「売電単価が下がったから、太陽光発電に投資しても利益が出ないんじゃない?」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご心配のとおり、売電単価が下がれば売上も減ります。
しかし、利益が減るとは限りません。
なぜなら、売電単価の下落と同じような水準で支出も下がっているからです。
実は、固定価格買取制度の開始当初と現在では、売電単価やkWあたりの導入費用以外にも多くの変化がありました。
この記事では、太陽光発電の利益を構成する様々な要素について、過去と現在のデメリットとメリットを比較しています。
そして、具体例を挙げて、これから太陽光発電を設置する際に、10%以上の年間利回りが期待できるかをリスクとともに解説しています。
これから太陽光発電への投資をご検討の方にも、2基目3基目を新たに計画中の方にもお役に立てる内容となっていますので、ぜひご参考になさってください。
1. 投資としての太陽光発電 利回りとコストと期間
1-1. 太陽光発電に必要な初期費用と期待できる利回りの目安
太陽光発電のメリットに「買取期間と買取価格が決まっている」ことと、「毎年の売電収入を計算できる」ことがあります。
そのため初期費用が決まれば、どの程度の利回りが期待できるのか、総収支がいくらになりそうなのかシミュレーションできます。
設置規模ごとに、どの程度の初期費用がかかるのか、どれくらいの利回りが期待できるのかの目安を一覧表にまとめました。
他の投資と比較する際の基準にしてください。
パネル設置容量 | 30kW | 60kW | 90kW |
---|---|---|---|
初期費用※1 | 620万円 | 1,150万円 | 1,600万円 |
ランニングコスト (20年間)※2 | 165万円 | 320万円 | 430万円 |
初年度売電収入 (消費税8%込) ※3 | 68万円 | 136万円 | 201万円 |
初年度の表面利回り | 10.97% | 11.83% | 12.62% |
ランニングコストを加味した年平均利回り | 8.89% | 9.49% | 10.21% |
必要な有効面積 ※4 | 300㎡程度 | 600㎡程度 (180坪程度) | 900㎡程度 (270坪程度) |
※1 発電設備、フェンス、雑草対策を含みます。
※2 発電設備にかかる償却資産税、保険料、メンテナンス費、パワコン修理費を計上したものです。土地の造成費、固定資産税は含みません。
※3 2017年度の10kW以上売電単価 21円/kWh(税別)から算出
※4 敷地の形状により異なります。
太陽光発電の設置費用は、規模が大きくなるほど割安になります。
そのため、設置規模によって利回りも異なってきます。
2017年末でも、適正価格で適した土地に太陽光発電を設置すると、10%以上の表面利回りが十分に見込めます。
ランニングコストを加味しても、30kW程度の規模があれば毎年平均8%以上、過積載できれば9%以上の利回りが期待できます。
1-2. 固定価格買取期間と初期費用の回収に必要な期間
太陽光発電の固定価格買取期間は20年間です。(10kW以上の場合)
20年間、売電し始めた時と同じ価格で電気を買い取ってもらえます。
そのため天候による波はありますが、毎年の売り上げも同じ位になります。
毎年同じペースで初期費用を回収し、その後利益が重なっていきます。
株の高騰のように思わぬ利益を得ることはありませんが、比較的安定した利益を期待できます。
ランニングコストを含めて考えると、初期投資の回収に10年〜11年程度かかります。
基本的には設置規模に比例して回収期間が短くなります。
1-3. 売電価格が下がっているのに利回りを期待できる理由
毎年売電価格が下がっているのに利回りを期待できる理由は、コストも低下しているからです。
売電価格は、2012年の40円/kWh(税別)から2017年の21円/kWh(税別)まで、半額近くに下がりました。
設置費用は平均値を見ると2012年の平均43万円/kWから2016年の平均32.7万円/kWhと3/4程度にしか下がっていません。
ただし、これはその年に設置した全ての人を合わせた平均です。
実勢価格として2017年には20万円/kW程度、2012年の平均設置費用から半額以下にまで下がっています。
売電価格の低下と同じ程度の割合で初期費用も下がっているため、今でも10%以上の表面利回りを実現できるのです。
