太陽光発電のフェンス・柵設置義務|改正FIT法に必要な5つの基準

太陽光発電のフェンス設置義務化 5つの基準 

改正FIT法(2017.4.1)で、低圧の野立て太陽光発電にもフェンス・柵の設置が義務付けられました。
しかし、義務化と言われても設置の必要性以外のことがいまいちよくわかりませんよね。

うちは庭に設置したのにいるの?
生垣があるんだけど設置しないといけないの?
裏手は崖なんだけど、崖側にもいるの?
いつまでに設置すればいい?

折角、フェンス・柵を設置した後に「これではダメです」と言われるのは誰もが避けたいところではないでしょうか。

実は、フェンス・柵の規定は「事業計画策定ガイドライン」という経産省が発表している資料に記載されています。この記事では、フェンス・柵に関する5つの基準2つの例外規定を実際の太陽光発電の画像を添えて、義務化された目的とともにをまとめながら、設置の期限罰則についても解説しています。

ぜひ最後まで読んでいただき、改正FIT法によってフェンス・柵の設置が義務化された理由を理解しておきましょう。そうすれば、いざフェンス・柵を購入する際にも、義務化の目的に沿わない間違った商品選択を回避し、資金の無駄遣いを防ぐことに繋がるはずです。

 

1. フェンス・柵設置時に遵守すべき5つの基準

太陽光発電とフェンス

フェンス・柵の設置基準は次の5つです。

基準①. フェンス・柵と設備の距離は、外部から発電設備に触れられない程度にすること
基準②. フェンス・柵の高さは、簡単には入れない程度を確保すること
基準③. フェンス・柵の使用素材は、簡単には取り除けないものにすること(ロープはダメ)
基準④. フェンス・柵の出入り口には、施錠等すること
基準⑤. 外部から見えやすい位置に、立入り禁止看板をつける等の立入り防止措置をすること

これらの基準は、経産省が発表している太陽光発電の「事業計画策定ガイドライン」に記載されています。

順番に見ていきましょう。

 

基準①. フェンス・柵と設備の距離は、外部から発電設備に触れられない程度にすること

発電設備とフェンスとの距離

太陽光発電は、電気が流れているので、万一漏電などが発生している場合に触れれば感電する恐れがあります。そのため、フェンス・柵から太陽光パネルやパワコンといった設備までの距離を確保することが求められます。

事業計画ガイドラインでは、具体的なフェンス・柵と設備の距離は何m離すべきなのか数値では規定されていません。趣旨を理解して、設定する必要があります。

 

基準②. フェンス・柵の高さは、簡単には入れない程度を確保すること

太陽光発電とフェンスの高さ

せっかくフェンス・柵を設置しても、フェンス・柵が低くては第三者が乗り越えようとして怪我をする、侵入して感電する可能性があります。

50cmなど簡単に跨げてしまうものはダメですが、何cm以上あれば問題ないのか具体的な数値は規定されていません。

 

基準③. フェンス・柵の使用素材は、簡単には取り除けないものにすること(ロープはダメ)

取り除きやすいのでダメな例 ロープ

一般的なロープなどは、手で取り外すだけで侵入できてしまうため、侵入防止の観点からは意味がありません。フェンス・柵に求められる素材としては金網などの第三者が簡単には取り除けないものが想定されています。

もちろん、金属製であっても強度が低すぎるものや、人が掻い潜れるほどに隙間があるものは、指導の対象となってしまうでしょう。

 

基準④. フェンス・柵の出入り口には、施錠等すること

太陽光発電と施錠

フェンス・柵を設置してたら、鍵をつける必要があります。

出入り口が開けっ放しでは侵入防止という目的を果たせないからです。
鍵の種類は特に指定されていませんが、一般の人が簡単に壊せるものではダメでしょう。

 

基準⑤. 外部から見えやすい位置に、立入り禁止看板をつける等の立入り防止措置をすること

太陽光発電と立ち入り禁止看板

施錠と合わせて、フェンス・柵に取り付けるものとして、立ち入り禁止看板などを掲示する措置が記載されています。立ち入り禁止看板も、太陽光発電設備の標識と同様に外部から見えやすい位置に設置しなければなりません。

資源エネルギー課へ、立入禁止看板の素材や大きさについて聞き取りをしたところ、風雨ですぐに劣化してしまうものや、極端に小さいものは不適切で一般的なものを想定しているとのことです。

