固定価格買取制度がはじまって2017年で5年目を迎えました。
毎年下がる売電単価と設置費用によって、増設と過積載は多くの太陽光発電オーナーから高い関心が向けられています。
この記事をご覧のあなたも「太陽光発電の増設」と「パネルの過積載」という言葉をお耳にされたことがあるかもしれません。
同時に、設置業者や販売店の相次ぐ倒産や撤退、デタラメな説明やシミュレーションにより「増設」や「過積載」の効果については半信半疑…というお考えもあるのではないでしょうか。
この記事を読めば、増設や過積載のメリットと絶対に知っておくべき8つの注意点がお分かりいただけます。
効果については、ソラサポが2年以上の計測期間で比較した客観的な実発電量のデータをグラフで示しています。
現在の発電量に満足している方や、これから設置をご検討される方にもお役に立てる内容です。
かなりボリュームがあるので、一度に読みきれないかもしれません。
今のうちにブックマークをお願いします。
なお、記事の最後には、増設に関する小冊子のプレゼントのお知らせもありますのでぜひ最後までお読みください。
過積載の規制強化に関しても解説をしました。(2017.2.2追記)
みなし認定移行手続き中に増設・変更の申請をする方法が発表されました。
規制後は、認定取得後に太陽光パネルの合計出力の増加に大幅な制限(3.0kW未満or3.0%未満)が設けられる予定です。今までのように、設置後にパネルを10kW増やすような変更はできなくなってしまうでしょう。(=事後的な過積載の規制)
つまり、固定価格買取認定取得済み案件のパネル枚数を大きく増やす最後のチャンスです。
みなし認定移行手続き中に増設・変更の申請をする方法を解説していますので、ぜひご覧ください。
太陽光パネル増設・変更の申請方法|50kW未満みなし認定移行中の方向け
1.太陽光パネルの増設とは?
1-1. 太陽光発電の「増設」の意味
- 増設とは
- 「増設」とは、売電開始後の太陽光発電所に太陽光パネルの設置枚数だけを増やすことです。(2017年3月現在)
「2017年3月現在」としてあるのは、固定買取価格制度(FIT法)のルール変更に伴って「増設」の意味や工事内容が変わるためです。過去には、パワコンの増設も可能で発電設備の出力そのものを上げられました。
ピンと来ないかもしれませんので、ルールの変遷をご紹介します。
1-2. 増設(容量)の変更に関する固定価格制度ルールの変遷
《固定買取価格制度の開始当初》の増設
→パワコンの設置容量が50kW未満ならいくらでも増やしてOK!(固定買取価格制度の開始当初)
《2015年4月1日以降》の増設
→申請出力からわずかでも増やしてはダメ!
というようにルールが変わりました。
いずれも、範囲を超えると売電単価の取り直しになりますのでよくよく理解しておかないと大変なことになります。
このように変化しているルールは、今後も厳しい方向に変わる可能性があります。
余談:当初は、設備容量50kW未満の低圧の区分を越えなければいくら増やしても良かったので、こんなことができました。
(例)自宅の隣の畑を農地転用して屋根+野立て増設
パネル6.0kW+パワコン5.5kWが、なんとパネル55.0kW+パワコン49.5kWの発電所に!