1-4. 固定価格買取制度終了後の判断基準
固定価格買取制度で保証されている20年の買取期間が終わったらどうなるのかも、気になるところです。
2017年時点では何も確定していませんが、仮に新電力の会社などが買い取ってくれたとしても、売電価格は下がるでしょう。
電力会社にしてみれば、他の発電方法と比べて割高なら買い取る理由がありません。
そして、固定価格買取制度で保証されている売電価格は他の発電方法と比べて割高です。
制度による保証がなくなった後、売電価格が下げられるのは当然なことです。
売電価格が下がるとしても、複数の選択肢が考えられます。
一般電力会社や新電力会社に個別契約で売電する、事業を終了して撤去する、発電所を土地ごと売却するなどです。
ここで大切なのは、ランニングコストと売電収入を比べてメリットが残るかどうかです。
これから設置する太陽光よりも先に、2012年から設置された太陽光発電の固定価格買取期間が終了します。
先に固定価格買取期間が終了した人たちがどうするのかを見て判断するのも良いのではないでしょうか。
2. 投資シミュレーション
第1章で、太陽光発電は「適正価格で適した土地に太陽光発電を設置」した場合、10%を超える表面利回りを期待できると書きました。
一体いくらが「適正価格」で、どのような土地が「適した土地」なのでしょうか。
判断するために必要なのが、シミュレーションです。
太陽光発電のメリットとして、売電価格と期間が保証されていること、発電データが集まっているので、高い精度で収入をシミュレーションできることがあります。
どの程度の収入が期待できるのかシミュレーションして、初期費用を見積もりし、初期費用とランニングコストを収入から差し引いても利益をあげられる金額と土地が「適正価格」と「適した土地」だと言えます。
具体的に発電量のシミュレーションをした上で、どの程度の初期費用、ランニングコストであれば「適正価格」かつ「適した土地」と言えるのかを具体例で考えてみましょう。
2-1. 太陽光発電の収支シミュレーション(岐阜県岐阜市の場合)
岐阜県岐阜市(気象庁の最寄り観測地点:岐阜)に、300wの単結晶太陽光パネル288枚、86.4kWの発電設備を設置する場合でシミュレーションしてみましょう。
発電所の仕様は表の通りです。
太陽光パネル1枚の出力 | 300w |
パネル枚数 | 288枚 |
太陽光パネルの総出力 | 86.5kW |
パワコンの出力 | 49.5kW |
土地面積 | 891㎡(270坪) |
南側は道に面していますが、東西を建物と樹木に挟まれた土地です。
ほぼ真南に向けて太陽光パネルを設置できるのは良さそうですが、両隣の家屋と木の影が気になりますね。
シミュレーションして充分な発電量があるのか確かめましょう。
影の影響を見込んだ年間の発電量が約87,000kWhありますので、初年度の売電収入は約1,972,000円です。
20年間の売電収入は、経年劣化を踏まえて約37,620,000円となります。
初期費用が19,720,000円未満であれば、初年度の表面利回り10%を達成できる計算です。
発電設備(フェンス、防草シート含む)の設置費用は15,500,000円程度になりますので、造成費用、電力網へ電線をつなぐのにかかる費用、土地購入費用(購入する場合)が422万円以内に抑えられれば、10%達成です。
この収入に対して、ランニングコストを差し引いて期待する利回り以上となるなら適した土地、未満でしたら適していない土地と言えます。
主なランニングコストの目安は次の通りです。
ランニングコストの一覧と費用の目安 | |
項目 | 費用の目安 |
---|---|
発電設備の償却資産税 | 課税標準額の1.4%/年、詳しくは税理士や税務署にご確認ください |
メンテナンス(O&M)費用 | 設置費用の0.5%程度/年 |
保険料 | 設置費用の0.2%程度/年 |
土地の固定資産税 土地取得による新規発生分 農地転用などによる上昇分 | 管轄の税務署や、市町村の税務課にご確認ください |
税金に関しては、資格がないと詳しく説明できません。
また、判断する立場にない人の言うことを鵜呑みにもできません。
必ず管轄の税務署や、税務課にご確認ください。
メンテナンス費と保険料は、加入するサービスや保険会社によって異なります。
