太陽光発電への融資を銀行にお願いすると、「認定通知書を出してください」と言われます。
「認定通知書」って何だろう?と思われる方も多いようです。
「認定通知書」とは、太陽光発電で固定価格買取制度を利用した売電に関わる超重要書類のひとつです。
問題なく発電事業を続けている方にとっては、あまり使うことも見ることもない書類でしたが、みなし認定の移行手続きをきっかけにどんな書類なのか、どうすれば手に入るのかといったお問い合わせが増えました。
今後、発電所の中古売買や相続などによる名義変更が増えるにつれて必要になる場合が増えてくる大切な書類です。
この記事を読めば、次の3つのことがわかるようになります。
①認定通知書がどんな書類なのか
②認定通知書はどんな時に必要になるのか
③認定通知書の入手方法と再発行をする方法
すでに売電している方も、これから売電する方も、今後に備えてご一読ください。
※この記事は、電子申請で手続きを行う低圧(50kW未満)の太陽光発電設備について記載しています。高圧の太陽光発電や、他の再生可能エネルギー発電設備とは異なりますのでご注意ください。
1. 認定通知書とは
はじめに、認定通知書の概要を確認しておきましょう。
「認定通知書」とは、固定価格買取制度(FIT制度)で売電する再生可能エネルギー発電設備に対して発行される書類です。
経済産業省へ提出した「事業計画認定申請」に対して、経済産業省が認定したことを知らせる書類が「認定通知書」です。
※2015年2月頃までは「設備認定通知書」という通称でした。2015年2月下旬からは「認定通知書」という通称ですが、どちらも同じものです。
次に、もう少し具体的に「認定通知書」を知るために重要な7つのポイントを挙げます。
①:発電設備と設置者の情報が書かれている
②:「新規認定通知書」と「変更認定通知書」の2種類がある
③:認定通知書に書かれている「認定日」で売電単価を判断できる
④:事業計画認定申請の審査完了後に発行される
⑤:認定通知書は「一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター」から発行される
⑥:PDF形式(デジタルデータ)で発行される
⑦:太陽光発電設備1基に対して1通発行される
それでは、一つずつ詳細に解説していきます。
1-1. 認定通知書の内容:発電設備と設置者の情報が書かれている
認定通知書には、発電設備の概要と設置者の情報が記載されています。
誰が、どこに、どんな発電設備を設置することを、経産省が認定したのかがわかる書類となっています。
発行された時期によって記載内容が多少異なります。
2017年(平成29年度)に発行された認定通知書のサンプル 1ページ目
2017年(平成29年度)に発行された認定通知書のサンプル 2ページ目
2017年に発行された認定通知書は、A4用紙2枚で設備の名称や設備の仕様など、細く記載されています。
発行者の名義はJPEA代行申請センターとなっています。
固定価格買取制度開始当初の認定通知書は次のような様式でした。
2013年(平成25年度)に発行された認定通知書のサンプル
2013年に発行された認定通知書(上の画像)は、A4用紙1枚サイズで経済産業省の名義となっています。
1-2. 認定通知書の種類:「新規認定通知書」と「変更認定通知書」の2種類
「事業計画認定申請」に対して発行されるのが、「新規認定通知書」です。1-1.でご紹介したのはいずれも新規認定通知書です。
太陽光発電設備の所有者が変わったり、自然災害による故障でパネルを付け替えた場合など、すでに認定されている発電設備について「変更認定申請」を行なうと発行されるのが「変更認定通知書」です。
2017年4月に施行された改正FIT法下で新たに発行されるようになりました。
2017年(平成29年度)に発行された変更認定通知書のサンプル 1ページ目
2017年(平成29年度)に発行された変更認定通知書のサンプル 2ページ目
書類名が異なること、「条件」という項目がないことが新規認定通知書との大きな違いです。
「変更認定通知書」の方が、内容が新しいものになります。提出が必要な時には注意してください。
1-3. 認定通知書に書かれている「認定日」で売電単価を判断できる
