あなたは、「太陽光発電を検討しているけれど、絶対に失敗したくない」と思っていませんか?
高額な費用をかけて導入するので、失敗したくないですよね。
国民生活センターへの相談件数を見ると、一時期に比べては減少傾向になっていますが、依然として多くの相談があります。
国民生活センターや私達ソラサポに相談あった実例を見ると、「失敗する共通点」が見えてきます。
実は、きちんと対策をすれば、十分に回避できる失敗ばかりです。
この記事では、よくある「失敗する7つのケース」と生の失敗談と共に、太陽光発電を買うときにあなたが取るべき具体的な対策を記載しています。
失敗例を読み、回避方法を実践して頂ければ、あなたが太陽光発電で失敗する可能性を下げ、導入時の満足感を上げられるでしょう。
ぜひこの記事を最後まで読んで、適切な太陽光発電の導入にお役立てください。
1.よくある失敗|7つのケース
太陽光発電を間違った買い方で設置してしまうと失敗する可能性があります。
問題点は、何が間違った方法なのかが一般的にはよく知られていないという点です。
間違った買い方がよく知られていないのは、太陽光発電の購入頻度が低いからです。
この章では、よくある7つの失敗パターンとその回避方法を紹介します。
1-1. 相場とかけ離れた高い(or安い)価格で買う失敗
商品の価値とかけ離れた価格で買うと、ほぼ間違いなく失敗(後悔)します。
なぜなら、全ての商品と同じように太陽光発電にも「適正価格」があるからです。
この章では、相場とかけ離れた価格で買って失敗しないために知っておくべき対策を3つ紹介します。
価格と品質で失敗(後悔)しないために知っておくべき3つの対策
太陽光発電は高額な商品ですので、この3つの対策を行っていただくだけでも失敗(後悔)する可能性が減るでしょう。
対策その1. 価格と品質の関係を知る
対策その2. 相見積もりでおおよその相場を知る
対策その3. 見積書の見方と取り方を知る
対策その1.価格と品質の関係を知る
商品やサービスの価値の目安(例外もあります)である価格が高い・安いのはそれに応じた理由があります。
購入金額の面で、成功・失敗のパターンを4つに分けて図にしました。
各項目にもう少し詳しく解説していきますので価格と品質の関係について、正しく理解しておきましょう。
Aパターン(相場で買う) ほとんどの人はここ | |
あなたが求める商品とサービスの適正価格を知り、それに見合った対価を払うことで失敗のリスクを低くすることができます。 商品については、型式等の指定があるので、見積書を見ればその有無や数量がわかります。しかし、型式のない部材やその営業マンの知識や工事品質、アフターケアなどは見積書では目立たないので見落としがちになってしまいます。 | |
Bパターン(かなりの割高で買う) 情報格差が原因 | |
いわゆる「ぼったくりの被害」です。例えば、適正価格が100万円のものを150万円や200万円に見せかけられて買わされてしまいます。情報量が少ない消費者を騙し、自分のことしか考えていない悪徳業者と言えるでしょう。 割高に買おうと思う人はいません。しかし、結果的に「割高な業者で買ってしまう人」がいるのは、適正価格を知らないためです。 | |
Cパターン(ものずきな人) 引っかかる人は少ない | |
個人間売買などの中古品は買わない方が良いでしょう。 太陽光発電は長期の事業となりますので、品定めも出来ずに劣悪な品質のものを買うと、運用後に修理費用等がかさみ、むしろ「割高」になってしまう可能性があります。 | |
Dパターン(生兵法は大怪我のもと) 知ってるつもりは要注意! | |
自称・太陽光発電に詳しい人が陥りがちなパターンです。 表面的な理由に納得できたとしても、あなたの気づいていない潜在的な理由があるかもしれません。実際にプロ並みの知識量と経験値があれば、購入しても良いと思いますが、そういう人はこのページを見ていないでしょう。 |
対策その2.相見積もりでおおよその相場を知る
複数の業者に見積もりを取ることで、検討しているシステムの相場が見えてきます。
インターネットでおおよその相場が公開されています。
相場が気になる方は以下のようなサイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。
太陽光発電総合情報(別サイト)※あくまでも参考としてお考え下さい。
【注意】業者の施工技術や経験値は見積書には記載されていません。
