ある日突然に経済産業省から届いたハガキで
あなたは太陽光発電の「申請だけしていた」ことを思い出されたのではないでしょうか。
実は、このハガキは、太陽光発電の設置を見送った人にも届くのです。
そして、申請を出したことを思い出したものの設置を見送ったあなたは、こんなことをお考えではありませんか?
「太陽光発電の設置は諦めたから、事業計画認定を取り下げよう。」
「自分でも簡単に認定の取り下げができるかな。」
「取り下げないと何か不都合が生じたら嫌だな。」
2017年に大きな法律改正(改正FIT法)があり、今まで出された全ての申請を見直すことになりました。
これによって、経産省は全ての申請に再提出(みなし認定移行手続きと言います)を促し、進展のない申請や実態のものは認定を取り消すこととしました。
しかし、一度出した認定を一方的に取り消すことはできないので、期日を設けてハガキで申請の催促を複数回しているのです。
認定を自主的に取り消すのは、必要書類も少なく他の手続きと比べて簡単な部類に入ります。
あなたにとって大きな不都合があるなら、取り下げ手続きを進めましょう。
この記事では、次の3つのことについて丁寧に解説していきます。
(1)認定を取り下げないことによる不都合
(2)事業計画認定(設備認定)の取り下げ手続き
(3)認定を手放すのはモッタイナイ!あなた自身で設置する以外の活用方法
一つ一つ実践していただければ、取り下げ方がお分りいただけると思います。
そして、せっかく持っているあなたの権利を上手に活用する方法にもお気づきいただけるでしょう。
ぜひ最後までお付き合いください。
1. 太陽光発電の認定を取り下げないと起きる2つの不都合
この章では、太陽光発電の認定を取り下げないことであなたにどのような不都合があるかを解説しています。
1-1. 不都合その1 みなし認定の場合、経産省から連絡が来る
みなし認定(2017年3月までに取得した設備認定)の場合、不定期に経産省から連絡が来ます。
経産省からの連絡は次のいずれかを完了しないと、終わりません。
・みなし認定の手続きを行う
・設備認定の取り下げ申請をする
・経産省が段階を踏んで認定を取り消す
運転開始期限 | ぺナルティ | |
---|---|---|
10kW未満の設備 | 1年 | 認定の取り消し |
10KW以上の設備 | 3年 | 1ヶ月単位で売電期間の短縮 |
1-2. 不都合その2 同じ地番、隣の地番で新たな事業計画認定を取得することができない
現在、太陽光発電の事業計画認定は一つの地番につき一つしか取得できません。
また、隣接地で、認定に記載されている発電事業者(あなた)が、新たにあなたの名義で事業計画認定を取得することもできません。(一部例外あり)
つまり、次のような場合は、今ある事業計画認定を取り下げないと、新たに事業計画認定を取得することができないので困ってしまいます。
・新しいパネルを使って、今ある事業計画認定よりももっと大きな発電設備を作りたい場合
・事業計画認定を取得した土地では開発許可の関係で設置できないので、隣の土地で作りたい場合
1-3. あなたにとって大きな不都合でないなら、売電価格を確保しておくことが賢明
取り下げない場合の不都合を2つ紹介しました。
あなたにとって大きな不都合でしょうか?
取り下げを行うと、確保している売電価格は取り消しになります。
今後新たに認定申請をしても、同じ売電価格を確保することはできません。
・今急いで取り下げるよりも、権利だけは確保しておく
・制度変更で罰則がつくようになる、と告知されたら取り下げる
2つの不都合があなたにとって大きなものでないなら、このような判断が賢明です。
活用方法を知りたい方は「4. 認定の活用方法」を読んでください。
2. 運転開始前に太陽光発電の認定を取り下げる方法
どうしても認定の取り下げが必要な方に、認定を取り下げる方法を説明します。
運転開始前の太陽光発電の認定を取り下げは、「発電事業廃止届出書」を書面で郵送して行います。
書式が決まっており、「なっとく再生可能エネルギー」で入手できます。
太陽光発電の規模に関係なく、同じ書類を使用します。
※将来的には電子申請システムを利用して、インターネット上で手続きが行えるようになる予定です。
2-1. 認定の取り下げに提出が必要な3つの書類と書類作成に必要となる2つの資料
認定を取り下げるためには、3つの書類を提出します。
また、書類を作成するために2つの資料が必要です。
認定取り下げのためにあなたが用意するべき書類と資料一覧
用意する書類 | 備考 | 入手先 |
---|---|---|
①. 再生可能エネルギー発電事業廃止届出書 | 提出が必要。 取り下げのために提出する書類。 | なっとく再生可能エネルギー |
②. 連絡票 | 提出が必要。 「1」の添付書類。 | なっとく再生可能エネルギー |
③. 印鑑証明(発行から3ヶ月以内) | 提出が必要。 「1」の添付書類。 | 役場 |