敷地管理は自分で行い、義務化されたメンテナンスだけ業者に頼むことで金額を抑えることも可能です。
浸水条件などの特約をつけることで、保険料を抑えることも選択肢の一つです。
このように工夫してランニングコストを減らすことは問題ありません。
ただし、メンテナンスをしない、保険に加入しないという選択肢は絶対に避けてください。
メンテナンスは改正FIT法で義務化されており、罰則規定もあります。
保険は20年間自然災害も事故もなければ良いですが、万が一が起きた時のリスクが甚大です。
初期費用の回収前に洪水で流されたり、火災で燃えてしまったあとで嘆いても取り返しがつきません。
最低限、初期費用を回収するまでは保険に加入しましょう。
太陽光発電の利益の計算方法をおさらいしたい方は次の項をお読みください。
2-2.太陽光発電の利益を求める計算式のおさらい
太陽光発電の利益の求め方を、単純化するとこのようになります。
※影の損失や配線の損失も含みます
※土地を購入する場合は土地の費用や登記費用が発生します。農地転用などをする場合は申請費用が発生します。
太陽光発電の利益は、売上(売電収入)ー支出(導入費用+維持管理費)で決まります。
売電収入は、発電量×売電単価(固定価格買取制度の調達価格)で決まります。
維持管理費(ランニングコスト)は基本的に初期投資額に比例します。
これらを前項のシミュレーションのように客観的に把握することは、投資の判断材料(売電収入・利回り)にとても重要です。
次章では、利益に直結する重要なポイントが、固定価格買取制度の開始当初と現在で、どのように変化したかをメリットとデメリットを交えてご説明します。
3.【過去・未来と徹底比較!】これから太陽光発電に投資をするメリット・デメリット
「40円の頃にやっておけばよかったなぁ。」太陽光発電を検討し始めた人からよく聞く言葉です。
確かに、売電価格「だけ」を見るとその通りです。しかし、最終的な利益に影響を与える要素は、売電単価だけではありません。
投資効率や利益に影響を与える項目は、他にも多くあります。
大切なのは、今投資する価値があるか、です。
そこで、売電価格の下がった今太陽光発電投資を始めるメリット・デメリットを、売電単価が40円だった時代と比較して見ましょう。今まで設置したかったけれど、今一歩踏み込めなかった…という方にはぜひ読んでいただきたい章です。
3-1. 40円時代と徹底比較!21円の今始めるメリットとデメリット
太陽光発電の利益に影響する要素について固定価格買取制度のスタート当初と現在で比較してみました。
売電単価の過去と現在 比較表 | |||
項目 | 過去の売電単価 40円/kW | 現在の売電単価 21円/kW | あなたに与える影響 |
---|---|---|---|
① 売電価格 | 40円/kWh | 21円/kWh | 収入 |
② 初期費用(目安) | 38万円/kWh | 19万円/kWh | 支出 |
③ 融資 | 難しい | 受けやすい | 設置可否(参入障壁) |
④ 制度 | 簡素 | やや複雑 | 設置可否(参入障壁) |
⑤ 出力制御 | 対象外 | 対象となる | 収入 |
⑥ 機器性能(目安) | パネル1枚230W | パネル1枚300W | 収入 |
⑦ 保証期間 | 10-25年 | 10-25年 | 支出 |
⑧ 施工技術 | 低い | 高い | 収入・支出・設置可否 |
⑨ 製造技術 | 低い | 高い | 収入・支出・設置可否 |
⑩ 実績・データ | 少ない | 多い | 収入・支出・設置可否 |
売電単価の下落はデメリットとして非常にわかりやすいので注目されがちですが、実は、このように多くの要素が太陽光発電投資に影響を与えています。
発電所の売上には影響がありませんが制度がやや複雑になったことも、デメリットと言えるでしょう。
一方で、初期費用が半分程度になったことで投資リスクが減ったことや、パネルの性能が20%以上向上したことで、設置面積を節約できることなどは非常に大きなメリットです。
3-1-1. 設置可能な場所が増えた
製造技術や施工技術の向上によって、以前は設置が難しかった海沿いや緩やかな傾斜地などにも設置できるようになりました。
技術的には設置が可能であっても、設置後の運営・管理を考えると設置に適さない場所があるなどのノウハウも増えてきました。
つまり、設置できる場所(土地・屋根)の選択肢が増えました。