その業者が施工した現場を見学するのも良い方法です。
安すぎる場合は、長期安定稼働に注意しましょう。
「価格」は、具体的な数字で比べやすいため目が行きがちです。
もちろん太陽光発電事業を成功させるために重要なポイントの一つですが、成功のために必要となる要素(材工の品質・提案内容・設計など)は他にもたくさんあります。
ソラサポにご相談を寄せられる失敗例の中でも特に多い「格安」の場合を考えてみましょう。
格安とは「価値よりも価格が売り物(例:激安1kW▲万円!など)」になっている状態です。
「安かろう悪かろう」という言葉通り、格安には理由があります。
①通常では考えられないレベルの企業努力または革新的なアイデアで格安が可能になっている。
②薄利多売の経営方針により、格安販売を行っている。
③パネルやパワコン以外の型式番号がない部材が低品質。(具体例は下の表をご参照ください)
項目 | 低品質の部材を採用するとどのような問題が発生するか(一例) |
---|---|
架台 | 設計ミスや強度不足により、積雪、強風などによる倒壊。 |
基礎 | 短いスクリュー杭の採用で強度不足。錆びて折れる。コンクリートのクラック・崩壊。 |
ケーブル | ケーブルが細く、発電量が落ちる。漏電。 |
防草シート | 事前の入念な除草がされない。雑草の繁茂。 |
工事品質 | 配線ミスによる出力低下。パワコンの故障。パネルのマイクロクラック。雨漏り。など。 |
①であれば素晴らしいのですが、その場合はニュースになっているでしょう。②や③は大抵、設置後の対応が悪く、「売っておしまい」という営業スタイルです。
薄利多売になれば、部材費用や人件費が削減対象となっていきます。そのため、知識不足・経験不足のまま設計・施工することになり下の写真のような状態が発生する可能性が高まります。
(A)PFD管の劣化 | (B)架台のサビ | (C)パワコンの誤った設置方法 |
(A):劣化が早い低品質な部材を使用。消費者にはわかりにくい部分なので削減しやすい
(B):設計ミス。常に同じ箇所に雨滴があたるため、サビが発生し、いずれ穴があく。
(C):設計ミス。直射日光が当たる場所にパワコンを設置。「温度上昇抑制(※)」が発生する可能性が高まる。
(※)詳しくはこちらの記事をお読みください。→『売電収入ダウン!パワコンの電圧抑制・温度抑制での損失を最小限にする方法』
対策その3.太陽光発電の見積書の取り方・見方6つのポイント実践編
業者から見積書を取る際は、次の6つのポイントを実践しましょう。
① 販売業者に実際に会う
② 5日以内に見積書を出す業者を選ぶ
③ 価格は1kWあたりで比較する
④ 事業シミュレーションに維持管理費用が記載されているか確認する
⑤ 発電シミュレーションの根拠を確認する
⑥ 価格の妥当性を知るための重要な3つのポイントをおさえる
① 販売業者に実際に会いましょう。
業者に会うことで、どのような経営理念のもとに太陽光発電を販売しているのかを確認できます。
そして、提案が「どのような主義・主張・根拠」で出来たのかを、必ず確認しましょう。なぜなら、太陽光発電は、設置場所の条件によって最適な機器構成が異なるので一つ一つに理由が存在するからです。あなたに最適なプランを導入するには必須の行動です。ここで曖昧な回答をする業者には注意してください。
業者と会う時のポイント:何度か会う内の1回は販売会社に訪問する
理由は2つあります。
理由①:売り逃げタイプの業者を見抜ける場合があります。「非常に簡素な事務所」ですぐに引っ越せるような場合「短期商売」をしているかもしれません。
理由②:太陽光パネルや架台の実物を見られるので、完成後のイメージが具体的になります。
② 見積書が5日以内に完成する業者を選びましょう。
「見積書の作成が遅い=動きが遅い」ということです。
太陽光発電は、設置前よりも設置後の方が業者との付き合いが長くなります。
何かトラブルが発生した時に対応が遅いと非常に困ります。
③ 価格は1kWで比較しましょう。
A社:6kWのシステムで総費用が180万(1kWあたり30万円)
B社:4kWのシステムで総費用が160万(1kWあたり40万円)
同じパネルメーカーでも、総費用はA社の方が高いですが、1kWあたりで見るとB社よりも割安になります。
※過積載だと大きく変わりますので注意してください。
過積載について詳しく知りたい方は:太陽光発電の増設と過積載|パワコンそのまま年間発電量48%アップをご覧ください。
