2020年度の売電価格(委員長案)と新しい発電区分をご紹介します。
2020年度の売電価格と発電区分は次のようになります。
発電区分 | 売電価格 | 売電期間 | 新しい条件・備考 |
---|---|---|---|
10kW未満(住宅用) | 21円 | 10年 | 全国一律価格に戻った |
10kW以上50kW未満 | 13円 | 20年 | 余剰売電限定 災害時に活用できること |
50kW未満のソーラーシェアリング (新設) | 全量売電可能 災害時に活用できること | ||
50kW以上250kW未満 (新設) | 12円 | 発表無し | |
250kW以上 (新設) | 入札 | 落札後の辞退防止 |
表をご覧になってわかる通り、新しい発電区分に変わりました。
また、2020年度にはFIT制度が終了するというニュースがありましたが、太陽光発電はどの区分でもFIT制度が維持されました。
ただし、発電区分によっては厳しい条件が付きます。
詳しく解説した記事がありますのでぜひご覧ください。
最終更新日:2019年1月11日
この記事は、2019年1月9日(水)開催の調達価格等算定委員会で発表された最新情報を元に内容を大幅に更新しています。
太陽光発電をご検討されている方は、「売電価格」が気になりますよね。
「自分はいくらで電気を売ることができるのだろう。」
「今年度の売電価格を確保するためにはどのような手続きをすればいいのだろう。」
というような疑問をお持ちではないでしょうか。
また、2019年度は2018年度と比べて入札対象となる設備の対象も変わっています。
そんな疑問をお持ちの方のために、この記事では太陽光発電の売電価格について次の6つのポイントを記載しています。
①2019年度の売電価格
②売電価格が下がる中での導入費用の目安
③今後(2020年度以降)の売電価格
④これまでの売電価格と太陽光発電導入費用の推移
⑤売電期間終了後の活用方法
⑥売電価格を確保するための必要な手続き
この6つのポイントをしっかり理解することで、太陽光発電の導入で失敗する可能性も下がるでしょう。
売電価格だけに目をとらわれず、関連するポイントを理解して太陽光発電の導入にお役立てください。
【1】2019年度の売電価格(買取価格)は?
2019年度の売電価格は経産省の発表によると以下の通りです。
10kW未満 | 10kW未満ダブル発電 | 10kW以上 500kW未満 | |||
---|---|---|---|---|---|
出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | 出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | ||
2019年度 | 24円 (税込) | 26円 (税込) | 24円 (税込) | 26円 (税込) | 14円(税別)※2 2019年3月末に正式発表 |
調達期間 | 10年 | 20年 | |||
運転開始期限 | 1年間 | 3年間 |
この表は、経産省の公式発表を元に作成しております。
(2019.1.9発表 経産省HP 「平成31年度(2019年度)以降の調達価格及び調達期間についての委員長案」)
※1 出力制御対応機器設置義務について(2019年1月10日現在)
出力制御対応機器の設置義務がある地域は売電単価が2円高くなっています。
義務あり:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力管内
義務なし:中部電力、東京電力、関西電力管内
出典:資源エネルギー庁
出力制御対応機器の設置は、地域ごとに義務付けられているものなので、義務化されていない地域で出力制御対応機器を設置したとしても売電単価は変わりません。
出力制御について知りたい方は、太陽光発電シミュレーション|適正発電量と収益性を見抜く注意点5つの記事内の「3-5.出力制御」をご覧ください。
10kW以上500kW未満の売電価格は予定(委員長案)です。
500kW以上の太陽光発電は、入札制度となります。
