最終更新日:2017.09.02
2017年8月31日の過積載に関する省令改正を受けて
平成29年8月31日に資源エネルギー庁より、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令等が公布されました。この改正により、発電開始後の事後的な過積載や、設置前に太陽光パネルの合計出力等の変更に制限が設けられました。
省令改正(新ルール)の内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
以下の記事は、2017年7月31日現在の申請方法です。2017年8月31日の省令改正公布以降、申請することができません。
(追記部分終わり)
この記事は、みなし認定移行手続き中に電子申請上で変更手続きを行うことができない方が対象です。
みなし認定の移行手続きが既に完了して、経産省に受理されている方は、電子申請で申請を行ってください。
この記事を読むとわかること
・50kW未満の太陽光発電の設置前(or設置後)にパネル増設をするための手続き
※みなし認定移行手続き申請中に限る
平成29年7月31日に資源エネ庁より、みなし認定移行手続き中に太陽光パネルの合計出力を変更する方法が発表されました。
これによって、年明けからシステムの都合でできなかったパネル増設の手続き(仮受付)が可能になりました。
発表資料:50kW 未満の太陽光発電設備に係る新制度への移行手続完了前の事業計画の変更認定申請及び変更届出について
今後は、認定取得後に太陽光パネルの合計出力の増加に大幅な制限(3.0kW未満or3.0%未満)が設けられる予定です。今までのように、設置後にパネルを10kW増やすような変更はできなくなってしまうでしょう。(=事後的な過積載の規制)
根拠:「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令等」より
つまり、固定価格買取認定取得済み案件のパネル枚数を大きく増やす最後のチャンスです。
この記事には、今回の特例に利用した増設に必要な手続きとその手順が詳しく記載されています。増設や変更の予定がある方や、設備効率や敷地面積の有効利用をお考えの方は、ぜひ最後まで読んで省令改正の前に適切な手続きをしておきましょう。
制度改正の発表については、なっとく!再生可能エネルギー(資源エネ庁)で公表される予定です。
1.申請方法は増設・変更するパネルの型式で決まる
ひと口に増設や変更と言っても、状況は様々ですので、どの手続きをするべきか戸惑う方も多いかもしれません。しかし、見分け方は非常にシンプルです。
必要な申請は、認定取得時の太陽光パネル型式と、増設または変更したいパネルの型式が一致するかどうかで決まります。
・パネル型式が一致していない:「変更認定申請」と「事前変更届出」の手続きが必要です。
・パネル型式が一致している :「事前変更届出」の手続きが必要です。
※「型式」とは、製品の「型・モデル」を特定するものです。「型式」は、パネルメーカー・パネル種類(単結晶・多結晶・化合物など)・パネル出力(ワット数)・セル数・サイズ等、どれか一つでも違えば異なります。
下の図の1〜4に、増設・変更の具体例を挙げます。多くの方がどれかに当てはまると思います。選んで次の章に進んでください。
◆ 異なるメーカーのパネルで増設をしたい場合
図1:認定を受けている太陽光パネルと増設(追加)したいパネルの型式が異なる場合は、「変更申認定請」と「事前変更届出」が必要です。太陽光発電がすでに発電開始しているか、未着工かは関係ありません。
変更認定申請と事前変更届出の申請手順|異なるパネル型式での増設・変更する場合 へ移動
◆ 同じメーカーの異なる出力・種類で増設をしたい場合
図2:認定を受けている太陽光パネルと同じメーカーの最新モデルを増設(追加)したい場合は、パネルの型式が異なるので、「変更申認定請」と「事前変更届出」が必要です。太陽光発電がすでに発電開始しているか、未着工かは関係ありません。
変更認定申請と事前変更届出の申請手順|異なるパネル型式での増設・変更する場合 へ移動
◆ 申請していたパネルから、設置前に全て異なるメーカーに変更したい場合
図3:認定を受けている太陽光パネルと、実際に設置するパネルのメーカー・パネル容量・種類が異なる場合は、「変更申認定請」と「事前変更届出」が必要です。
可能な条件:①2016年8月1日以降に接続契約の締結ができている場合 ②すでに発電開始済みの設備で、自然災害など何らかの理由でパネルが全滅してしまい新たに設置する場合 ※①・②のどちらにも当てはまらない場合は、売電単価が下がりますので慎重にしましょう。
変更認定申請と事前変更届出の申請手順|異なるパネル型式での増設・変更する場合 へ移動