④ 事業シミュレーションにランニングコストが記載されているかを見ましょう。
太陽光発電は設置後に様々なランニングコストが発生します。
太陽光発電設備の設置状況や規模(容量)によって必要な費用は当然変わりますが、大まかな目安がないと全体像が掴みにくいと思いますので下の表をご参考になさってください。
項目 | 費用の大まかな目安 | 必要な頻度の目安・備考 |
---|---|---|
定期的なメンテナンス | 導入費用の1〜3% | 4年に1度程度 |
パネルの交換費用 | 4〜8万円前後/枚 | 保険・保証対象外の故障時 |
パワコンの交換費用 | 3〜5万円前後/kW | 保険・保証対象外の故障時 |
固定資産税 | 残価の1.4%/年 | 10kW以上の発電設備が対象 |
所得税 | ー | 設置場所の管轄の税務署にお問い合わせください |
経年劣化による発電量低下 | ー | 0.5-1% /年 |
太陽光発電を検討する場合は、このような費用まで考えておくことをオススメします。
もし、ランニングコストの説明が無いようでしたらその業者には気をつけましょう。
設置後のことを考えていない不親切な業者かもしれません。
⑤ 発電シミュレーションの根拠を確認しましょう。
見積書に載っている予測発電量をどのように計算したのかを必ず確認しましょう。
根拠が説明できない業者は要注意です。
1-2.非現実的なシミュレーションで詳しく記載していますのでご確認ください。
⑥ 価格の妥当性を知るために重要な3つのポイントを確認する。
- その価格になる理由を知って、あなたが納得できるかどうか
- その価格はあなたの求めている商品やサービスの価値と一致しているか
- その価格は相場と比べて大きな差がないか
1-2. 非現実的なシミュレーションによる計画破綻
実際は到底達成できないような高い予想発電量を出す業者もいます。
嘘のようなシミュレーションを元に、導入してしまうと、初期投資が回収できなかったり、ローン返済が追いつかなくなって計画が破綻してしまいます。
発電シミュレーションの出し方は業者によって異なりますので注意してください。
【対策】発電シミュレーションの客観的な根拠を知る
業者が出す発電シミュレーションは、
・メーカーシミュレーション
・発電量計算ソフト
・発電量計算式
などの様々な方法があります。
太陽光パネルにかかる影の損失を考慮していないこともよくあります。
業者に「どのような根拠があって予測発電量を出しているのか」を必ず確認しましょう。
そこでしっかりと説明できない業者は要注意かもしれません。
後述しますが、ソラサポの実発電データを公開していますので、参考にしてください。
→ 2016年の月間発電量と天気まとめ 【岐阜・三重・愛知】
特にこれから太陽光発電を導入する方には、ぜひ読んでいただきたい記事です。
太陽光発電シミュレーション|適正発電量と収益性を見抜く注意点5つ
1-3.経験不足の業者から買うことで発生する失敗
経験不足の業者から太陽光発電を買うと、様々な失敗につながります。
そのような業者から買うと、以下のような失敗が発生する場合があります。
・システムの設計ミス
例えば、パワコンに必要以上のパネルを繋いでしまい、パワコンのメーカー保証が受けれなくなるケースがあります。
また、回路構成等でシステムの性能を最大限発揮できない構成にしてしまう場合もあります。
・仕上がりの見た目が悪い
施工経験不足により、パネルに段差ができてしまったり、ケーブルの配管を雑に施工して不具合が発生するケースがあります。
・雨漏りが発生する
一つの例として、「土葺き」の屋根の場合は、構造的に雨漏りの発生が高まります。そのため多くの施工会社やメーカーが施工保証を出していません。しかし、経験不足の業者はリスクを把握せずに安請け合いする場合があります。当然、雨漏りが発生する確率は非常に高くなります。
・制度や法令を理解していない
太陽光発電の関係法令を理解していないと、最悪の場合には設置後の撤去や売電単価の取得漏れが発生します。特に、2017年4月からは固定価格買取制度も新しくなり(改正FIT法)、従来よりもずっと複雑になりましたので、本当に要注意です。
【対策】太陽光発電に詳しい業者を見極めるには、あなたの「質問力」も重要!
業者から説明や提案を受ける際には、いろいろな質問をしてみましょう。
・なぜこのシステム構成にしたのですか?
・どのような手続きがありますか?