④. 返送用封筒 | 提出が必要。 切手貼付のうえ、返信先の宛名・住所を記載しておく。 | 文房具店・郵便局 |
⑤. 発電事業廃止届出書の記載要領 | 提出不要。 「1」の記入箇所や書き方、必須項目を確認する。 | なっとく再生可能エネルギー Wordファイル |
⑥. 認定通知書 | 提出不要。 | 実際に申請を行った人 |
⑦. 変更認定通知書 | ||
⑧. 設備情報参照画面 |
①【再生可能エネルギー発電事業廃止届出書】と⑤【記載要領】は「なっとく再生可能エネルギー」で入手できます。
記載要領では、項目ごとに記入が必須なのか任意なのか、どんな内容を記入するのか細かく説明しています。
迷った時に見返すことになるので必ず入手しましょう。
②【連絡票】も同じく「なっとく再生可能エネルギー」にwordファイルで様式が公開されています。
届出書と一緒に入手しておきましょう。
③【印鑑証明】は発行から3ヶ月以内のものが必要です。できれば、今回のために発行日が新しいものを取得しましょう。
⑥【認定通知書】には、①【発電事業廃止届出書】に記載する設備IDなどの情報が一通り書かれています。
ただし、認定通知書に記載されているのは、最初に認定を取得した時の情報です。
発電事業廃止届出書に必要なのは、今現在経産省に登録されている情報です。
認定取得後に設置者名義の変更や、設置住所の地番追加などの変更手続きをしている場合は、
⑦【変更認定通知書】か⑧【設備情報参照画面】が必要になります。
認定通知書、変更認定通知書、設備情報参照画面の入手方法は次の記事をご確認ください。
2-2. 【再生可能エネルギー発電事業廃止届出書】に記入する時の注意点3つ
【再生可能エネルギー発電事業廃止届出書】はA4用紙2枚の書類です。
下の画像で見た目を確認しましょう。
上の画像の赤枠内は【認定通知書】に記載されている内容を書き写します。
上の画像の緑下線の箇所を記入する必要があります。資料なしで記入できます。
【認定通知書】さえあれば非常に簡単な書類なので、次の3点にだけ注意してください。
・認定通知書を手元に準備して、確認しながら記入すること
・誰かに代行してもらう場合でも、届出者の名前や住所は「発電事業者」と同じものを書くこと
・実印を押すこと
2-3. 【連絡票】に記入する時の注意点2つ
連絡票は、不備があった場合などのために連絡先を伝えるためのものです。
A4用紙1枚の書類です。
画像の赤枠内:「担当者の連絡先①」に認定通知書の発電事業者名を記入します。
画像の緑下線:「担当者の連絡先②」は、誰かに代行してもらう場合に代行者の氏名と連絡先を記入します。
画像の緑枠内:あなたの同意を得るための必須の確認事項です。チェックを入れましょう。
こちらも簡単な書類ですが、次の2点に注意してください。
・発電事業者本人が申請する場合でも「担当者の連絡先②」のチェックボックスにチェックを入れる
・「必須確認事項」を読んで、全てにチェックを入れる
2-4. 【再生可能エネルギー発電事業廃止届出書】の提出先は、設備を管轄している地域の経済産業局
太陽光発電の設置住所を管轄している地域の経済産業局に郵送します。
あなたのお住いの地域ではありませんのでご注意ください。
50kW未満の場合でも、郵送先は地域の経済産業局です。
間違ってもJPEA代行申請センターに送らないように気をつけましょう。
経済産業局の担当部署は「なっとく再生可能エネルギー」で公開されています。
こちらの資料を確認してください。
3. 経済産業省以外に必要な取り下げ手続き
経済産業省以外にも、取り下げ手続きが必要なものがあります。
3-1. 電力会社との接続契約の取り下げ
売電価格を確保するためには経産省と電力会社への手続きが必要です。
そのため、電力会社にも手続きされている可能性が高いです。
取り下げない場合は忘れた頃に連絡が来る程度の不都合があります。
制度上、負担金を支払わなければ電力会社側から接続契約の破棄ができるようになっています。
あなたが接続契約の破棄を申し込むか、電力会社側で破棄するまで連絡が続きます。
3-2. 農転や開発許可など、手続きを進めていた場合
農地転用や土地開発許可、景観条例の届出手続きなど、関係法令の手続きは開始していたでしょうか。
開始してたら、そちらも取り下げや報告が必要になる可能性があります。
手続きを依頼した行政書士や、設置の相談をしていた業者に確認しましょう。
4. 認定の活用方法
不安に思ったほど不都合はないな、と思いませんか。
自分で設置するのもできないし、取り下げしておいたほうがいいと考えている方。ちょっと待ってください。
今あなた自身で設置できなくても、売電価格を確保している事業計画認定には3つ活用法があります。
どの活用方法もダメだ、と判断してから取り下げても遅くありません。
まずは、今あなた自身で設置する以外の活用方法を検討してみませんか?