1-3. パネル増設の目的は、設備の利用効率を上げて利益を増やすこと
多くの方にとって、太陽光パネルを増設する目的は利益を増やすことです。
利益を増やすためには、太陽光発電システムの稼働率(=投資効率)を上げることが必要です。
目的を達成するためには、次に挙げる2つの事実を確実に理解しておきましょう。
理解が十分でないと、目的を十分に達成できませんので要注意です。
太陽光パネルの過積載をする前に、理解しておくべき2つの事実
事実1:太陽光パネルの増設は、パワコンが遊んでいる時間を減らした分だけ、システムの稼働率が上がる。(売電収入が増える。)
事実2:太陽光パネルを増設は、導入費用(イニシャルコスト)と保守・維持管理費(ランニングコスト)が増える。
つまり、次の関係が成り立たなければパネル増設の効果は無意味に近くなります。
パネル増設で発生する費用(支出) < パネル増設で発生する収入
なんでもかんでも増やせば良い、というわけではありません。
1-4. 「パネル増設」と「パネル過積載」の違い
- パネル増設とは
- 「パネル増設」とは、連系済み(発電開始後)の太陽光発電システムにパネルを増やすこと(2017年3月現在)を指します。
- パネル過積載とは
- 「パネル過積載」とは、パワーコンディショナと太陽光モジュールの組み合わせにおいて、太陽光モジュールの出力がパワーコンディショナの定格容量を越えている状態(パネル>パワコン)を指します。
- 具体例としては、パワコン5.5kWに太陽光パネル8kwをつなぐ、パワコン49.5kWに対してパネル75kWつなぐ、といった状態です。
- 発電量の遠隔監視装置の普及によって、太陽光発電の客観的な発電量のデータが取得しやすくなり、「増設」をするメリットが、多くの方に知れ渡ってきました。『それなら発電開始の最初からパネルを多めにつないでおこう。』としたのが過積載です。
1-5. 増設で発生する費用の一覧 1kWの目安は13万円〜20万円
設置場所の条件は一所ごとに異なりますのであくまで目安としてお考えいただきたいのですが、どこの業者でも1kWあたり13〜20万円でできるのではないでしょうか。(2017年現在)
一般的に、増設量が少なく送料など一定の費用が発生すると、割高になる傾向です。
増設する容量にもよりますが、パワコンの費用が発生しないのでかなり割安に抑えることができます。主に発生する費用はこちらのとおりです。
設備・部材代 | 工事代 | その他の費用(発生しない場合あり) |
---|---|---|
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2.過積載の効果で48%アップ 増設前後の年間発電量データで比較
論より証拠ということで、太陽光発電設所の実発電データをご紹介します。
愛知県に設置した4基の太陽光発電所のうちの1基に増設をした結果、年間発電量が前年より48%アップしました。
今回ご紹介する太陽光発電所4基をそれぞれ(1)(2)(3)(4)とします。
太陽光発電所(1)増設あり
太陽光発電所(2)(3)(4)増設なし
まずは、パネル増設後に過積載の状態となった太陽光発電所(1)の発電量を見てみましょう。
増設前後のそれぞれ1年間の発電量を計測・比較し、さらにそれぞれの期間の日照時間も比較していますのでご参考になると思います。
2-1. 太陽光発電所(1)の概要【増設あり】
太陽光発電所(1)は、当初のパネル容量36.0kWから55.8kWに増設しています。パワコンの容量は、当初の39.6kWから変更していません。
設置場所:愛知県I市
増設前 | 増設後 | 増設分 | |
---|---|---|---|
太陽光パネル | トリナソーラー | トリナソーラー | トリナソーラー |
パワコン | 田淵電機3相 | 変更なし | – |
設置角度 | 30度設置 | 30度設置 | 30度設置 |
発電量計測期間 | 期間A:2014.8.1-2015.7.31 | 期間B:2015.8.1-2015.7.31 | – |
2-2. 発電所(1)の年間発電量と昨年比
【図1】は、愛知県稲沢市に設置した太陽光発電所の月別発電量を比較したグラフです。
比較対象は、太陽光パネル増設前の期間Aと増設後の期間Bで、それぞれ1年間です。
期間Aに対して期間Bの年間発電量は148.3%でした。
期間A:2014.8.1-2015.7.31
期間B:2015.8.1-2015.7.31
増設前 | 増設後 | 増設分 | |
---|---|---|---|
太陽光パネル | 36.0kW | 55.8kW | 19.8kW |
パワコン | 39.6kW | 変更なし | – |
発電量計測期間 | 期間A:2014.8.1-2015.7.31 | 期間B:2015.8.1-2015.7.31 | – |
年間発電実績 | 44,267kWh | 65,523kWh | 148.3% |