業者の説明を聞くだけではなく、あなたから質問をしましょう。
そして、次の3つに注目してください。
・あなたに理解できる言葉で説明してくれるか
・あなたが納得できる説明をしてくれるか
・業者がしっかりとした受け答えができるか
曖昧な回答や、間違った回答をする業者は経験不足や知識不足の可能性が高いです。
太陽光発電のことをよくわかっていない業者から買ってしまった時には、「どんな結果になってしまうか」は目に見えています。
1-4. メンテナンスをしないことで発生する後悔
太陽光発電は、メンテナンスが必須です。
なぜなら、大なり小なり必ず不具合や故障が発生するからです。
適切なメンテナンスを行うことで、安全・安心のもと長期的に運用することができます。
もし、メンテナンスを行わないと、不具合の発見が遅れて売電収入が減ったり、重大な事故に繋がる恐れがあります。
「太陽光発電はメンテナンスフリーです。」と言う業者には要注意です。
【対策】業者にメンテナンスについて詳しく聞く
導入後に「どのようなメンテナンスをどれくらいの頻度で行うべきなのか」を説明できる業者を選びましょう。
・どのようなメンテナンスがあるのか種類を聞く
・どのようなメンテナンスをしてきたのか実績を聞く
・どれ位の頻度でメンテナンスをする必要があるのか聞く
・特に重要なメンテナンスは何と考えているかを聞く
・実際のメンテナンス事例を見せてもらう
・実際にあった不具合事例を聞く(ない場合は、経験不足か嘘つきです。)
業者にメンテナンスのことを聞いてしっかりと答えることができなければ、設置後のオーナーのことを考えていない「売り逃げタイプ」の業者かもしれません。
1-5. 設置業者の倒産によるアフターケアの後悔
現在、太陽光発電関連業者が増加傾向にあります。
業者が倒産して特に困るのは書類等の手続きとメンテナンスでしょう。
実際、設置業者が倒産したことで適切なメンテナンスを受けれない「メンテナンス難民」の発生が問題になっています。
設置業者にメンテナンスを依頼するものだと考えている方が多いのですが、実は他社で設置された設備にでもメンテナンスが可能です。
近くの信頼できる業者を探しましょう。
【対策】太陽光発電の書類を一式で管理する
テレビや新聞方法のとおり、太陽光発電関連企業の倒産は増え続けています。
(参考URL:日本経済新聞 2017/1/12 )
そのため、業者の倒産に備えて対策が必要です。
万が一の時にもスムーズに行動できるように次の3つの書類を用意ましょう。
・設備認定通知書(ログイン用のID、パスワードを含む)
・設備の配線図
・設備の保証書
あなたが一括管理をすることが重要です。
詳細はこちら 太陽光発電業者が倒産!オーナーが取るべき4つの行動
1-6. 近隣トラブル(反射光・土地境界・騒音など)
太陽光発電に関係するご近所トラブルは、一時期メディアで取り上げられていた「反射光トラブル」を想像する方も多いと思います。
特に反射光は証明することが難しいと思われている方が多いと思いますが、実はソフトを使えば簡単に計算することができます。
反射光トラブル以外にも、以下のようなトラブルがあります。
・土地の境界をめぐるトラブル
・工事中の騒音や、足場の設置位置などのトラブル
・日照権をめぐるトラブル
・太陽光パネルから雪が滑り落ちる
・除草剤によるトラブル
・土壌流失によるトラブル
・繁茂した雑草に対する苦情
せっかく太陽光発電を設置しても、それが原因で「ご近所トラブル」になるとストレスの原因となってしまいます。
もともとご近所付き合いがうまくいっていない場合は、トラブルが発生しやすくなりますので、事前に挨拶だけはしておきましょう。
【対策】反射光がどの程度当たるのか事前に知る
反射光はシミュレーターソフトで計算可能です。
反射光が近所に当たるかを事前に知ることで事前にトラブルを回避することができます。
1-7.保証対象外の事故によるシステムの故障
一般的な太陽光発電システムは充実したメーカー保証(25年保証や10年保証)があります。
ただし、保証対象外になることもあります。
メーカーの機器保証と保険は別物ですので、この点を理解しておきましょう。
【実際にあったメーカー保証対象外の例】
・雷によるパワーコンディショナの故障でメーカー保証が下りず修理費・交換費が30万円
・投石により、太陽光パネルが5枚破損して交換費・処分費で計20万円
50kW程度の太陽光発電システムで30万円の修理費が発生してしまうと、一ヶ月分以上の売電収入相当になります。
【対策】保険に加入する
太陽光発電は保険に加入することができます。
万が一のリスクを回避することで、安全・安心の長期事業を実現することができます。
保険サービスについて詳しく知りたい方は【 保険サービス 】をご覧下さい。