◆ 全く同じパネルを増設したい場合(=型式の変更がなくパネルの合計出力「だけ」変更する場合)
図4:認定を受けている太陽光パネルと全く同じもので増設(追加)する場合は、パネルの型式が一致するので、「事前変更届出」が必要です。太陽光発電がすでに発電開始しているか、未着工かは関係ありません。
事前変更届出だけの申請手順|増設するパネル型式が一致する場合 へ移動
2.異なるパネル型式での増設・変更する場合の申請手順|変更認定申請と事前変更届出の両方が必要
パネルの増設・変更で、固定価格買取の認定を受けているパネルと型式が不一致の場合は、「変更認定申請」と「事前変更届出」の両方の手続きが必要になります。
STEP① 申請様式第3 または 4をダウンロードする
まずは、資源エネルギー庁の 変更認定申請書・届出書 より以下の書類をダウンロードしましょう。
・10kW以上の設備は、様式3をダウンロードしましょう。
様式第3 再生可能エネルギー発電事業計画変更認定申請書(10kW未満の太陽光発電を除く)
・10kW未満の設備は、様式4をダウンロードしましょう。
各様式の記載には資源エネ庁の記載要領をご参照ください。
記載要領(pdf)
※みなし認定の移行手続き完了後、改めて変更認定申請の電子申請を添付書類の提出を含めて行ってください。
STEP② みなし認定移行手続き画面を印刷する
みなし認定移行手続きをしている方は、再生可能エネルギー発電事業計画書【みなし認定用】の写し(WEBでの手続きをしている場合、申請情報画面の写し)を、紙媒体で提出する変更認定申請に添付して提出してください。
みなし認定移行手続きを行っていない方は申請ができませんので、早急にみなし認定の移行手続きを行ってください。
みなし認定移行手続きについて詳しく知りたい方はこちら
みなし認定の移行手続きガイド|20分で完了する事業計画の提出方法 9月30日締め切り
STEP③ 申請書を作成する
認定計画情報の中で、「太陽電池に係る事項」の下に「太陽電池の合計出力(kW)」を追加しましょう。
(元画像:資源エネルギー庁発表資料 50kW 未満の太陽光発電設備に係る新制度への移行手続完了前の 事業計画の変更認定申請及び変更届出について)
必要事項を記入の上、追加・変更するパネルメーカーや型式を記載してください。
パネルの形式と変換効率については、資源エネルギー庁が発表していますのでこちらをご参照ください。
太陽光パネル型式リスト (pdf)
記入例(ケーススタディ):40.0kW→45.2kWにパネル増設する場合
ご参考までに記入例を一つ記載します。
ソラサポが、パネル容量40.0kW・パワコン容量39.6kWの稼働済み太陽光発電システムを持っていたとします。敷地には、まだパネルを設置できる面積がありパワコンにも余裕があるのでパネルを増設することにしました。
現在、多結晶250wのパネルを160枚設置していますが、同じメーカーで多結晶260wの最新パネルを20枚(260w×20枚=5.2kW)増設することにしました。
発電出力が10kW以上なので、この場合、申請様式第3を使用します。
変更概要 | |
---|---|
発電開始時期 | 運転開始済み(平成26年4月26日) |
設置済みのパネルの容量と枚数 | Y社製 250w多結晶パネル(160枚) |
新たに追加したいパネル容量と枚数 | Y社製 260w多結晶パネル(20枚) |
増設する太陽電池の合計出力 | 5.2kW |
(↓クリックすると様式第3の1ページ目が拡大されます↓)
(様式3の記入例)
申請者 | 住所、氏名、電話番号を記入後、押印(法人の場合は法人番号を記載する) |
---|---|
設備ID | 認定設備等に記載されている、あなたの設備に割り当てられたIDです |
設備名称 | 無い場合は空白 |
発電出力(kW) | 認定を受けている発電所の発電出力 (パネルの出力ではありません) |
設備の所在地 | 認定を受けている設置場所 |
運転開始の有無 | 未稼働もしくは稼働済み(稼働済みの方は運転開始日を記載する) |
変更概要 | 太陽光発電の場合は「認定計画情報」 |
担当経済局 | 管轄の経済産業局を記載(申請様式に記載されています) |
次に様式第3にある「太陽電池に係る事項」に変更内容を記載しましょう。
※スマホで見にくい方は画面を横にしてご覧ください。または画像をタップして保存してご覧ください。
STEP④ 書類を郵送する
申請書類が準備できたら、JPEA代行申請センターまで郵送しましょう。
〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号3東洋海事ビル2階
JPEA 代行申請センター(JP-AC)
※注意点※
