太陽光の出力制御とは|電力会社別ルールと対処法解説・対応機器一覧

太陽光発電の出力制御のルールと対処法

電力会社から出力制御関係のアナウンスがあり、話題になっていていますね。
「自分は関係はあるのかなぁ…」と心配になっている方も多いのではないでしょうか。

また、出力制御は様々なルールがあって複雑な内容です。
この記事では、出力制御の概要などからあなたにどのような影響があって、どのような対応をすれば良いのかを網羅的に解説しています。

 この記事であなたがわかること 

・出力制御の概要
・太陽光の出力制御ルール(360時間ルール、30日ルール、指定ルール)
・無視すると売電できなくなること
・出力制御の順番は太陽光発電が7番目ということ
・対処方法(必要機器・手続き)
・各電力会社の状況
・よくあるQ&A

ぜひ最後まで読んで、出力制御への理解を深め、必要な対応ができるようにしましょう。

※本記事では、主に50kW未満の低圧太陽光発電の出力制御について記載しております。

目次


1.出力制御とは|概要・あなたが受ける影響・制度の運用方法

この章では、出力制御の概要を紹介します。1章を読めば「出力制御」であなたの太陽光発電の発電量が大きな影響を受けるのはかなり限られた条件が必要だとおわかりいただけると思います。

1-1.出力制御とは電気の需給バランスのために発電出力を抑える措置

「出力制御」とは、一般送配電事業者(電力会社)の指示で発電所の出力を抑えることを言います。

主な目的は2つです。

・電気の作りすぎによる故障や停電を防ぐため(電力の需給バランス)
・より多くの再生可能エネルギーを導入するため(再生可能エネルギーの拡大・促進)

1-2.出力制御がかけられた時にあなたが受ける影響

影響その1 対応機器を設置するためにお金がかかる

出力制御の対象になる場合、電力会社(一般送配電事業者)から要望を受けたら対応機器を設置する必要があります。
対応機器を設置するために、追加で出費がかかります。

対応機器への切り替え手順は4章で、必要な対応機器は5章で説明します。

影響その2 売電収入が減る

出力制御は電気の供給量が需要量を上回る時に、故障や停電を防ぐため、発電所の出力を抑えるものです。

出力制御を受けている間は売電ができなくなります。

そのため、売電収入が減ります。

まずはあなたが出力制御の対象になるのか確認する

売電できなくなる前に対応しよう!と考えるのはいいですが、慌てて対応してはいけません。

あなたが出力制御の対象になるか、どのようなルールで制御を受けるのか、は次の3点で異なります。

・どの電力管内で設置しているか
・いつ太陽光発電の接続申し込みをしたか
・何kWの太陽光発電を設置したか

2章で、いつの接続申し込みから出力制御の対象となるかと、適用されるルールを表でまとめました。

まずは自分が対象になるのか確認しましょう。

1-3.新電力に売電している場合や余剰売電の出力制御も対象になる

あなたの太陽光発電所が新電力に売電していても出力制御の対象となります。

余剰売電の場合、自家消費分までは問題なく発電できます。
出力制御はあくまで電線に流れる電気の量を調整するための仕組みです。

出力制御の対象は太陽光発電に限らない

出力制御の対象となるのは、火力発電や揚水発電も含む全ての発電所です。
「出力制御=太陽光発電の抑制策」と思っている方もいますが、太陽光発電に限った話ではありません。

3-3.出力制御の基本ルール③:優先給電ルール」で後述しますが、出力を制御する優先順位の問題です。

1-4.出力制御は電気の需要量を供給量が上回る時に実施される

出力制御は電気の需要量(使う量)を供給量(作る量)が上回る時に実施されます。

最初は太陽光発電がよく発電する4、5月頃、特に長期休暇で需要量の減少するゴールデンウィーク頃に実施される可能性があります。

1-5.出力制御時の売電額の補償(逸失利益の補償)