入札制度については資源エネルギー庁のホームページ上に詳細を掲載してあります。
【1-1】2019年度10kW未満(住宅用)の売電価格
2019年度の10kW未満の売電価格は、次の表の通りです。
10kW未満 | ||
---|---|---|
出力制御対応 機器設置義務なし | 出力制御対応機器 設置義務あり※1 | |
2019年度 | 24円 | 26円 |
調達期間 | 10年 | |
運転開始期限 | 1年間 |
※1 北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の供給区域において、出力制御対応機器の設置が義務付けられます。
※売電価格は全て税込です。
1年ごとに売電価格が下がることは間違いない状況ですので、太陽光発電をご検討されている方は、売電価格を確保することをおすすめします。
売電価格の確保方法は、「【5】売電価格確保までに必要な手続きと注意点」に詳しく記載しています。
10kW未満の売電価格は「税込」です。
10kW未満の太陽光の場合、売電価格は税込となります。
つまり、消費税が8%から10%になったとしても、売電価格に変化はありません。
1-1-1【住宅用太陽光】2019年度の導入費用の目安
住宅用太陽光発電の導入費用を考えるときの重要なポイントは「10年間で初期投資が回収できるのか」という点です。
例えば、中部電力管内で、5kWの太陽光発電を導入した場合、以下のようなシミュレーションとなります。
①設置容量 | 5kW |
②予想年間発電量(目安) | 5500kWh |
③予想年間経済メリット ※1 (売電分+自家消費による電気代削減分) | 132,000円 |
④10年間での経済的メリット | 1,320,000円 |
⑤ランニングコスト (メンテナンス費用等の積立として年間2万円を想定) | 200,000円 |
⑥導入費用の目安(④ー⑤) | 1,120,000円 |
※1売電分と自家消費の比率については、売電70%:自家消費30%で計算しており、以下のような計算式となります。資源エネルギー庁発表資料の余剰売電比率を元に計算しています。
売電:3850kWh=92,400円
自家消費:1650kW=39,600円
この表だと導入費用の目安は、5kWシステムで112万円となります。
1kWあたり22.4万円となります。
あくまでもシミュレーションなので、実際の生活スタイルや電気料金形態、メンテナンスの頻度等でメリットが多くなることも少なくなることもあります。
【1-2】2019年度のダブル発電・余剰買取の売電単価
2019年度の10kW未満ダブル発電・余剰買取の売電価格は、次の表に記載されている通りです。
10kW未満ダブル発電 | ||
---|---|---|
出力制御対応機器 設置義務なし | 出力制御対応機器 設置義務あり※1 | |
2019年度 | 24円 | 26円 |
調達期間 | 10年 | |
運転開始期限 | 1年間 |
ダブル発電とは?
ダブル発電とは、エネファームや蓄電池などの創エネ、蓄エネ機器により太陽光発電の売電量を押し上げする仕組みです。
例えば、蓄電池で夜間に電気を溜めておいたものを昼間に使用すると、太陽光発電で発電した電気を使わずに済みます。
使わずに済んだ電気はそのまま売電され、売電量が増えることになります。
【1-3】2019年度10kW以上500kW未満(産業用)の売電価格は14円/kWh(税別)予定
10kW以上500kW未満の太陽光発電の売電価格は14円/kWh(税別)予定です。
2018年度までは10kW以上2,000kW未満という区分でした。
2019年度からは10kW以上500kW未満に区分が狭められます。
(2019年1月9日に経産省から発表:経産省HP「平成31年度(2019年度)以降の調達価格及び調達期間についての委員長案」)
年度ごとに売電価格が決まるまでの経緯
例年、売電価格は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの調達価格を決める「調達価格等算定委員会」で2月から3月上旬にかけて案が出され、3月末に正式決定します。