その反面、農地転用の方針見直しや市町村による説明会の義務づけなど、制度面では設置をする条件がやや増えました。
3-1-2. 面積あたりの発電量が増えた
発電量には、制度、製造技術、施工技術、実績、累計導入量、出力制御が影響します。
累計導入量が増えた事で、出力制御の実現が徐々に近づいてきています。
太陽光発電設備は優先順位として低いとはいえ、不安にはなりますよね。
製造技術や施工技術の向上によって面積当たりの設置容量や変換効率が上がったので、同じ土地に設置しても今の方がより多い発電量となります。
また、電圧抑制をかかりにくくする技術が開発され、売電できない時間が減る、という形でも発電量が増えます。
3-1-3. 売電価格の低下を発電量の増加でカバー
発電量の増加が売電収入にどう影響するのでしょうか。
売電収入は、 発電量 × 売電価格 で決まります。
売電価格が下がっても、発電量が増えた分だけ売上高の低下をカバーできます。
3-1-4. 初期費用は半額程度に
初期費用に影響するのは、制度、製造技術、施工技術、実績です。
フェンスや出力制御への対応が義務化されたことにより、以前は不要だった設備や機能を備えなければなりません。
しかし、製造技術や施工技術の向上によって面積当たりの出力は大きくなり、部材費や工事費が下がっています。
同じ面積の場合は出力の大きい発電所を設置できます。
同じ出力の場合は安価に発電所を設置できます。
同じパネル出力でも、これまでの実績から最適なパワコンの出力を選ぶ事ができるため、不必要に高いパワコンを選ぶこともありません。
このように不必要な出費を避ける点からも、初期費用を抑えられるようになっています。
3-1-5. 今だからこそ輝く投資先としての魅力
売電価格は下がりましたが、初期費用も下がり、面積あたりの発電量は増えました。
つまり固定価格買取制度の開始当初と現在(2017年度後半)を比較すると、以下のようになります。
①設置コストが50%ほど低下したので、同じ設置容量を半額程度で設置できる
②パネル1枚あたりの出力が20%ほど上がったので、同じ設置容量を2割程度少ない面積に設置できる
③パネル1枚あたりの出力が20%ほど上がったので、同じ設置面積で、2割程度多くのの容量を設置できる
④設置コストが50%ほど低下したので、同じ設置費用で2倍近い規模の太陽光発電を設置できる
このように、今始めた方が良い事もあるのです。
3-2. 来年始める方がいい?1年待つメリットとデメリット
利益が出るなら、もう1年まっても同じに思えます。しかし、次の点からできるだけ早く始めることをオススメします。
3-2-1. 初期費用の低下よりも、売電価格低下のペースが早い
売電単価は固定価格買取制度上の問題で、下限がありません。「外国がこれくらいだから」「他の発電方法がこれくらいだから」「目標値だから」という理由で下げられます。
初期費用は部材の費用や工事の人件費など、下限があります。また、地形・地質によって必要な工事も異なります。
部材メーカーや施工業者が日々工夫してコストを下げても、全国に反映するまでには時間がかかります。
「外国でパネルの価格がこれくらいだから日本でも同じ価格にしなさい」「ゴルフ場跡地でこれぐらいの価格だから、狭い場所でも同じ金額で工事しなさい」と言われても、簡単に下げられるものではありません。
売電価格低下の方がペースが早いということは、投資効率が下がるということです。
3-2-2. 固定価格買取制度がいつまで続くかわからない
固定価格買取制度は、再生可能エネルギー市場の創出と自立を目的にしています。
買取価格や買取期間の保証がなくても市場として成り立つと判断されたら、新規受付のなくなる可能があります。
制度終了後は、個別に電力会社へ販売することになると予想されます。
事業として成立しても、今のように長期安定した売り上げを見込むことはできないでしょう。
3-2-3. 制度の規制で設置できなくなる可能性がある
太陽光発電は固定価格買取制度以外にも、農地法や森林法、都市計画法、電気関係の法令、自治体の条例など様々な法律・制度の規制を受けます。
これまでは特に問題なかったような場所でも、太陽光発電目的での農地転用は受け付けなかったり、説明会を義務付ける自治体が出てきました。
1年待つ間に、そもそも設置できなくなる可能性もあるのです。
ここで、太陽光発電業界で働く人であれば、毎年必ず聞いたことがあるお話を紹介します。