認定通知書が重要視される理由として、売電開始前の発電設備でも売電単価が何円になるのか判断できることがあります。
・2016年度までに認定通知書を取得した発電設備は、認定通知書の認定日と接続契約の締結日のいずれか遅い方が売電単価の決定日です。
・2017年度以降に認定通知書を取得した発電設備は、認定通知書の認定日が売電単価の決定日です。
売電単価が変更となる内容の変更認定申請を行った場合は、変更認定通知書の認定日から売電単価が変更となります。
2018年度の売電単価は「最新!2018年太陽光発電の売電価格|推移と今後の買取価格も解説」でご確認ください。
1-4. 事業計画認定申請の審査完了後に発行される
認定通知書は、事業計画認定申請(※2016年度までは設備認定申請)の審査完了後に発行されます。
事業計画認定申請の審査完了には、電力会社との「接続契約」締結が必要です。下の図のフローチャートをご参照ください。
申請内容に不備や問題があった場合は、問題点を訂正して再度申請する必要があります。
1-5. 認定通知書の発行元:一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター
認定通知書は、「一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター」から発行されます。
1-6. 認定通知書の形式:PDF形式(デジタルデータ)で発行される
50kW未満の太陽光発電は、手続きが全て電子化されています。
認定通知書も、紙で発行されません。申請システムでPDF形式(デジタルデータ)のファイルで発行されます。
登録者IDまたは設置者IDで電子申請システムにログインすれば、発行されたか確認し、取得することができます。
1-7. 太陽光発電設備1基の申請に対して1通発行される
認定通知書は、認定申請のあった発電設備それぞれに対して1通発行されます。
複数の発電設備を持っている場合は、複数の認定通知書が発行されます。
認定申請に対して発行される書類なので、「実際に稼働している太陽光発電は1基だけれど認定通知書は複数持っている」という場合もあります。
2. こんな時に認定通知書が必要
認定通知書は、次のような場合に必要です。現在必要でなくても、固定価格買取制度は20年という長期事業ですので必ず手元に置いておきましょう。
必須:固定価格買取制度を利用して電力会社への売電を開始する時
必須:銀行などへ融資を依頼する時
必須:太陽光発電所を売却する、確保している売電単価ごと土地を売却する時
便利:メンテナンス業者を変更する、設置業者以外に手続きを依頼する時
それぞれ、解説します。
2-1. 電力会社への売電を開始する時
固定価格買取制度を利用して電気を売るためには、認定通知書が必要になります。
電力会社へ認定通知書を提出しない限り、電気を買い取ってもらえません。
一般的には、設置業者が事業計画認定申請手続きを行い、電力会社への提出まで行うことが多いです。
2-2. 銀行などの金融機関に融資を依頼する時
融資で太陽光発電を設置する場合、売電単価が確保できている証拠として提出を求められる場合があります。
認定通知書以外にも売電単価が確保できていると確認できる書類はありますが、わかりやすいため認定通知書を求められることが多いです。
2-3. 太陽光発電所を中古で売却する時や、確保している売電単価ごと土地を売却する時
売電単価の権利や所有権の確認のために必要となります。
野立て太陽光発電設備の中古市場はまだまだこれから、といったところですが、太陽光発電付き住宅の売買は非常に増えています。
売電価格は認定通知書以外でもでも確認可能ですが、話をスムーズに進めるためにも持っておきたい書類です。
2-4. メンテナンス業者を変更する、設置業者以外に手続きを依頼する時
発電設備に関する資料として求められることがあります。
他の資料で必要な情報は揃うので、どうしても必要と言われることはほぼありません。
3. 認定通知書が手元にない(紛失した)場合の再発行方法
認定通知書は固定価格買取制度で売電するためには絶対必要で、その後も公的な資料としてあると便利な場面が多々あります。