2018年度は2018年2月8日に「平成30年度(2018年度)以降の調達価格及び調達期間についての委員長案」が公開され、その通りになりました。
2019年度は2019年1月9日に「平成31年度(2019年度)以降の調達価格及び調達期間についての委員長案」が公開されました。
例年と同じく、委員長案通りの売電価格になると予想できます。
10kW以上の売電価格は「税別」です。
10kW以上の太陽光の場合、売電価格は「税別」となります。
つまり、消費税が8%から10%に増税されると、売電価格も上がることになります。
例:売電価格14円 消費税8%=15.12円 消費税10%=15.4円
※一定以上の売上がある方は、消費税を収める必要がありますが、該当しない方は納める必要がないので、「益税」となります。(消費税分得します。)
【産業用太陽光】2019年度の導入費用の目安
導入費用の目安は、「設置者の目的」によって変わります。
「絶対に利回り10%以上じゃないと買わない」と思う人は、その利回りにあった導入費用で設置する必要があります。
10kW以上の太陽光になると、より投資色が強くなります。
投資としての太陽光発電を詳しく解説しているブログがありますので、ぜひご覧ください。
売電単価が下がる中、利回り10%を達成するポイントや過去と高い売電単価の頃との比較、太陽光投資で発生するリスクやデメリットを網羅的に解説しています。
【1-4】500kW以上(入札制度対象)の売電価格
500kW以上の太陽光発電の売電単価は入札により決定します。
入札制度については、一般社団法人 低炭素投資促進機構(GIO)に詳しく記載してあります。
ちなみに2018年には第2回入札、第3回入札の計2回実施されました。
第2回入札は落札0件、第3回入札は落札7件で、最高額が「15.45円(税別)」、最低額が「14.25円(税別)」という結果でした。
入札結果を詳しく知りたい方は、太陽光第2回入札(平成 30 年度上期)の結果について、太陽光第3回入札(平成 30 年度下期)の結果についてをご覧ください。
【2】今後(2020年度以降)の売電価格(買取価格)は?
現在までに発表されている今後の売電単価は次の通りです。(2019年1月現在)
10kW未満 | 10kW未満ダブル発電 | 10kW以上 500kW未満 | |||
---|---|---|---|---|---|
出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | 出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | ||
2020年度 | 未定 | 未定 | 未定 (税別) | ||
調達期間 | 10年 | 20年 | |||
運転開始期限 | 1年間 | 3年間 |
※1,2の解説は、「【1】2019年度の売電価格(買取価格)は?」をご覧ください。
500kW以上の太陽光発電は、入札制度となります。
(2018年度は、入札制度の対象は2MW(2,000kW)以上でした。)
入札制度については資源エネルギー庁のホームページ上に詳細を掲載してあります。
10kW未満の売電価格は、毎年決定することになりました。
出力制御対応機器の設置義務による区分がなくなる予定です。
10kW以上の売電価格は、毎年決定することになっています。
これまでの売電価格の推移と、10kW未満が下がることを考慮すると、年々下がることはほぼ確実です。
下がり幅としては、2円〜4円程度が予想されています。
10kW未満の太陽光発電は1年間、10kW以上は3年間、運転開始までの猶予期間があります。
つまり、その期間内で運転を開始すれば確保しておいた単価のままで売電することができるのです。
売電価格の確保は「思い立ったが吉日」を実践!
少しでも太陽光発電を設置する可能性があれば、その年の売電単価を確保しましょう。
「あの時売電価格を確保すればよかった…」なんて後悔しないように「思い立ったが吉日」を実践して単価確保をしておきましょう!