それは、「去年の売電単価の時に設置しておけばよかったなぁ!」というお客様のため息です。
固定価格買取制度というのは、再生可能エネルギーの普及を目的として、国が買取単価と期間を制度で定めている非常に特徴的な制度です。
太陽光発電は「思い立ったが吉日」です。利回りなどを基準に投資する価値があると判断したなら、素早く行動しましょう。
4. 太陽光発電の投資リスクと対策
制度として売り上げと期間を保証されている太陽光発電にも、リスクはあります。
ここでは、特に投資としての太陽光発電にとって重大なリスクと対策をご紹介します。
4-1. 予想利回りを下回るリスク
予想利回りを下回るのは、3パターンに分かれます。
- 初期費用やランニングコストが想定を上回った
- 売電収入が予想を下回った
- 土地の固定資産税を想定していない
いずれも見積もり内容の確認や、税務署等への確認で設置前に判断できます。
見積もりに含まれていない出費はないか、発電量をどのように計算したのか必ず確認しましょう。
4-2. 売電収入が途切れる、減るリスク
見積もり内容や発電所の工事に問題がなくても、売電収入が減る、途切れる可能性があります。
メーカー保証と保険でカバーできるもの、発電監視やメンテナンスが重要なものがあります。
- 電圧抑制で売電収入が減る
- 出力抑制で売電収入が減る
- 故障で売電収入が一時途絶える
故障の原因は落雷、飛来物、施工不良や製品不良など様々です。
メーカー保証、任意保険、施工業者の保証でどこまで対応できるのか確認しましょう。
4-3. その他のリスク
ここでご紹介したリスクの他にも、近隣とのトラブルや税金の手続きと種類、保証期間終了後の故障などといったリスクがあります。
いずれも事前に知っておけば、サポートしてくれる設置業者やメンテナンス業者と協力して対応可能なものばかりです。
4-4. リスクへの一番の対策は業者選び
対応可能なリスクとはいっても、全てのリスクに事前準備をしておくことは不可能です。
自然災害でパネルが割れることがあると知っていても、実際に割れてしまった時にどうしたらいいかわからないですよね。
実際にトラブルがおきた時に、メーカーなどへの窓口となって対応するのが設置業者やメンテナンス業者です。
設置業者が1から10までやってくれれば一番いいですよね。
しかし、全ての業者が親身になって対応してくれるとは残念ながら言えません。
業者自身がどのような対応をすれば良いのか知らない可能性もあります。
売上第一で、説明してくれないかもしれません。
設置後連絡が取れなくなるかもしれません。
だからこそ、どこの業者で設置するのかが重要になってきます。
メンテナンスまで請け負ってくれるのか、自社ではできなくともメンテナンス業者を紹介してくれるのか。
緊急時に対応してくれるのか、保険会社との繋がりはあるのか。
気になることはどんどん担当営業に確認して、自分の期待するサポートを得られるかどうかを含めて設置業者を決めましょう。
5. 太陽光発電を設置する目的と投資の価値基準
あなたが太陽光発電への投資を考える目的は何ですか?
一言で資産運用といってもその具体的な目的は様々です。
主目的は資産運用でも、遊休地の活用・管理や節税、相続などの第2の目的があります。
同じ太陽光発電への投資でも、目的によってどのような発電設備を作るのか、何を基準に判断するべきかが変わります。
資産運用が目的なのに、コンクリートの土間を作って高級パネルを使い、頑強なフェンスを設置して・・・などとやっていては初期費用がかさみすぎて本末転倒です。
敷地管理が目的なのに、雑草対策なしで設置して草刈りが余計大変になった、なんて目も当てられません。
後悔しないためにもどんな目的を持って太陽光発電を設置するのか、明確にしてから判断しましょう。
5-1. まずは太陽光発電に投資する目的を明確にしよう
太陽光発電に投資する目的は人それぞれですし、一つだけとは限りません。
よく挙げられる代表的な目的をご紹介します。
・資産運用(売電収入)
・年金の足しに安定収入を得たい
・早期リタイアのために不労所得を増やしたい
・本業に加えて副収入が欲しい
・不動産の維持、管理
・遊休地を活用したい
・農業をやめたい
・相続した土地を手放したくない
・不動産の取得
・20年後別の用途に使う前提で土地を取得したい
・用途は決めていないが、増やす資産の一部を土地にしておきたい
・節税
・相続税対策として
・優遇税制の活用