 

以上、5つの基準を見てきましたが、「○○な場合」「△△な場合」と、個別の状況や想定しだせばキリがありません。例えば、太陽光発電の所在地が小学校の通学路であれば、子供用の対策が必要になるといった具合に、設備の周辺環境に応じた対応が必要となります。

また、事業計画策定ガイドラインには、設置しなくても侵入できない場合など例外も規定されています。
次の章でフェンス・柵を省略できる例外的な状況の規定を確認しましょう。

 

2. フェンス・柵設置を省略できる2つの例外

1章ではフェンス・柵の5つの基準をご紹介しました。

その一方で、事業計画策定ガイドラインには2つの除外規定も記載されています。

次のいずれかに該当する場合は、フェンス・柵を設置しなくてもよい、ということです。

除外規定1. フェンス・柵がなくても第三者が近づけない場合
除外規定2. 営農型太陽光発電なので、フェンス・柵があると邪魔になる場合

順番に見ていきましょう。

例外❶. フェンス・柵がなくても第三者が近づけない場合

崖沿いの太陽光発電

塀付きの庭に設置している、設備が公道から相当程度離れている、崖や水路に面しているといった場合です。
何m離れていれば「相当程度」なのか、何mの幅の水路であれば設置しなくてもよいのかといった、具体的な数値は規定されていません。

 

例外❷. 営農型太陽光発電なので、フェンス・柵があると邪魔になる場合

ソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングの場合は、フェンス・柵があるとトラクターなどの出入りが難しくなるなど、農作業に支障がでると判断される場合は除外されます。

ただし、第三者が容易に近づくことを防ぐために、注意喚起の標識が必要になります。

 

以上の基準は、「事業計画策定ガイドライン」に記載されています。

事業計画策定ガイドラインは、資源エネルギー庁のHP「なっとく!再生可能エネルギー 法例集契約関係」で公開されています。
元資料を見る場合は、最新版を確認しましょう。

 

3. フェンス・柵義務化の背景と目的

3-1. 事業計画策定ガイドラインって何?

フェンス・柵の基準が記載されている事業計画策定ガイドライン」は、改正FIT法が施行される前に公表された資料です。改正FIT法で義務となった事柄や、適切な発電所運営のために守って欲しい事柄について考え方を記したものです。

フェンス・柵が義務化された背景や目的も記載されています。

 

3-2. 義務化された背景

太陽光発電は、一目見ただけではどのような状態なのかわかりません。
何も問題ないように見えても、漏電や破損が起きている可能性があります。

また、いたずらで侵入して怪我をするといった、第三者に危害が及ぶ場合もあります。
ケーブルを切断することで、発電しなくなってしまうこともあります。

低圧の太陽光発電所はこのような安全や安定稼働にかかわるトラブルが起きる可能性があります。
旧制度では、発電所に近づくことを防ぐ義務がなく、このようなトラブルを防ぐことができませんでした。

 

3-3. 義務化の目的

改正FIT法では、第三者が近づけないという手段で次の2点を実現するために、フェンス・柵の設置が義務化されました。

・感電等の被害を受けないようにする
・発電所を安定稼働させる

フェンス・柵の基準は、この目的を達成するために設定されています。そのため、特に記載や指定がなくとも趣旨や目的に沿わないものは不適切ということになります。

 

4. フェンス・柵の設置期限

設置期限

フェンス・柵の設置期限は、太陽光発電が稼働し始めた日によって異なります。

2017年3月31日までに稼働した場合:2018年3月31日まで
2017年4月1日以降に稼働する場合:遅くとも運転開始まで

柵塀等は発電設備の設置後速やかに設けることが望ましく、遅くとも運転開始までには設置を完了することが必要である。また、平成 29 年 3 月 31 日以前に取得している発電設備については、改正後の FIT 法の認定を受けたものとみなされた日から 1 年以内に(この時点で運転開始前である場合は運転開始後速やかに)柵塀等の設置を完了することが必要である。  「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」 第2章 適切な事業実施のために必要な措置 第2節 設計・施工 4.周辺環境への配慮 より抜粋

太陽光パネルは、連系していなくてもパネルに光が当たれば発電しているので、フェンス・柵の設置期限とは関係なく感電に注意する必要があります。

 