増設前の期間Aの年間発電量は44,267kWhであるのに対して、増設後の期間Bは65,523kWhでしたので年間発電量は48%アップしたことになります。発電量の増加率を月ごとに比べると、最も低い11月でも15%、最も高い3月では72%もアップしています。
しかし、厳密にはこの比較だけでは「増設に効果があった」と言い切れるのでしょうか。
日照時間などの外部環境の変化も考慮しなくてはいけません。
例えば、期間Aはとても天気が悪い年で、期間Bはとても天気が良かったのかもしれませんよね。
そこで、次の章では増設をしていない発電所(2)(3)(4)の発電量を同じ計測期間で比較します。さらに、同じ計測期間中の日照時間も比較することで過積載の効果の信頼性を検証しましょう。
なお比較対象の設備は、太陽光発電所(1)と400mしか離れていませんので発電所ごとの天候差はありません。
3.パネル増設をしていない発電所3基分の年間発電量と作年比
つぎに、増設した発電所の比較対象として、増設なしの発電所3基分の2年間のデータを抽出してグラフにします。
3基はいずれも、下記の構成です。
3-1. 太陽光発電所(2)(3)(4)の概要【増設なし】
設置場所:愛知県I市
太陽光パネル | トリナソーラー |
パワコン | 田淵電機3相 |
設置角度 | 10度 |
発電量計測期間 | 期間A:2014.8.1-2015.7.31 期間B:2015.8.1-2015.7.31 |
3-2. 増設をしていない発電所との年間発電実績を比較
増設をしていない発電所(2)(3)(4)の発電実績をグラフで見てみましょう。
年間発電実績をまとめると【表4】になります
発電所名 | 年間発電実績 | 昨年比 (B/A) | 増加率 | |
---|---|---|---|---|
期間A | 期間B | |||
増設なし(2) | 60,643kWh | 65,087kWh | 107.3% | +7.3% |
増設なし(3) | 61,572kWh | 61,645kWh | 100.1% | +0.1% |
増設なし(4) | 60,765kWh | 61,786kWh | 101.6% | +1.6% |
増設あり(1) | 44,267kWh | 65,523kWh | 148.3% | +48.3% |
発電所(1)は昨年比で48.3%増
発電所(2)は昨年比で7.3%増
発電所(3)は昨年比で0.1%増
発電所(4)は昨年比で1.6%増
増設のあり・なしの年間発電実績を調べて比較した結果
増設ありの「太陽光発電所(1)」だけ飛び抜けた増加率を示しています。
次の章では、同じ計測期間中の日照時間(外部環境)の変化を比較して検証します。
4.日照時間と発電量を比較して増設の効果を確認
太陽光発電の発電量は、日照時間にほぼ比例しますので増設なしの「図2」〜「図4」と同じような形のグラフになるはずです。
気象庁の日照時間のデータを元に、増設前と増設後の各1年間(期間Aと期間B)の日照時間を比較したグラフ(図5)にしました。日照時間の平年値(1980-2010年の30年間の平均)を黒の破線で入れてあります。
期間Aに対する期間Bの日照時間は、112.1%でした。
* 増設の有無の比較と日照時間の比較から効果がわかる
日照時間の比較「図5」と「図1」〜「図4」を比べてください。パネルやパワコンの構成や故障などの内部環境に変化がなければ、日照時間の折れ線グラフとほぼ同じ形になるはずです。
図5 日照時間の比較グラフ | |
図1:太陽光発電所(1)増設あり | |
そして、「図1」だけが発電量に明確な差があることがわかりました。
以上のデータから「増設に発電量アップの効果あり!」とご納得いただけたのではないでしょうか。
5.パネル増設・過積載のピークカットに関するよくある誤解
* ピークカットよりも「ピーク届かず」の方がはるかに損!
発電した電気の一部が売れずに捨ててしまうなんて、もったいないし無駄に見えますよね。
- 太陽光発電のピークカットとは
- 過積載で話題になる「ピークカット」という言葉の意味は、パワコンに送り込まれた電気が、パワコンが処理できる容量以上になった場合に生じる電気の損失分のことです。
- 太陽光発電システムは、太陽光パネルで作り出した直流の電気をパワーコンディショナが交流の電気に変換することで、電力会社の系統に送ります。パワコンが一度に処理できる電気の量には上限があり、その上限を超えた分は変換ができません。
つまり、「ピークカット=損」
という認識は、正しいのです。正確には、半分正解です。
なぜなら、そもそも太陽光発電は常に発電量がピークに達しているわけではないからです。
太陽光発電所をラーメン屋さんに例えると、席数が多いのに客数が少なくガラガラに空いてるお店のようなものです。ランチタイムの一瞬だけ、お店からお客さんが溢れることを恐れて必要以上に広いお店を構える人はいませんよね。
それよりも、開店から閉店までお客さんで溢れるお店が理想的ではありませんか?