・必ず書類が到着したことがわかる方法(書留等)で郵送しましょう。なぜなら郵便事故や「送った!届いてない!」の水掛け論を防ぐためです。
・提出する変更認定申請及び変更届出は改正省令の施行日の前営業日の17時までに到達したものまでが受付されます。
・間違えて千葉県船橋市湊町の「再生可能エネルギー新制度移行手続代行センター」に送付しないようにしましょう。
STEP⑤ みなし認定移行手続き完了後、改めて電子申請を行う
みなし認定の移行手続き完了後、改めて変更申請及び変更届出の電子申請を添付書類の提出を含めて行ってください。
電子申請を行わないと、紙で申請を行っても変更手続きが完了しませんのでご注意ください。
3章は、太陽光パネルの合計出力のみを変更する場合(=パネル型式が一致する場合=同じメーカーで同じW数の同じ種類のパネルを増やす)の解説なので、関係ない方は、読み飛ばして4章に進んでください。
4.変更申請時の5つの注意点 へ進む
3.一致するパネル型式で増設する場合の申請手順|事前変更届出だけ必要
本章では、太陽光パネルの合計出力のみを変更する場合を解説します。
例えば、既に稼働済みの太陽光発電所に使用しているパネルと全く同じパネルを増設する場合は、こちらの手続きです。未稼働案件でも、認定を受けているパネルのメーカーや型式を変えずに、合計出力のみ変更する場合は、「変更届出」となります。
STEP① 申請様式第5をダウンロードする
まずは、資源エネルギー庁の 変更認定申請書・届出書 から様式第5をダウンロードしましょう。
様式第5の記載要領(pdf)
※みなし認定の移行手続き完了後、改めて変更届出の電子申請を添付書類の提出を含めて行ってください。
STEP② みなし認定移行手続き画面を印刷する
みなし認定移行手続きをしている方は、再生可能エネルギー発電事業計画書【みなし認定用】の写し(WEBでの手続きをしている場合、申請情報画面の写し)を、紙媒体で提出する変更届出に添付して提出してください。
みなし認定移行手続きを行っていない方は申請ができませんので、早急にみなし認定の移行手続きを行ってください。
みなし認定移行手続きについて詳しく知りたい方はこちら
みなし認定の移行手続きガイド|20分で完了する事業計画の提出方法 9月30日締め切り
STEP③ 申請書を作成する
まず、ダウンロードした申請様式5に必要事項を記入します。
(↓クリックすると様式第5の1ページ目が拡大されます↓)
(様式第5の記入例)
届出者 | 住所、氏名、電話番号を記入後、押印(法人の場合は法人番号を記載する) |
---|---|
設備ID | 認定設備等に記載されている、あなたの設備に割り当てられたIDです |
設備名称 | 無い場合は空白 |
発電出力(kW) | 認定を受けている発電所の発電出力 (パネルの出力ではありません) |
設備の所在地 | 認定を受けている設置場所 |
運転開始の有無 | 未稼働もしくは稼働済み(稼働済みの方は運転開始日を記載する) |
変更概要 | 太陽光発電の場合は「認定計画情報」 |
担当経済局 | 管轄の経済産業局を記載(申請様式に記載されています) |
次に、様式第5の「太陽電池の合計出力」に必要な変更箇所の欄(下の図の記載例では、「太陽電池の合計出力」「保守点検及び維持費用」「撤去及び処分費用」)を追加してください。
(元画像:資源エネルギー庁発表資料 様式第5 再生可能エネルギー発電事業計画事前変更届出書記載要領)
「太陽電池の合計出力(kW)」の欄を追加後、変更内容を記入しましょう。
記載例の場合は、変更前が「400kW」で変更後が「450kW」ということです。
つまり50kWの増設を行う申請となります。
あなたが40kWのパネル出力から45kWのパネル出力に申請したい場合は、変更前に「40.0kW」変更後に「45.0kW」と記入しましょう。
STEP④ 書類を郵送する
申請書類が準備できたら、JPEA代行申請センターまで郵送しましょう。
〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号3東洋海事ビル2階
JPEA 代行申請センター(JP-AC)
※注意点※
・必ず書類が到着したことがわかる方法(書留等)で郵送しましょう。なぜなら郵便事故や「送った。届いてない。」の水掛け論を防ぐためです。
・提出する変更認定申請及び変更届出は改正省令の施行日の前営業日の17時までに到達したものまでが受付されます。
・間違えて千葉県船橋市湊町の「再生可能エネルギー新制度移行手続代行センター」に送付しないようにしましょう。
STEP⑤ みなし認定移行手続き完了後、改めて電子申請を行う
みなし認定の移行手続き完了後、新ためて変更申請及び変更届出の電子申請を添付書類の提出を含めて行ってください。
電子申請を行わないと、紙で申請を行っても変更手続きが完了しませんのでご注意ください。