4-1. 活用方法その1 あなた自身で設置できるようになるまで待つ
太陽光発電の設置にかかる費用は年々下がってきています。
あなたの手の届く価格に下がるまで待つのが活用方法その1です。
運転開始期限がある場合とない場合で、待てる期間は違います。
待てる期間内は気長に待って、判断してはいかがでしょう。
4-2. 活用方法その2 売電単価確保済みの土地とセットで売る
自分で設置するのは費用面で難しい。
土地の管理自体もうできないからどうにか手放したい。
そんな方には、売電価格確保済みの土地として、土地ごと権利を売る活用方法があります。
地目や土地の現況、確保している売電価格などで買取条件は異なります。
より良い条件を提示してくれる人を探しましょう。
4-3. 活用方法その3 土地を貸して他人に活用してもらう
自分としては土地ごと売ってしまいたいけど、地域のしがらみや親族の手前売却はできない。
先祖代々の土地だから、売るのには抵抗があるけどこのままというわけにもいかない。
そんな方は、土地を貸して他人に活用してもらうという方法もあります。
地目や現況、売電価格などで条件が異なるのは、土地ごと権利を売る場合と同じです。
太陽光発電目的での賃貸の場合、固定価格買取期間の20年間を一区切りとして土地を貸すことになります。
4-4. 土地の買い手、借り手はインターネットで探す
土地の買い手、借り手はインターネットで探すのも一つの方法です。
ソラサポが提携している企業も、権利付の土地を探しています。
しつこい営業もなく、査定も無料です。
取り下げ手続きを始める前に、一度お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
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たったの3STEP! 売電権利と土地の売却(賃貸)の無料査定の方法 | |
STEP① お手元に、次の書類を準備してください。 | ・【書類】設備認定通知書 または 事業計画認定通知書 |
STEP② メールで無料相談をしましょう。 | ソーラーサポートセンター 問い合わせフォームからソラサポにご連絡ください。 「売電権利の売却のことでソラサポを見て問合せしました。」 実際に権利を譲るかどうかは、無料の査定をもらってから決めましょう。 |
STEP③ 無料査定の結果が出ます。 | あなたが査定結果に納得されなければ、売却や賃貸をする必要は全くありません。しつこい営業もありませんので、安心してお問い合わせください。 |
4-5. 認定を活用するための注意点
どの活用方法を選ぶ場合でも、売電価格を確保できていることが前提になります。
次の2点を確認してください。
・経産省の認定と、電力会社との接続契約の2つともあること
・電力会社との接続契約を結んだ日付
売電価格の確保には、経産省の認定と、電力会社との接続契約がセットで必要です。
電力会社との接続契約を結んでいなかった場合、そもそも単価を確保できていません。
どちらか片方でも取り下げてしまうと、せっかく確保していた売電価格が取り消しになります。
電力会社との接続契約をいつ結んでいるかによって、運転開始期限が異なります。
2016年7月31日までに接続契約を結んでいたら、運転開始期限がありません。
2016年8月1日以降に接続契約を結んでいたら、3年間の運転開始期限がつきます。
どの活用方法を選ぶにしても、売電価格の確保と運転開始期限前であることが前提です。
2点にだけ注意して、活用できなかったということのないようにしましょう。
まとめ
経産省の認定取り下げは、比較的簡単な書類で添付書類も少ないです。
最後にポイントをまとめます。
・提出が必要なのは「再生可能エネルギー発電事業廃止届出書」「連絡票」「印鑑証明書」の3つ
・認定通知書または設備情報参照画面を確認しながら記入する
・必ず実印を押す
・郵送先は太陽光発電設備の住所の経済産業局
・電子申請できるようになったら電子申請する
取り下げないことの不都合があなたの許容範囲内であるなら、売電価格を確保して活用することも考えてみましょう。
売電単価の確保にはみなし認定移行手続きを済ませること、電力会社との接続契約を結んでいることの2点が必要です。
みなし認定移行手続きの締め切りはすぎましたが、まだ受け付けてもらえます。
みなし認定移行手続きの方法は次の記事を参考にしてください。