【注意ポイント】
・保険で全ての事故がカバーできるわけではありません。
・保険請求には審査がありますので、請求しても100%保険金が下りるとは限りません。
2.全て実話!太陽光発電を購入して失敗した事例
ソラサポに相談があった事例を紹介します。
紹介するのは岐阜県に住む大島さん(仮名)の話です。
2-1.会社員・大島さんが太陽光発電を導入した経緯 と問題点
ある日、大島さんの自宅に太陽光発電の訪問販売業者が来ました。
大島さんは訪販業者の説明を受け、見積もりを取りました。
見積もり内容は、国内大手メーカーのシステム一式でした。
大島さんは太陽光発電に詳しくなかったので「見積もり金額」と「発電シミュレーション」の妥当性がわかりませんでした。
そして、いざ発電してみると、ほぼ全ての月でシミュレーションを下回る発電量となりました。
しかし、システムが故障しているわけではなく、大島さんの屋根は、南東と北西を向く切妻屋根でした。ソラサポで再シミュレーションをしてみると、見せかけをよくするための嘘シミュレーションであることがわかりました。
問題点①:相場よりも割高な導入費用。後日、見積もり金額が適正価格より60万円程度高いものとわかった。
問題点②:非現実的(嘘)な発電予測。全額ローンの運用で「持ち出しなし」(返済額より売電収入が多い状態)で運用できるはずだった。
2-2.大島さんが後悔しているポイント:【月々の返済額>売電収入】
現在、大島さんは売電収入だけではローン返済に足りず、毎月持ち出しが発生しています。
ローンの返済期間は15年間ですが、この先15年の間、ずっとローン返済のために持ち出しをしなければいけません。
さらに、設置容量が10kW以下なので、固定価格買取制度の買取期間は10年です。つまり、11年目からは現在の買取単価で売電できないので、更に持ち出しが増えてしまいます。
購入してから15年の間、毎月の収入を太陽光発電のローン返済に充てないといけない状況になってしまいました。
2-3. ソラサポの解説:後悔を回避できたポイント
今回のケースは、消費者と業者の大きな情報差を利用した悪質な販売手法です。
「持ち出しゼロ」という謳い文句ですが、嘘のシミュレーションと割高な導入費用で実際とはかけ離れた結果となりました。大島さんは「業者の言うことを鵜呑みにしなければよかった」とお話しされていました。
このケースで、大島さんの後悔(失敗)を回避できたポイントはいくつかあります。
回避できたポイント | とっておくべきだった行動 |
---|---|
相見積もりを取らなかった | → 複数の業者から相見積もりをとって、相場を知る |
太陽光発電の発電する仕組みを知らなかった | → 自分でも情報収集をする 太陽光発電の基礎知識を知る |
業者のデタラメな発電予測 | → 複数の業者から相見積もりをとって、情報の正確性を確かめる |
導入費用の相場を知らず割高に買った | → 1kWあたりの発電量の目安を知る |
また、今回のケースには該当しませんが、悪徳業者は、大抵きついノルマがあるので契約をせかすことがあります。業者のペースに乗せられてすぐ契約書に印鑑を押さないようにしましょう。
一旦冷静に考えて、「4.失敗・後悔をしないために実践する5のこと」を実践しましょう。
太陽光発電について、正しい情報を得ることができれば、回避できる可能性が非常に高くなります。
大きな投資ですので、自分で積極的に行動することをオススメします。
次の章では、国民生活センターが後悔している全国から相談事例を紹介します。
3.国民生活センターへの相談事例
国民生活センターとは、消費者保護を目的とした行政機関です。
太陽光発電に限らず、衣食住など消費生活全般に関する商品・サービスへの苦情や相談について、問題解決の相談を受け付けています。
実際にこのような問題がある、ということを知っておくだけでも被害を防げるかもしれません。
3-1.相談内容
以下、国民生活センターへの太陽光発電相談事例 (リンク切れ)からの抜粋です。
事業者に訪問され、太陽光発電の調査をすると言われた。契約するつもりはなかったが、調査だけならよいと了承した。調査の数日後、夜に事業者が来訪して太陽光発電を勧めてきた。断ろうとしたが、事業者が帰らないので仕方なく契約をした。解約したい。
業者を呼び太陽光発電の契約をしたが、売電がすぐに始まらず、売電価格も説明と違う上、工事費も高額だった。減額してほしい。
訪問販売で太陽光発電とオール電化を契約して工事したが、実際の売電収入が少なく、事前に提示された売電収入は誤りであったことがわかった。補償を求めたい。
ソラサポに寄せられる相談内容も訪問販売ものが多くあります。
詳しくはこちらの記事もお読みください。→ 太陽光発電 契約したけどやっぱり解約したい!