出力制御を受けている間は電気を売ることができません。
得られるはずだった売電収入があるはずなので、その分の補償が気になります。

逸失利益の補償は、される場合とされない場合があります。

補償される場合

出力制御をかける時間について、年間での上限が決まっている場合があります。
上限時間を超えて制御することになった場合、補償される方針です。

ただし、上限時間を超えないように運営する方針で、補償の手順等は決められておりません。

補償されない場合

年間での上限時間内に収まっている場合や、制限時間がない場合は補償されません。

1-6.制御方法は自動・手動・固定スケジュールの3種類

実際に出力を制御する方法は3種類あります。自動制御、手動制御、固定スケジュール制御です。

太陽光発電の出力制御実施方法

自動制御とは

電力会社がインターネットを通して各発電所に出力制御の指示を出します。
出力制御対応機器の他にインターネット回線が必須となりますが、出力制御がかかった際最もロスが少なくなります。

手動制御とは

出力制御の指示があるたびに、設置者が発電所へ行って出力制御の設定をします。
インターネット回線がなくても良い反面、指示があるたびに入力しなければならないため非常に手間がかかります。
また、いつ出力制御の指示ができても対応できるよう、毎日誰か一人は設定できる人が必要です。

固定スケジュールとは

あらかじめ1年分の出力制御予定を入力しておきます。そのスケジュールに沿って制御するので固定スケジュールです。
固定スケジュールでは出力制御する日は「全日全量」、つまり1日中発電を停止します。

丸1日発電を止めること、制御不要になっても解除できないことから最もロスが大きくなります。


2.超重要!太陽光発電の出力制御のルール

この章では、太陽光発電の売電収入に直結する出力制御の3つのルールについて解説します。

太陽光発電の出力制御は、接続申し込みした時期や規模、地域によって異なります。
なお、東京電力・中部電力・関西電力は出力制御の対象外ですが、参考に他地域の状況も把握しておくと良いでしょう。

まずは、太陽光発電設備の規模と電力会社別の措置を確認しておきましょう。

2-1.設備容量10kW未満の場合

適用内容 北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力 北海道電力・東北電力・九州電力
制御対象外 2015年3月31日までの接続申し込み案件 2015年3月31日までの接続申し込み案件
360時間ルール 2015年4月1日以降の接続申し込み案件 なし
指定ルール 接続可能量超過後の申し込み案件 2015年4月1日以降の接続申し込み案件

東京電力・中部電力・関西電力は出力制御の対象外となるため、表には記載しておりません。

2-2.設備容量10kW以上50kW未満の場合

適用内容 北陸電力・中国電力 四国電力・沖縄電力 北海道電力・東北電力・九州電力
制御対象外 2015年3月31日までの接続申し込み案件 2015年1月25日までの接続申し込み案件 なし
360時間ルール 2015年4月1日以降の接続申し込み案件 2015年1月26日以降の接続申し込み案件 なし
指定ルール 接続可能量超過後の接続申し込み案件 接続可能量超過後の接続申し込み案件 接続可能量超過後の申し込み案件

東京電力・中部電力・関西電力は出力制御の対象外となるため、表には記載しておりません。

2-3.太陽光の出力制御①:「360時間ルール」とは

年間で合計360時間まで出力制御をかけられる可能性があります。

1時間単位で出力制御がかけられます。
合計360時間を超過して制御がかけられた場合は補償される方針です。

北陸電力、中国電力管内では2015年4月1日以降に売電申し込みした発電所が対象です。
四国電力・沖縄電力管内では2015年1月26日以降に売電申し込みした発電所が対象です。

2-4.太陽光の出力制御②:「指定ルール」とは

「年間30日以上の出力制御を条件とすることに合意する場合は、引き続き電力会社に接続義務を課す」という指定電気事業者制度に基づいたルールです。

無制限に出力制御をかけられる可能性があります。
制御をかけられた際の補償はありません。

接続可能量を超過してから売電申し込みした発電所が対象です。

2-5.太陽光の出力制御③:「30日ルール」とは

年間で最大30日まで出力制御をかけられる可能性があります。

1日単位で制御がかけられます。
合計30日を超えて制御がかけられた場合は補償される方針です。

2015年1月25日までに売電申し込みした、500kW以上の発電所が対象です。

出力制御のポイント:接続可能量とは?