5. フェンス・柵を設置しなかった時の罰則

NGだった場合

フェンス・柵を設置しなかった場合、固定価格買取制度の認定取り消しなどの罰則を受ける可能性があります。

本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には、認定基準に適合しないとみなされ、FIT 法第 12 条(指導・助言)、第 13 条(改善命令)、第 15 条(認定の取消し)に規定する措置が講じられる可能性があることに注意されたい。  「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」 第1章 総則 第1節ガイドライン制定の趣旨・位置付け より抜粋

フェンス・柵を設置したか確認する方法は2017年8月時点ではまだ決まっていません。
罰則も指導・助言、改善命令、認定取り消しの3段階がありますが、具体的な指導内容や改善命令の基準などは決まっていません。

 

6. 自治体がフェンス・柵の設置に独自の基準を設けている場合

トピック 自治体による規制

改正FIT法とは別に、都道府県や市町村といった自治体が独自基準を設けている場合もあります。

自治体の独自基準の場合、太陽光発電に関して設けられた基準と、太陽光発電とは無関係に設けられた基準があります。その内容や法的拘束力は自治体によってまちまちです。

太陽光発電に関する基準でフェンス・柵についての規制や条件がなくても、別の基準で規制や条件がつけられていることもあります。

必ずしも法的な拘束力のあるものではありませんが、地域社会の一員として守ることに意義があります。
基準を設けている自治体はそれほど多くありませんが、自分の発電所は当てはまるか念のために確認をとりましょう。

 

6-1. 自治体の独自基準の具体例

例1 福井県福井市のフェンス・柵に関する規制

福井市では太陽光発電に関する規制はありません。
ただし、景観条例でフェンス・柵に関する規制があります。

福井市景観計画区域内の場合、高さ2m超かつ延長30m超のフェンス・柵を設置するには届出が必要です。

例2 山梨県山梨市のフェンス・柵と太陽光発電に関する規制

山梨市の場合、福井市と同じく景観条例での規制です。
景観計画区域内の場合、フェンス・柵も太陽光発電も届出対象となっていて、「景観形成基準」を守らなければいけません。

景観基準で色彩や設置位置、設置後の管理にまで触れられています。

例3 山梨県市川三郷町のフェンス・柵に関する規制

市川三郷町の場合は3つの景観形成地域が規定されており、フェンス・柵の高さによって届出が必要です。
地域によって1.5m、2m、3mと、届出が必要となる高さが異なります。

 

地方自治体の独自基準は自治体毎に大きく異なります。
発電所を異なる地域に複数持っている場合は、自治体ごとに確認が必要です。

 

7. 判断に迷った時の問い合わせ先

フェンスの設置で悩む人

実際に設置しようとすると、基準を満たしているか判断に困りますよね。
「このフェンス・柵なら大丈夫」と誰かに太鼓判を押してほしいものです。

残念ながら、基準を満たしているか判断してくれる窓口は2017年8月18日現在ありません。

設置地域の自治体や経済産業局に相談する、資源エネルギー庁新エネルギー課に問い合わせるなど、実際に周辺で関わる人や制度設計者の考えを聞いた上で、自分で判断するしかありません。

 

まとめ

2017年8月時点でフェンス・柵について公表されている、改正FIT法の基準は以下の5点です。

基準①. フェンス・柵と設備の距離は、外部から発電設備に触れられない程度にすること
基準②. フェンス・柵の高さは、簡単には入れない程度を確保すること
基準③. フェンス・柵の使用素材は、簡単には取り除けないものにすること(ロープはダメ)
基準④. フェンス・柵の出入り口には、施錠等すること
基準⑤. 外部から見えやすい位置に、立入り禁止看板をつける等の立入り防止措置をすること

除外規定は以下の2点です。

除外規定1. フェンス・柵がなくても第三者が近づけない場合
除外規定2. 営農型太陽光発電なので、フェンス・柵があると邪魔になる場合

いずれも具体的な数値や素材は限定されていません。

しかし、何よりも重要なことは事業計画ガイドラインの趣旨と遵守事項の理解です。仮に趣旨に反することがあれば、今は制度上問題がなくともいずれ省令の改正などで新たな規制が追加されることになるでしょう。

改正FIT法では他にも標識の設置やみなし認定の移行手続きが義務化されています。

中京ソーラーyahoo!店では、太陽光発電用の標識・看板を販売しております。対象となる野立て太陽光発電をお持ちでまだ設置していない方はお早めに設置しましょう。


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