手元に認定通知書のデータや印刷したものがない、だけど認定通知書を出して欲しいと言われた場合、どのようにしたら良いのでしょうか。
※2018年1月時点の情報となります。システムの改修や制度改正により、再発行方法や代替資料が変更となる可能性があります。
3-1. 認定通知書の再発行に必要なもの
認定通知書の再発行には、次の2つのうちいずれかのIDとパスワードが必要です。
・登録者IDとパスワード
・設置者IDとパスワード
どちらもわからない場合は、太陽光発電を設置した業者に問い合わせてください。
登録者IDは、他人の個人情報が確認できてしまう場合があるので、教えてくれないことが多いです。
設置者IDは、問題なく教えてくれることが多いです。パスワードはわからないという可能性があります。
業者にも設置者パスワードがわからない場合の確認方法は、次の記事をご覧ください。
3-2. 認定通知書の再発行方法
認定通知書は設置者IDか登録者IDで電子申請システムにログインして発行します。
認定通知書を発行できる回数は、設置者IDと登録者IDで異なります。
設置者IDで発行する場合は、回数制限がありません。
登録者IDで発行する場合は、1回限りです。
【要注意】登録者IDで発行するより前に設置者IDで発行した場合、登録者IDでは発行できなくなります。
認定通知書は設置者の物なので、設置者IDでは何度でも発行できるようになっています。
申請の実務上、電力会社へ認定通知書を渡す手続きは設置業者が行うことが多いので、設置業者が手続き代行で使用する登録者IDでも1回だけ発行できるようになっています。
ただし、登録者IDで発行するより前に設置者IDで認定通知書を発行すると、登録者IDでは発行できなくなります。
そのような場合は設置業者から再発行依頼が来るでしょうから、データもしくは印刷した認定通知書を渡してあげてください。
3-3. 認定通知書を再発行できない場合
2017年3月以前に認定を取得した案件、いわゆる「みなし認定」から移行した場合は認定通知書を再発行できない場合があります。
※2018年1月現在。今後システムの改修により発行できるようになる可能性はあります。
認定通知書の再発行ができない場合の対処法を解説します。
認定通知書の代わりとなるのが、「設備情報参照画面」です。
「設備情報参照画面」とは、電子申請システム上で確認できる画面です。
認定を受けた太陽光発電設備の設置者情報や設備情報を一覧で表示している画面となります。
設備情報参照画面のサンプル 1ページ目
設備情報参照画面のサンプル 2ページ目
設備情報参照画面のサンプル 3ページ目
認定通知書よりも詳細な内容となっているので、標識を自分で作成する場合などにもあると便利です。
申請手続きを設置業者に依頼していた場合は、設置業者に取得を依頼しましょう。
事情があって依頼できない場合、設置者IDで電子申請システムにログインして取得する必要があります。
設備情報参照画面を確認する手順は以下の通りです。
①電子申請システムにログインする
②左メニューの認定設備一覧をクリックする
③表示された画面で検索をクリックする
④右端に表示される「参照」をクリックする
まとめ
認定通知書は、固定価格で売電できることを証明してくれる重要な書類です。
おさらいとして「認定通知書」を知るために重要な7つのポイントを挙げます。
①:発電設備と設置者の情報が書かれている
②:「新規認定通知書」と「変更認定通知書」の2種類がある
③:認定通知書に書かれている「認定日」で売電単価を判断できる
④:事業計画認定申請の審査完了後に発行される
⑤:認定通知書は「一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター」から発行される
⑥:PDF形式(デジタルデータ)で発行される
⑦:太陽光発電設備1基に対して1通発行される
2017年4月以降に取得した「新規認定通知書」や「変更認定通知書」は、設置者IDとパスワードがあれば何回でも発行可能です。設置者IDとパスワードの確認・保管を忘れないようにしましょう。
2017年3月以前に発行された認定通知書は再発行できません。(2018年1月現在)
A4サイズ1、2枚程度の量ですので、手元にない場合は早めに設置業者から取り寄せましょう。