それでは、簡単に解説します。
3-2.ソラサポ解説ポイント
実際の相談事例を見ると、「消費者との情報差を利用した販売手法」や「強引な販売手法」が多くあります。
最近では、インターネット上にも様々な情報が掲載されているので、消費者側の知識量が増え、悪徳業者は淘汰されつつあります。
しかし、固定価格買取制度が始まって以来の太陽光発電ブームを受けて、自社さえ儲かれば良いという「自己中心的なスタイル」で営業活動を行っている業者が依然として存在していることがわかります。
悪徳業者を見抜き、適切に太陽光発電を導入するためには、次章の「4.失敗・後悔をしないために実践する5のこと」を実践しましょう。
4.失敗・後悔をしないために実践するべき5つのこと
太陽光発電を買って失敗しないためには、次の5つの行動を実践してください。
これから紹介するたった5つの行動を実践するだけであなたの成功率はあがるでしょう。
4-1.あなたが太陽光発電を求めるうえで重要視する内容をチェックリストで明確化し優先順位をつける
あなたが欲しいと思う太陽光発電について、あなたと業者の認識が一致しているとは限りません。
必ず何かしらのズレがあるはずです。
ズレが生じたまま太陽光発電を購入してしまうと、設置後に「自分が想像していたモノと実際に提供されたモノのギャップ」により、後悔する可能性が残ります。
まずは、太陽光発電を検討するときに次の2つを明確にしておきましょう。
❶ 自分がどんな「価値」(機能や役割)を求めているのか
❷ 業者が提示した「金額」で提供できる「価値」に何が含まれているか
次のリストを参考にして明確になったら一つずつ優先順位をつけていきましょう。
あなたが太陽光発電を購入する際に求めていることと、その理由のリスト
□ 誰もが知っている有名なメーカーで設置をしたい
□ お金を増やしたい
□ ブランドより、コストパフォーマンスを重視したい
□ 納得できる商品をなるべく安く設置したい
□ 手厚いアフターサービスを受けたい
□ 専門的な話を詳しく聞きたい(メリット・デメリット)
□ 信頼出来る施工業者に工事をしてほしい
□ 自分の不安が解消できるまでとことん相談に乗ってほしい
□ 良いことばかりの片面提示ではなく、デメリットも含めた両面提示をしてほしい
□ 近くの業者に設置してほしい
□ 必要最低限のメンテナンスを受けたい
□ 故障時に迅速に対応してほしい
□ その他
よくよく考えてみると、優先順位が変わることもあるため、あなたが重要視する理由も数字などの客観的な指標を入れて具体的(※)に書いてみましょう。
(※例:年間利回りが8%以上になるようにしたい。お隣さんより1%でも高い出力のものを設置したい。…など)
リストのダウンロード 太陽光発電で後悔しないためのチェックリスト(pdf)
4-2. 複数の業者から見積もりを取る
太陽光発電を検討する際には、複数の業者から見積もりを取りましょう。
複数の業者から話を聞くことで、多くの情報を得られます。何より重要なのは、工事品質、サポート体制、企業理念などを比べることで、あなたに合う業者に出会える可能性が高まることです。
太陽光発電は、設置してからが本番で「設置して終わり」ではありません。
10年20年という長期事業なので、業者に相談しなければいけないことが多くあります。
「この業者なら長い間、良い関係で付き合いができそう」と思える業者を探しましょう。
【注意ポイント】単純に多くの業者に見積もりを依頼すれば良いというわけではありません。
例えば、10社に見積もりを取ると、情報量が多すぎて正しい判断ができなくなります。
まずは、3社程度から見積もりを取って1社に絞り、それでも物足りなければ、2社を足して絞り込む…を繰り返しましょう。
【正しい相見積もりの取り方】は、「対策その3.太陽光発電の見積書の取り方・見方6つのポイント実践編」をご覧下さい。
4-3. 自分でも情報収集が必須!太陽光を導入するなら読んでおくべき2冊の本と小冊子
太陽光発電を検討する際は必ず自分でも情報収集をしましょう。
全ての販売会社が親切で正直であれば良いのですが「業者が100%本当の事」を伝えているとは限りません。
太陽光発電は複雑で難しい内容もあり、消費者と業者の間では、明らかな情報差があります。
情報収集を自ら行えば、情報差を利用した悪徳商法を回避できる可能性も高まります。
情報の収集先として2冊の書籍と小冊子をご紹介します。これから太陽光発電の設置をご検討されているのであれば、すぐに元が取れるはずです。