* 発電ロスの要因を考えるとピークカットは微々たるもの
前項で、「そもそも太陽光発電は常に発電量がピークに達しているわけではない」とご説明しました。
太陽光パネルの公称出力は、「基準状態」という条件の整った理想的な環境での発電量です。
つまり、太陽光パネルは、基準状態と同程度かそれ以上に良い状況でないと、公称出力と同じだけの発電量は出ません。
(※「基準状態」とは、おおまかには「AM1.5、1000W/平方メートル、25℃」太陽光パネルの温度や日射量、太陽の高度角等について定めた測定のための基準です。)
実は、1年のうちでこの条件を満たす時間はごくわずかです。
太陽光パネルは、ほとんどの場合で本来の性能を発揮していません。例えば…
・日差しの強い夏場はパネルが熱くなって発電効率が下がります。
・パネルの熱くない冬場は日差しが弱く、発電量が下がります。
・朝、夕も日差しが弱く、発電量が下がります。
・春や秋でも、雲がかかってしまっては日差しが弱くなってしまいます。
ピークカットを恐れるあまり、パワコンの性能を活かせないのは機会損失が続いている状態ということです。合理的ではありません。
実際はピークに届かないことで得られない利益の方がはるかに大きいからです。それでも、ピークカットにばかり注目してしまうのは「損失回避バイアス」(※)が働いているためです。
(※)…損失と利益を比べた時に同じ量であっても損失を回避したいという気持ちが強くなる心理。例えば、1万円を貰うのと、1万円を失うのでは、同じ1万円という額であっても、心理的な影響は1万円を失うことの方が大きくなる。
過積載になっていれば、パネルを多く繋いだ分、発電量も増えます。
また、直列枚数を増やすパネルのつなぎ方をすることで、パワコンが動きだす「起電圧」に達しやすくなるので、発電量が多くなります。
つまり、こちらの図のようになります。
ピンクの「B」の部分が過積載で増える発電量です。元々の発電量である、青い部分と比べて、朝の発電開始と夕方の発電終了の時間も長くなります。
6.太陽光パネル増設前に絶対に知っておくべき8つの注意点
増設と過積載のメリットは十分にお分りいただけたと思います。この章では、増設時にやってしまいがちな8つの手痛いミスを挙げていきます。実際に、これを知らずに増設をして後悔している方もいらっしゃいますのでよく把握しておきましょう。
①設備認定の軽微変更申請または変更認定申請が必要 認定取り消しにならないように注意!
「変わるのはパネル枚数だけだから、特に手続きはないでしょ?」と思われがちですが、増設にも必要な手続きがあります。
・同じパネル型式で増設する場合は、軽微変更申請が必要。
・異なるパネル型式で増設する場合は、変更認定申請が必要。
(旧FIT法 2017年1月11日現在)
平成29年(2017年)4月1日からは固定買取価格制度が新制度(改正FIT法)に移行します。
・軽微変更や変更認定申請なども法改正とともに手続きが変更になります。
・すでに発電開始している発電所も、新制度に移行するための書類を提出することになります。いざ移行する時に困らないよう、手続きを怠らないようにしましょう。
改正FIT法については、こちらの記事をお読みください。
『9分でわかる改正FIT法|太陽光の認定取消を回避する手続きと義務【随時更新】』
②電力会社への変更申込が必要
太陽光発電設備と電力網(電力会社の電柱)をつなぐ「引き込み線」(図の赤線で囲んだ部分)と、ブレーカーの取り替えが必要になる場合があるので、電力会社へも変更申込が必要です。
ブレーカーの交換を怠ると、ブレーカーが落ちて売電が止まってしまいます。
引き込み線の交換を怠ると、出力に耐えられず事故や劣化の原因となります。
引き込み線の交換が必要かの判断と交換作業は、電力会社が行います。
同じ業者で増設する場合は必要な情報が揃っているので設置業者が行ってくれると思いますが、違う業者で増設する場合は必ず確認しておきましょう。
③既設分と異なるパネルメーカーで増設してもOK
増設のルールとして、既設の太陽光パネルと同じパネルを設置する必要はありません。
多結晶のパネルを設置している発電所に単結晶のパネルを増設することもできます。
もちろん、異なるメーカーのパネルでも大丈夫です。
(例外として、ソーラーフロンティアに代表される化合物系のパネルは、シリコン系のパネルと混ぜられません。)
パワコンが対応しているかにご注意ください。
④設置角度のシミュレーションも重要!