4.変更申請時の5つの注意点
申請時に注意するポイントは5つあります。
不備になってしまうと、申請が無効になってしまう可能性がありますので、ご注意ください。
注意点① 書類提出の期日を守る
書類到着期日は、改正省令の施行日の前営業日の17時までです。
増設の申請は、直接の持ち込みは受け付けてもらえません。また、〆切日は消印日ではないので注意しましょう。
注意点② 郵送は追跡可能なもので送る
1箇所の提出場所に全国から書類が集まります。
万が一、書類が紛失してしまった場合を考慮して、到着したことが証明できるもので郵送しましょう。
例:レターパック(コンビニや郵便局でお買い求めいただけます)
※レターパックは郵便物の中身を証明するものではありません。
レターパックプラス | レターパックライト |
送付する書類も、封筒を糊付けする前にコピーをとっておきましょう。
注意点③ 申請書類の郵送先を間違えないようにする
増設の申請書類の郵送先は、こちらです。
〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目23番1号3東洋海事ビル2階
JPEA 代行申請センター(JP-AC)
間違えて千葉県船橋市湊町の「再生可能エネルギー新制度移行手続代行センター」に送付しないようにしましょう。
送り主(あなたの)住所・氏名・電話番号も確実に記載しておくことを忘れてはいけません。投函前に写真を取っておきましょう。
注意点④ 売電単価の変更なく申請ができるか確認する
売電単価の変更なしでパネルの増設もしくは過積載ができるかを確認しましょう。追加するメーカーやパネルの種類によっては売電単価が下がってしまう可能性がありますので、ご注意ください。
太陽光発電の運用変更に関する資料
(画像引用元:資源エネルギー庁 平成28年8月1日以降に接続契約を締結する太陽光発電設備の運用変更について より)
注意点⑤ みなし認定移行完了後、2ヶ月以内に改めて電子申請を行う
今回の特例措置での増設・変更の申請は、あくまで「仮受付」という状態です。
完了させるには、「みなし認定移行手続き」が完了した状態で、今回提出する「変更認定申請」または「変更届出」を、改めて電子申請で2ヶ月以内に提出する必要があります。(二度手間ですがそういうルールなので仕方ありません。)
電子申請システムで手続きを完了させるには、添付書類が必須となりますので、今から用意しておきましょう。
添付書類の一覧表(pdf)
注意点+α 増設工事完了までに準備しておくべき4つのこと
実際に増設工事を行うまでに準備・考慮しておくべきポイントが4つあります。
パネルの増設でメンテナンス料金が高くなる場合がある
年間メンテナンス契約を結んでいる方などはパネル枚数の変更により、メンテナンス料金が変わってくる場合があります。
事前にメンテナンス会社に相談しましょう。
ブレーカーのアンペア数 容量が不足する場合がある
パネル枚数が増加すると、既設のブレーカーのアンペア数では足りなくなる可能性があります。
容量不足で、ブレーカーが飛んだり発電が停止(売電収入の減少)しては増設の意味がありません。
事前に施工店に確認しましょう。
電力会社に申請をする必要がある
発電開始前でも後でも、電力会社への申請と異なる設備になる場合は、電力会社に申請をしましょう。
当初の申請よりパネル容量が大きくなる場合は、電力会社が設計した幹線の太さでは足りなくなってしまうケースがあります。
基本的には、増設等の申請が完了した時点で申請をします。
発電出力まで変わった場合は、太陽光の標識も書き換える必要がある
発電出力の変更※により、標識の書き換えが必要になります。
※パネルの合計出力の変更ではなく「発電出力」の変更があった場合
20kW以上の野立て太陽光発電をお持ちでまだ設置していない方はお早めに設置しましょう。
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5.みなし認定移行中にできる増設手順のまとめ
いかがでしたでしょうか。みなし認定移行中でもできる増設の申請手順がおわかりいただけたでしょうか。
おそらく、発電開始後のパネル増設(=事後的な増設・過積載)は最後のチャンスとなります。
今回ご紹介したSTEP①〜④までを不備なく行い、送付の期日に気をつけてください。郵便事故や宛先の送り間違いなども発生することを考えて余裕を持ったスケジュールが必要です。
「みなし認定移行手続きが完了」したら改めてSTEP⑤の電子申請システムで「変更認定申請」や「事前変更届出」の手続きをする必要があることを忘れないでください。
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