書籍名:太陽光発電の家づくり入門―小さな発電所が日本を救う!! 定価 :1,700円+税 【初心者向けの1冊】2011年9月に出された本なので、補助金や売電単価など現在には該当しない箇所もあります。しかし、基礎的な内容が初心者にもわかりやすく解説されています。中古本でも十分なので太陽光を1から知りたい方は、ソラサポと合わせてこちらもお読みください。
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書籍名:中規模・大規模太陽光発電システム -基礎・計画・設計・施工・運転管理・保守点検- 定価 :3,600円+税 【専門的・野立て検討者向きの1冊】野立て産業用太陽光発電をご検討されている方には、上の本に加えてこちらもオススメします。専門的な内容で難しい部分もあるかもしれませんが、これを読めば怪しい業者に引っかかってしまう可能性もかなり下がるでしょう。固定価格買取制度が十分に普及されたあとの2016年に発行された本なので、情報も比較的新しく、太陽光発電の基礎知識から運用後の保守点検まで実用的な内容が網羅されています。元々の出版予定よりも1年ほど遅くなったおかげかもしれませんがその分情報がぎっしり!おすすめです。
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冊子名:無料再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック 2017(平成29)年度版 無料 【基礎の基礎 制度の確認用の1冊】経産省が発行するPDF資料です。再生可能エネルギーの現状から、固定価格買取制度に関する説明が記載されています。今年度の売電単価や調達期間や、手続きに必要な流れなどを確認したい時には役に立つはずです。この冊子では、太陽光発電の仕組みなどに触れられていませんので、先ほど紹介した2冊と合わせてお読みください。 |
一方で、オススメしない本は「利回り○%!」「儲かる!○○」「投資○○」など煽り気味のタイトルの本です。限定的な状況下の極端な事例の話であったり、片面提示の情報ばかりで時間とお金の無駄なので手に取らないようにしましょう。
4-4. 太陽光発電の設置後に発生する費用を明確にする
太陽光発電を設置して「不労所得」や「電気代削減」ができることばかりに目を向けてはいけません。
なぜなら太陽光発電には「ランニングコスト」(維持管理費用)が発生するからです。
ランニングコストの一例として以下のようなものが挙げられます。
・メンテナンス(長期安定稼働のための点検費用)
・機械が故障した場合の修理費用
・保険料
・税金(固定資産税、所得税等)
導入する前より、導入した後の方がオーナーのやるべきことは遥かに多いです。
この点について、あなたはもちろん、販売会社が理解していることが非常に重要です。
なぜなら、設置後のことを理解していない(考えていない)業者と10年以上のお付き合いができるはずもないからです。
4-5. 当てはまったら「アウト!」こんな太陽光発電業者は要注意⁉︎よくある7パターン
業者によって様々な提案、説明をします。
この章では、要注意なセリフや説明を厳選して7つご紹介します。
1つでも当てはまったらアウト!だと思って注意してください。
❶.「太陽光発電はメンテナンスフリーです」と言う
壊れにくいけど、壊れないとは言えません |
太陽光発電はメンテナンスが必須です。
なぜなら、機械は必ず壊れるからです。
適切な時期に適切なメンテナンスを行うことで、長期間の運用を安全・安心のもとに行うことができます。
太陽光発電がメンテナンスフリーである理由を聞いてみましょう。恐らく「客観的根拠がない答え」が帰ってくるでしょう。
❷.「このパネルは発電効率が良いからたくさん発電します」と言う
公称最大出力は全メーカー共通の求め方です |
確かに発電効率の良いパネルはありますが「同じ5kWのシステム」であれば、発電効率が良くても悪くても出力は変わりません。つまり面積効率が良いので、少ない面積に多くの容量を設置することが可能です。
どのような基準で「良い」「悪い」と言っているのかを明確にしましょう。例えば、故障率の低さや経年劣化が少ないことを言っているのであれば、多いものと少ないものを同じ期間で実際に比較した客観的なデータを見せてもらいましょう。
❸.設置工法を詳しく答えられない
調理法を知らないシェフが作る料理は果たして美味しいのか |