売電価格の確保方法は、「【5】売電価格確保までに必要な手続きと注意点」に詳しく記載しています。
【3】これまでの売電価格(買取価格)の推移
これまでに太陽光発電の売電価格はどのような推移を辿ってきたのでしょうか。
「年々下がってきている」ことまではご理解されている方は多いと思いますが、具体的には以下のように推移しています。
固定価格買取制度開始当初(平成24年度)から現在までの価格の推移
年度 | 10kW未満 | 10kW未満ダブル発電 | 10kW以上 | ||
---|---|---|---|---|---|
平成24年度 (2012年度) | 42円 | 34円 | 40円 | ||
平成25年度 (2013年度) | 38円 | 31円 | 36円 | ||
平成26年度 (2014年度) | 37円 | 30円 | 32円 | ||
出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | 出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり※1 | ||
平成27年度 (2015年度) | 33円 | 35円 | 27円 | 29円 | 2015年6月30日まで 29円 |
2015年7月1日から 27円 | |||||
平成28年度 (2016年度) | 31円 | 33円 | 25円 | 27円 | 24円 |
平成29年度 (2017年度) | 28円 | 30円 | 25円 | 27円 | 21円 |
平成30年度 (2018年度) | 26円 | 28円 | 18円 | ||
平成31年度 (2019年度) | 24円 | 26円 | 24円 | 26円 | 14円(予定)※2 |
調達期間 | 10年 | 20年 | |||
運転開始期限 | 1年 | 3年 | |||
売電単価の消費税 | 税込価格 | 税別価格 |
※1,2の解説は、「【1】2019年度の売電価格(買取価格)は?」をご覧ください。
資源エネルギー庁の公式ホームページ内でもご確認いただけます。
気になる方はご確認ください。
2018年度(平成30年度)以降の買取価格・期間等
【3-1】初期投資(設置費用)が売電価格と同様に毎年下がっていることに注目
「売電価格が年々下がっていること」がよくピックアップされていますが「設備費用(イニシャルコスト)も年々下がっていること」も把握する必要があります。
次のグラフは、10kW以上の太陽光発電の売電単価と設置費用の推移です。
売電価格が下がっていても、設備費用も同じような推移、またはそれ以上に下がっているので、利回りとしてはそれほど変わっていません。
2019年1月現在では、固定価格買取制度が始まった当初と比べて同じ規模の太陽光発電が半額以下で設置できるようになりました。
つまり、太陽光発電がグッと身近になったということです。
太陽光発電の利益に関係する要素は売電単価だけではありません。「売電単価が下がった」という言葉のインパクトで情緒的に判断せず、合理的に考える必要があります。
さらに詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
太陽光発電投資2018徹底解説|今でも利回り10%超が可能な理由
【4】10年後、20年後(買取期間終了後)はどうなる?
よく「固定価格終了後、電気は買い取ってもらえなくなるの?」という質問をいただきます。
買取期間終了後、あなたは様々な選択肢から一番良い方法を選ぶことができます。
実際に、2009年から太陽光発電の余剰売電をはじめている人が、2019年11月に固定価格買い取り制度が終了するので、「2019年問題」として注目されています。
本章では、現在予想できる買取期間終了後の運用方法を記載します。
2019年問題について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
投資という観点から、制度で保証されている価格/期間の中で運用を考えて、制度終了後の「未確定要素」はおまけとして考えましょう。
10kW未満の場合は買取期間は10年なので、「10年以内に初期投資が回収できる」ように導入・運用をしましょう。
【4-1】電力会社や新電力会社に自由契約で売電する
買取期間終了後の売電価格は決められていません。
基本的には電力会社(地域の電力会社や新電力)との自由契約になります。
現在、電力会社の電気を作るコストは一番安い水準で10円/kWh前後です。
そのため10円/kWh以上は難しいのではないでしょうか。
ひょっとすると7円/kWh前後になるかもしれません。
