🇪ドイツ
🇳🇱オランダ
🇨🇭スイス

電力卸売市場の価格は事前に予期することが出来ませんので、「プレミアム固定型」のFIPでは売電収入の見通しは立てにくくなります。

一方で、プレミアム変動型のFIPの場合は卸電力価格の変動(上げ下げ)に応じてプレミアム価格も対応するので、現在採用されているFITのように事業収支の目処が立てやすくなります。

1-5. FIP制度とFIT制度(固定価格買取制度)の比較

FIP制度が導入された場合、FIT制度からどのように変わるのでしょうか。

FIP制度とFIT制度の比較を一覧表にまとめました。

FIP制度 FIT制度
制度の目的 再生可能エネルギーの自立普及
再生可能エネルギーの完全自由競争
再生可能エネルギーの普及促進
再生可能エネルギー設備の設置コストの低減
売電価格 市場価格+プレミアム分 設置者が早期に投資回収が可能なように固定された売電価格
売電期間 未定(制度設計次第) 設備の規模によって変わる
10kW未満:10年
10KW以上:20年
賦課金 比較的少ない 比較的多い
電力の買取義務 未定(制度設計次第だが、ない可能性が高い) 送配電事業者に買取義務がある
電力の販売先 未定(直接市場販売?) 電力会社
制度の開始時期 未定(2021年?) 2012年7月

FIPにはバリエーションが3つもあること、制度設計次第なことが多いため、どれほど変わるかはわからないというのが実情と言えます。

1-6. FIP制度はいつから始まるのか

FIP制度は、まだ導入されると決まっていません。
再生可能エネルギーの買取制度見直し議論の中で、候補の一つとしてあげられている段階です。

買取制度の見直しは、法律で2020年末までに実施すると決められています。
そのため、2021年度が一つの目安になるでしょう。

制度改正のタイミング

 


2. FIP制度になる場合の重要ポイント

固定価格買取制度の見直しは議論が始まったばかりで、制度設計どころか方向性もまだ決まっていません。

しかし、複数の意見でFIP制度が推されており、有力な候補であることは確かです。
そこで、FIP制度が導入される場合、どこに注目する必要があるか、重要なポイントをご紹介します。

2-1. どの発電設備の種類や規模がFIP制度の対象になるのか

再生可能エネルギーの全てがFIP制度の対象になるとは限りません。

ヒアリングの資料を確認すると、発電方法ごとに支援方法を変えてはどうか、という意見も出されています。

・FIP制度導入以外にも、季節ごとに買取の停止や買取価格を調整するのはどうか
・太陽光発電と風力発電についてはFIP制度に移行してもいいのではないか
・地熱発電は開発支援に注力すべきではないか
・中小水力はFIPに移行できるのではないか
・中小水力は初期費用を支援すれば長期にわたって安価に発電できるので、開発支援に移行すべきではないか

第13回小委員会での主な意見

第14回小委員会での主な意見第15回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 ヒアリング参考資料(制度の観点からの検討)より抜粋

 

同じくヒアリングの資料で紹介されている諸外国の制度の変遷を見ると、ドイツ、イギリス、スペインでは複数の制度を並行して採用していたことが見て取れます。各国の制度の変遷第15回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 ヒアリング参考資料(制度の観点からの検討)より抜粋

FIP制度導入のニュースが流れても、全ての再生可能エネルギーが対象になるとは限りません。
まずは、検討している太陽光発電の規模で対象になるのか確認しましょう。

 

2-2. 電力の売却先はどうなるか

FIP制度を先行して導入しているドイツでは、電気を電力会社へ直接販売する方式です。

しかし、ドイツと日本では再生可能エネルギーを取り巻く環境が異なります。
必ずしも直接販売がそのまま導入されるとは限りません。

・電力会社が参入してこない地域はどうするのか。
・新電力会社に売る場合、新電力会社が撤退したらどうなるのか。
・出力制御がかかる時間帯や地域等、市場価格が0円に近くなるなるときはどうするのか。
・売買契約が成立しない場合はどうなるのか。
・卸売市場の価格と極端に差のある電力会社しかない場合はどうするのか。

などなど、いずれもこれから議論されるでしょう。

・全て直接売買に移行する。
・新電力会社との直接取引も可能だが、各地方の送配電事業者(分離していない場合は一般電力会社)が買取義務を負う。
・各地方の送配電事業者が全て買取義務を負う。

など、様々な方法が考えられます。

より良い売電先を見つけられれば、より大きな収益につながるポイントです。
必ず確認が必要と言えます。

2-3. プレミアム価格の設定はどうなるか

FIP制度の肝はプレミアムの設定です。

外国で導入されたFIP制度の3パターン

3つあるバリエーションのうち、どれになるのか。
プレミアムの価格設定はどうなるのか。
季節や時間帯に関わらず一定にするのか、変動するのか。
プレミアムの金額は設備導入当初の額で適用され続けるのか、毎年プレミアムの額が変わるのか。

プレミアムをあまりに高く設定してしまうと、FIT制度から移行する意味がありません。
とはいえ、プレミアムをあまりに低く設定してしまうと、設置する人がいなくなってしまいます。

価格設定を確認して、きちんと利益を出せるか見極めが大切です。

2-4. 買取期間の設定はどうなるか

プレミアムの設定と同じく重要なのが、買取期間の設定です。

FITと同じように、プレミアムがつく期間を固定されるのか。
FIP制度が続く限り、もしくはFIP制度時に導入した設備を使い続ける間はプレミアムがつくのか。

こちらも予見性を維持できるかに大きく影響します。
確認が必要です。

2-5. 制度設計次第で、さらに収益をあげられる可能性もある

FIP制度は導入が決まっているわけではないので、まだ制度設計のされていない段階です。
今回あげた項目以外にも重要なポイントはあります。

・プレミアムの基準となる卸売市場価格をどのように算定するのか
・出力制御の対象順位をどう位置づけるのか
・非化石価値との兼ね合いをどうするのか
・申請や手続きの制度はどうなるのか

まだまだわからないことだらけですが、FIT制度と異なり売電先の選択次第で収益をあげられる可能性がある点で、FIT制度より有利とも言えます。

議論がどうまとまるか、要注目です。

 


まとめ|FIP制度がはじまる前に

この記事では次の4点を解説しました。

・FIP制度の概要
・FIP制度のバリエーション
・FIT制度との違い
・FIP制度がどんな制度になるかの要点

FIP制度とは、基本は市場で売電し、売電量に応じてプレミアム分(割増金)を受け取る制度だとご理解いただけたと思います。
そして、制度設計によって大きく変わる制度であることを理解してもらえたと思います。

仮に今回ご紹介したFIP制度が採用されると、ますます収支シミュレーションが重要になります。
つまり、設置業者選びがより重要になるということです。

・影の影響を含めた正確な発電シミュレーションを作れるか
・制度の改正や運用変更に敏感に対応してくれるか

この2点を満たしているか、業者を見極めましょう。

FIPで大切な業者選びのポイント

すでに設置済みの発電設備や、取得済みの認定は、前回の改正FIT法のように新たな手続きが必要になる可能性があります。
(例:2017年のみなし認定移行手続き、標識の設置、メンテナンス及びフェンスの義務化など)

ルールの追加とともに罰則も変わります。現在義務化されている、標識の設置、フェンスの設置、メンテナンスの実施を着実に行った上で、制度見直しの内容を確認し、必要な対応を発注しましょう。

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