設置工法について聞いた時に、詳しく答えることができない担当者には要注意です。
例えば、住宅用太陽光発電の場合で考えて見ましょう。
使用する架台や工法により、雨漏りリスクは異なります。
つまり、雨漏りの危険性をよくわかっていないということになります。
そのため、設置工法を詳しく答えられない業者には、注意が必要です。
❹.客観的な発電量データを持っていない
発電量のデータがない=アフターケアをしてない |
発電量実績を出せない業者には要注意です。
要注意の理由は以下の通りです。
・アフターフォローを一切していないため、顧客の発電データがわからない。
・実発電量よりはるかに高い予測発電量で提案しているので、出せない。(発電予測に対して発電量の実績が低い)
・売っておしまいなので、顧客の発電量に興味がないので持ち合わせていない。
1年以上の発電実績があるものを100件くらい見せてもらっても良いかもしれません。
❺.施工実績、メンテナンス実績を見せない
そもそも見せない理由がありません |
施工実績を見せない業者には要注意です。
要注意の理由は以下の通りです。
・自慢できるような施工現場がない。
・案件数が少ない。
❻.「1kWあたりの年間予測発電量」が1300kWhを超えている
嘘の発電量にご用心 |
発電量の基準の一つとなるのがパネルの容量1kWあたりの年間発電量です。
この数値の求め方は「年間発電量÷パネルの設備容量」です。
例えば、6kWの太陽光発電システムで同じ機器構成・設置条件で相見積もりを2社にとったケースを考えてみましょう。
業者Aの発電シミュレーション | 業者Bの発電シミュレーション |
---|---|
6000kWh | 9000kWh |
1kWあたり1000kWh | 1kWあたり1500kWh |
よくわかっていない人が見たら、業者Bの方が魅力的な提案書に見えてしまいます。
しかし、提案された予測発電量が「1kWあたり1300kWh」を超えている場合は注意してください。
なぜなら、年間発電量が「1300kWh」を超えるのは、良い条件(パネルの設置角度、パネルの設置方位、影のかかり方)が揃わないと難しいからです。(不可能ではありません。)
ソラサポのお客様の実例データを紹介している記事がありますので、ご確認ください。
→ 2016年の月間発電量と天気まとめ 【岐阜・三重・愛知】
実例を見ると、2016年の東海三県は平均で1200kWh前後となっています。
※毎月の天候状況により、年間発電量は変化します。
❼.「今まで不具合が発生したことはありません。」と言う
「問題が発生していないこと」と「問題に気づいていないこと」は違います |
ある程度の設置実績がある太陽光発電の販売会社で「今まで1度も不具合がなかった」などということはありません。
もしも、あなたに「不具合がない」と言う人がいれば、次のいずれかの理由に当てはまるでしょう。
・メリットだけを伝えて売りたいがために、嘘をついている
・不具合が発生しているが、その不具合を認識していない
・設置件数が少ないためたまたま発生していない
特に多いのが「不具合を不具合と認識していない」パターンです。
メンテナンスの知識不足により、本当は問題が発生しているのに見過ごしている設備が多くあります。
故障や不具合が自然に回復することはありませんので、積み重なっていけば、やがて大きな損失となります。
まとめ
太陽光発電で失敗しないためには、「4.失敗・後悔しないために実践するべき5つのこと」を実践しましょう。
実践すべきこと | その理由 |
---|---|
① あなたが求める内容を明確化する | あなたが欲しいものと実際に提供されるものを一致させるため |
② 複数の業者から見積もりを取る | 信頼できる業者を見つけるため |
③ 自ら本などで情報収集をする | 業者の言うことを鵜呑みにしないため |
④ 設置後に発生する費用を知る | 設置後に予想外の出費をなくすため |
⑤ 安心して付き合える業者を見極める | 10年、20年の発電事業を安全・安心のもとに行うため |
この5つを実践し、「この業者が一番親切で信用できる」と思える会社を選ぶことで、失敗する可能性は下がり、納得感と満足感のある太陽光発電が導入できるでしょう
10年、20年という非常に長い期間運用する太陽光発電では、あなたの業者選びによって結果が大きく変わります。
「太陽光発電を買って良かった」と一人でも多くの方に思っていただければ幸いです。