電力会社としても、7円/kWh前後で電気を買えば、十分に利益を上げることができますので、買取価格が0円になってしまうことは考えにくいでしょう。
実際に、現在でも固定価格買取制度を使わずに電力会社に電気を売ることは可能です。
ほとんどの方がそうしないのは、現状では自由契約よりも固定価格買取制度の方が1kWhあたりの売電単価が高いからです。
ちなみに、国の指針として、2030年頃の電源構成としては再生可能エネルギーが全体の24%前後(太陽光発電は全体の7%)になる見通しです。
電力自由化について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
【4-2】自家消費をして電気代削減をする
売電期間が終わっても、機械として問題なければ、当然発電し続けます。
例えば、住宅に設置している場合、自家消費をして買う電気を減らして電気代を削減することができます。
電気代は毎年高くなっていますので、自家消費をするメリットも増えていきます。
電気自動車の普及と脱ガソリン車
電気自動車の普及が拡大して、環境も整備されています。
日本の政策として、ガソリンから電気へ転換している中で、電気の需要は高まっていくことが考えられます。
EV普及へ充電整備無償化=「脱ガソリン」で補助事業-東京都
東京都は、電気自動車(EV)など次世代自動車の普及を促すため、マンションなど集合住宅での充電設備設置費用を独自に補助する制度を2018年度に創設する方針を固めた。国の制度に上乗せして補助金を出すことで、住民の負担をゼロにする。(中略)
英国やフランスが40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出すなど、世界的に「脱ガソリン」の機運が高まっている。(2018/01/06-19:42) 引用元:jiji.com
蓄電池を導入してできるだけ電気を買わない生活スタイル
出典:京セラ
2019年時点では、蓄電池を導入しても経済的メリットは非常に出にくいですが、年々蓄電池のコストは下がっています。
蓄電池も導入量が増えて価格競争が活発になったり、量産する様になればコストはどんどん下がっていきます。
そのため、蓄電池の導入コストがこのまま順調に下がれば、買取期間終了後に蓄電池を導入して、買う電気を減らすことで経済的メリットが出る様になるかと思います。
自家消費は、余った電気が無駄になる可能性がありますが、蓄電池であれば、使い方や蓄電容量によっては、太陽光発電の電気を無駄なく全て使い切ることもできる場合があります。
【4-3】産業用の20年後は?
自宅から離れた場所で太陽光発電を運用する場合、買取期間終了後は自家消費をすることができません。
そのため、買取期間終了後の維持費用(土地の固定資産税やメンテナンス費用等)と売電収入を天秤にかけて決定することになります。
4-1.電力会社や新電力会社に安く売電 で述べましたが、買取が0円にならなければ売電収入が得られます。
詳しくは、「成功するための太陽光発電|43の対策で20年後までリスク回避を目指す超実践的手法」の中の20年後 野立て太陽光発電の事業継続の判断が必要をご覧ください。
【注意】家の庭や隣地で太陽光発電を運用している場合も、20年後そのまますぐに自家消費に移ることはできません
庭や隣地で全量売電をしている場合、すぐに自家消費へ切り替えることはできません。
・パワコン〜自宅ブレーカーへの接続工事
自宅で消費するためには、自宅のブレーカーへ電気を流す必要があります。
そのためにパワコンから自宅ブレーカーへの接続工事をする必要があります。
・ブレーカーのアンペア数交換工事
50kW規模の太陽光発電となると、契約アンペア数は250A程度となります。
一方で一般家庭は40Aや50A程度が主流ですので、自宅のブレーカーを交換する必要があります。
また、契約アンペア数が大きくなるので、基本料金も上がる可能性が非常に高いです。
【4-4】これから始めるメリット 先に買取終了を迎える人の動向を見ることができる
これから導入する方は、あなたよりも前に太陽光発電を導入した人が買取期間終了後にどのような行動をとるか見ることができます。
最短で、2022年に固定価格買取制度で一番早く導入した人たちが買取終了を迎えます。
その前の2019年にも、「太陽光発電の余剰電力買取制度」の買取終了が迎えます。
2019年以降に蓄電池の需要が増えると見込んで蓄電池メーカーが動いているとの見解もあります。
いずれにせよ、今から導入する人は先発隊がどのような行動をとるのかをじっくり見た上で、自分の行動を決定できるメリットがあります。