すでに発電しているパネルと同じ角度で増設するよりも、角度を変えて増設したほうが発電量が増える場合があります。
何故なら、同じ設置容量であっても角度によって得意な季節(よく発電する季節)は異なるからです。
ただし、配線の組み換えが必要な場合など、異なる角度で設置することができないこともあります。
設置された環境、構成、条件によって最適な構成は異なりますので、シミュレーションが非常に重要です。
⑤売電期間は「既設の太陽光パネルで売電開始した日から」計算して残りの期間を把握する
売電単価に変更がない増設の場合、売電期間は「既設の太陽光パネルで売電開始した日から」10年間(10kW未満)または20年間(10kW以上)です。
増設をしても、売電期間は延長されません。
つまり、残りの売電期間を考えると、できるだけ早く増設したほうがお得になります。
例えば、10kW以上の太陽光発電所で発電開始から4年後に増設をした場合、元々の売電期間は20年間から消化済みの4年を引くと残りの売電期間は16年間になります。
⑥【要注意】売電単価が下がるケース(=認定取り直し)
太陽光パネルの増設で売電単価が下がる場合
- 元々10kW未満の設置で、増設によって出力が10kWを超えてしまう場合
- 元々10kW以上設置で、認定出力が0.1kWでも上がってしまう場合
増設分だけでなく、既設分の売電単価も下がってしまいます。
特に、太陽光パネルの出力>パワコンの出力となっている場合は要注意です。
【注】増設分に子メーターを設置して、既設分の単価を維持は可能。しかし…
増設分に子メーターを設置して、既設分の単価を維持することはできます。
ですが、毎月の検針や、10年に1度の子メーター取り替えをご自身で行う必要があります。
他にも条件が厳しく、はっきり言ってお勧めできません。
どんな人でも10年後・20年後まで元気である保証はないからです。
ご家族がそれを引き継ぐ場合、かなりの負担になることと思われます。
⑦メンテナンス通路は絶対に確保する
太陽光発電はメンテナンスフリーではありません。
設備そのものに問題はなくても、自然災害や投石など外部要因で壊れることがあります。
最低でも、交換用のパネルを持って通れる程度の通路が必要です。
⑧パワコンのメーカー保証の範囲を確認して保証対象外になるのを避ける
1台のパワコンに際限なく太陽光パネルを繋げることはできません。
なぜなら、パワコンに接続できる太陽光パネルの枚数は、電流値と電圧値で決まるからです。これを守らず、電流値または電圧値がパワコンの許容範囲を超えると、メーカー保証対象外となります。
他にも、パネルとパワコンをセットで購入していた場合など、他メーカーのパネルを増設したら保証対象外になる場合もあります。
実際に、メーカー保証が無くなった方もいらっしゃいますのでご注意ください。
7.過積載は「改正FIT法」で規制される?(2017.2.2追記)
改正FIT法の施行後に、増設や過積載についても規制が入る可能性が出てきました。
こちらは、平成29年1月に資源エネルギー庁が総合資源エネルギー調査会で配布した資料の一部です。
以下、資料より引用します。
事後的な太陽光パネル容量の増加への対応
◼︎ 調達価格等算定委員会において、過積載については「蓄電池を併設した形で、過積載率を高めている事例も見られるため、実態を調査した上で、必要な対応を検討すべき」との指摘があった。
◼︎ 認定取得後に過積載が行われる場合、例えば、40円案件や36円案件が調達価格を維持したまま、適用される調達価格の想定コストより安価に設備を設置することが可能となるため、国民負担との関係でどのように対応すべきか、今後、調査・検討を進めていく。資料1 改正FIT法施行に向けて(PDF形式:3,473KB)PDFファイル より 強調部筆者
2017年で5年目を迎える固定価格買取制度は、当初、想定していなかった問題(例えば「低圧の分割設置」)などもその都度少しずつ改正されてきた経緯があります。
2017年4月から施行される「改正FIT法」の大型アップデートでは、過積載は規制の対象となりませんでした。しかし、過去の例から見ても規制は厳しくなる一方なので、考慮しておく必要があるでしょう。
平成29年4月1日から施行された「改正FIT法」についてまとめた記事を公開しました。
ぜひご覧ください。
9分でわかる改正FIT法|太陽光の認定取消を回避する手続きと義務【随時更新】
まとめ メリットだらけの増設はやらなきゃ損!
パネルの増設と過積載に関する疑問や不安が少し解消できたでしょうか?
「絶対に知っておくべき8つの注意点」で挙げた内容を守って、適切な方法でパネルの増設をすれば、費用対効果の高い設備投資が行えることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
太陽光発電に関するルールは、年々厳しくなる方向で変更されてきた経緯がありますので、設置できる面積があればルールが変わらないうちに増設を行うことをおすすめします。まずは、見積もりを取りましょう。
【重要】2017年7月25日追記:経済産業省が増設の規制強化についてパブリックコメント募集中です
2017年7月25日現在、経済産業省が増設の規制強化について パブリックコメント を募集しています。
内容は、太陽光パネルを3kW以上または合計出力の3%以上増設する場合、売電単価を下げるというものです。
いつから実施するのか、7月現在変更手続きを行なっているものの扱いがどうなるのか不明確な状況です。
※経済産業省 固定買取価格制度及びグリーン投資減税に関するお問い合わせ窓口
TEL:0570-057-333 PHS/IP電話からは042-524-4261