ほとんどの方が複数の目的を持っています。
年齢や立場によって目的の意味合いも異なります。
あなたの目的はいくつあるのか、どの目的を重視するのか、優先順位をつけましょう。
どのような太陽光発電を設置するのか、目的に沿って判断することで、失敗する可能性を大きく下げることができます。
5-2. 投資額に応じて優先順位をつけよう
太陽光発電には、パネルの配置やパワコンの容量選択、単結晶や多結晶といったパネルの違いなど、様々な選択肢があります。
発電設備以外にも、フェンスや雑草対策、敷地の造成など費用がかかります。
全てが理想通りにできれば良いのですが、その結果赤字となってしまっては意味がありません。
かけられる金額の範囲内で、何を重視するのか優先順位をつけましょう。
それぞれどのような価値基準があるのか、一例をご紹介します。
5-2-1. 発電設備の価値基準
- 保証
- 性能
- 品質
- メンテナンス性(配置など)
- 保険
- 安全性
- 耐久性
- ブランド
5-2-2. 発電設備以外の価値基準
- 機能
- 外観
- メンテナンス性
- 保険
- 耐久性
- 立地条件
- 工法
5-3. 目的別・どの価値基準を重視したら良いのか
5-3-1. 資産運用(売電収入)を最重要視する場合
一言で資産運用が目的といっても、利回り優先か安定・手間の少なさが優先かによって異なります。
利回り優先の場合は、性能が重要な判断基準です。
許容できるコストと利回りの範囲内で、保証、保険、メンテナンス性との兼ね合いを探ることになります。
安定や手間の少なさが重要でしたら、メンテナンス性や耐久性をまず考えましょう。
保険、保証も重視した方が良いでしょう。
ブランド名や外観といった付加価値にこだわると、割高になる可能性が高いです。
5-3-2. 不動産の維持、管理
不動産の維持・管理を目的とする場合、最初に雑草対策やフェンスにお金をかける必要があります。
また、設置後のメンテナンスも重要となるため、耐久性とメンテナンス性が重要になります。
初期費用を考えて妥協してしまうと、草刈りの手間や補修費用に跳ね返ってきます。
5-3-3. 不動産の取得
20年後の用途を想定しているかによって異なります。
家を建てる、定年後に菜園を作るなど、何らかの用途を考えている場合は立地と工法が重要になります。
住みたい地域とは異なる場所に買っても意味がありません。
農地に戻したいのに敷地前面をコンクリートで固めてしまっては、原状回復に多くの費用がかかってしまいます。
立地や工法が限られると、それに合わせてコストの制約も出てきます。
用途を想定していない場合、基本的にはコスト優先で考えることになります。
ただし、仮に発電所を続けるとしてランニングコストを売電収入だけで賄えそうか考えておきましょう。
ランニングコストをまかなうことができれば、不良資産となることは避けることができます。
5-3-4. 節税
節税が目的の場合、他の目的と異なる意味でコストが重要です。
とにかく安ければ良いと考えて設置しては、期待した節税効果を得られないこともあります。
優遇税制は1年から数年で制度が変わります。
事前と事後に手続きが必要なものもあれば、運転開始時期によって適用されるかが決まることもあります。
そのため、発電設備についての判断基準も重要ですが、判断する時期を逃さないようにしましょう。
まとめ
投資としての産業用(10kW以上)太陽光発電を考えた時に、最大のメリットは固定価格買取制度です。
制度によって、発電した電気を一定の価格(固定価格)で20年間買い取ることが保証されています。
安定稼働するだけで売り上げが保証される。これは他の投資や事業にはない魅力ではないでしょうか。
太陽光売電のメリット おさらい | |
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これらのメリットに加えて、売電単価が下がった現在でも、パネルメーカー、パワコンメーカー、架台メーカー、太陽光発電のユーザー、工事会社の努力と工夫で、10%を超える表面利回りの実現が可能です。
その一方で、下がったとはいえ大きな初期費用がかかること、長期的な投資であること、21年目以降の保証がないことも事実です。
希望する利回りと安定した運用を実現するためには、コストだけでなくどのような業者で設置するのかも大切です。あなたの大事な資産を任せる相手です。業者は妥協せずに探しましょう。