【5】売電価格(買取価格)確保までに必要な手続きと注意点
本章では、売電価格を確保するまでの必要な手続きと注意点を記載します。
【5-1】売電価格確保までの流れ
太陽光発電で高い売電価格で売電するためには、「固定価格買取制度」という国の制度を利用します。
制度を利用するためには、「経済産業省」と「電力会社」のそれぞれに申請が必要です。
下の図は、申請の申し込みから発電開始までの流れを示したものです。
2018年11月から、電力会社との手続きと経産省への手続きを並行して行うことができなくなっています。
電力会社の手続きが完了してから経産省の手続きを開始しましょう。
必要な申請その1:電力会社への「電力申請」とは
電力会社への「電力申請」は接続契約を締結する為の申請です。
事業計画認定の取得には「電力会社と接続契約が締結されていること」が条件となっています。
電力申請が完了すると、太陽光発電で売電するために電力会社が行う工事が「工事費負担金」の金額が判明します。
必要な申請その2:経済産業省への「事業計画認定申請」とは
事業計画認定申請は、経済産業省に申請をします。
記入項目や、必要書類が非常に多くあります。
事業計画認定申請後、審査されて無事に認定されると「認定通知書」が発行されます。
認定通知書に記載された「認定日」を基準として売電単価が決定します。
【5-2】売電価格確保の注意点
売電価格を確保する際の注意点は大きく分けて4つあります。
①複雑化した制度:固定価格買取制度の改正によって制度が複雑になった
②審査期間が長い:申請から売電価格確保までに時間がかかる
③認定前の支払い:工事費負担金を先に支払う必要がある
④タイムリミット:売電単価の確保から発電開始までの運転開始期限がある
この4つのポイントについてそれぞれを詳しく解説します。
【5-2-1】制度が複雑化している
2017年に施行された改正FIT法により、経産省への申請が「設備認定申請」から「事業計画認定申請」へと変わり、申請に必要な書類も多くなりました。
本章で前述したように売電価格の確保までに多くの時間と手間がかかります。
経産省への申請には、必要書類も多く、プロの太陽光発電業者でも申請不備になってしまうケースも多くあります。
【5-2-2】申請から売電単価(買取価格)確保までに時間がかかる
2019年1月現在、システムの不備や審査機関の人員不足により、当初の想定処理期間「1ヶ月程度」から大幅に遅れ、4ヶ月程度の期間を要しています。
また、2019年11月より電力会社への手続きと経済産業省への手続きを同時進行できなくなったため、より時間がかかるようになっています。
そのため、売電価格確保まで非常に多くの期間が必要なので、「設置したい」と思ってから実際の設置は半年以上先になりますので、注意が必要です。
【5-2-3】売電単価(価格)決定前に工事費負担金を支払う必要がある
2018年に、一部の電力会社で工事費負担金の扱いが変わりました。
支払い期日までに工事費負担金の支払いをしないと、売電単価(価格)の確保ができません。
それまでに行った手続きも無駄になってしまいます。
工事費負担金の支払い期限は請求日から1ヶ月です。
詳しくは次の記事をご覧ください。
【5-2-4】運転開始期限(タイムリミット)に注意
現在は一度売電単価を確保しても、「運転開始期限」が設けられています。
期限内に運転が開始されない場合は、以下のような罰則が設けられています。
・10kW未満の太陽光発電
10kW未満太陽光は、認定から1年の運転開始期限が付与され、超過した場合には認定が失効します。事業を継続する場合には、再度認定を取得していただく必要があります。・10kW以上の太陽光発電
10kW以上太陽光は、認定から3年の運転開始期限が付与され、超過した場合には調達価格が低減されるか又は調達期間が短縮される措置が取られます。具体的な措置の内容(例:運転開始が期限から1年遅れるごとに、調達価格を5%低減又は調達期間を1年短縮)資源エネルギー庁:なっとく!再生可能エネルギー改正FIT法についてのよくある質問より抜粋(最終更新日 平成28年8月2日)
【5-3】5章のまとめ
本章では売電価格確保までの流れと手続きの注意点を記載しました。
つまり、売電価格を確保するまでは、長い時間と手間がかかるということです。
そのため、太陽光発電を設置したい場合は、いち早く売電価格の確保に向けて行動をしましょう。
具体的な行動としては、太陽光発電業者に申請の依頼をしましょう。
【6】売電価格(買取価格)に関するQ&A
この章では、売電価格に関するよくある質問にお答えしています。
太陽光発電を導入して、途中で売電価格が見直されることはありますか?
売電価格を確保して設置をすれば、売電価格は固定価格買取制度に基づく買取期間中は、一定です。
例えば、10kW以上の産業用太陽光発電の14円の権利で設置をすれば、運転開始から20年間、14円で電力会社が買い取ってくれます。
但し、設置前後問わず、経済産業省が認定をした設備から変更を加える場合(パネル容量の追加等)は買取価格が変更になりますので、ご注意ください。
具体的に知りたい方は資源エネルギー庁ホームページの平成29年8月31日公布・施行のFIT法施行規則・告示改正のポイントのポイント1をご覧ください。
発電開始してからも売電価格は毎年下がっていくのですか?
売電価格は「固定価格」です。適用された年度の売電価格が、設備容量に応じた売電期間(10kW未満:10年、10kW以上:20年)ずっと続きます。
例)平成24年度の固定価格買取制度が適用された20kWの太陽光発電システムであれば、20年間ずっと40円/kWhの売電価格が続きます。適用されているのは「平成24年度の売電価格」ですので、平成25年度になっても30年度になっても40円/kWhです。
どのような根拠に基づいて高い売電価格で電気を買い取ってもらえるのですか?
固定価格買取制度(通称:FIT法)という国の制度を利用することで、高い単価と一定の期間、売電することができます。
固定価格買取制度について詳しく知りたい方は資源エネルギー庁ホームページの「再生可能エネルギーの固定価格買取制度とは」をご覧ください。
出力制御って何ですか?
出力制御とは、供給が多くなりすぎると判断された時に、行われます。
電力網の安全上実施する必要があるものになります。
作られた電気は溜めておくことができませんので、電力会社は需要と供給を一定水準に保つ必要があります。しかし、太陽光発電は天候に影響され、5月などのよく発電する時期に供給が需要を大きく上回ることがあります。そうすると、大規模停電などが発生してしまうので、太陽光発電を含めた発電設備の出力を制御して、抑えることで、需要と供給を安定させます。
出力制御が実施されている時は、機械を制御されていますので、売電することができません。
詳しく知りたい方は、「再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック」をご覧ください。
消費税が10%になると売電価格も変わりますか。
太陽光発電システムの容量によって異なります。
・10kW未満の太陽光発電の場合は変わりません。(10kW未満の売電価格は税込価格のため)
・10kW以上の太陽光発電の場合は変わります。 (10kW以上の売電価格は税別価格のため)
【注意】:太陽光発電システムの設備容量とは、申請上の容量になりますので太陽光パネルの容量と等しくなるとは限りません。
運転開始期限ってなんですか。
売電単価を確保してから、一定の期間内に太陽光パネルを設置し、売電を開始しないとペナルティがあります。
運転開始するまでの期限なので、運転開始期限です。
10kW未満の場合、1年の運転開始期限がつきます。
1年以内に運転開始できなかった場合、売電単価の取り消しとなります。
10kW以上の場合、3年の運転開始期限がつきます。
3年以内に運転開始できなかった場合、確保した売電単価を下げられるか、買取期間を短縮される予定です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、太陽光発電の売電価格に関連する次の6つのポイントを記載しました。
①2019年度の売電価格
②売電価格が下がる中での導入費用の目安
③今後(2020年度以降)の売電価格
④これまでの売電価格と太陽光発電導入費用の推移
⑤売電期間終了後の活用方法
⑥売電価格を確保するための必要な手続き
以上のポイントを把握して、あなたが適切な太陽光発電の導入ができることを願っています。