接続可能量とは揚水式発電所を揚水運転(充電)し、360時間ルールと30日ルールで出力制御をかければ需要量と供給量のバランスを取れる、上限の発電設備の容量(出力)です。

接続可能量を超えて発電設備を設置すると、需要量と供給量のバランスをとるには発電所を止めるしかありません。

そのため、接続可能量を超えて接続申し込みをした発電所は、無制限の出力制御を受け入れないと売電できません。

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3.出力制御の基本ルール

この章では、出力制御の運用や基本的な3つのルールについて解説します。

3-1.出力制御の基本ルール①:対応しなければ売電できなくなる

出力制御への対応は、発電事業者の義務です。
電力会社の出力制御対応パワコンへの切り替えに応じなければ、接続契約が解除されて売電単価取り消しとなる可能性があります。

切り替えに応じていただけない場合、太陽光連系に関するご契約が解除となることがあります。契約解除となった場合、現在の買取条件(調達価格等)が失われますので、ご注意ください。

九州電力「≪重要なお知らせ(再通知)≫太陽光発電の出力制御に関するお手続きについて」より引用

お手続きに応じていただけない場合、太陽光連系に関するご契約が解約となる場合があります。

四国電力「《 10kW以上の太陽光発電設備を連系されている方への重要なお知らせ 》太陽光発電の出力制御に関する今後のお手続きについて」より引用

3-2.出力制御の基本ルール②:売電先の小売事業者を問わず制御される

出力制御は、発電所が繋がっている地域の需給バランスによって実施が決まります。
どこに売電しているかは関係ありません。

別の地域の新電力会社に売電していても、発電所がつながっている地域で必要になったら制御がかけられます。

3-3.出力制御の基本ルール③:優先給電ルール

様々な発電方法がある中で、出力を下げる優先順位を決めたのが「優先給電ルール」です。

この表の上から順番に出力制御を行う決まりです。

①一般送配電事業者の予備力分の発電所の出力制御、揚水式発電機の揚水運転
②一般送配電事業者がオンラインで操作できる火力発電所等の出力制御、揚水式発電機の揚水運転
③一般送配電事業者がオンラインで操作できない火力発電所等の出力制御、揚水式発電機の揚水運転
④隣の電力会社管内へ供給(長周期広域周波数調整)
⑤バイオマス専焼電源の出力抑制
⑥地域資源のバイオマス電源を活用する発電設備
 ⑦自然変動電源の出力抑制(太陽光発電はココ!)
⑧広域機関の指示に基づく措置
⑨長期固定電源の出力抑制(原子力、水力、地熱発電など)

太陽光発電は上から7番目の「自然変動電源というグループになります。
出力制御がかけられるのは比較的後のグループです。


4.出力制御への対処法

この章では、電力会社へ売電を続けるために必要な対応と対応の手順、そして売電を終了して自家消費へ切り替える方法をご紹介します。オーナーのみなさんには痛手ですが、対応のためにある程度の出費は避けられません。

4-1.電力会社へ売電を続けるなら対応機器の設置が必要

電力会社へ売電を続けるなら、対応機器の設置が必須です。

山奥で電波が届かない、という場合でも、固定スケジュールで出力抑制できるように対応パワコンや出力制御ユニットを設置する必要があります。

設置しなければ、接続契約の終了となり売電できなくなる可能性があります。

4-2.出力制御対応機器への切り替え手順

出力制御対応機器への切り替え手順は、原則として下の図のような手順を踏みます。

出力制御対応の手順

2017年末までに切り替えの案内が出ている電力会社共通の手順です。

必要な機器の判断は、知識がないと難しい部分があります。
可能であれば、太陽光発電を設置した業者に一度確認しましょう。

パワコンと監視装置の型番を調べる

まずはパワコンと監視装置の型番を調べます。

パワコンの型番が確認できるシールは、下の画像の位置に貼られていることがほとんどです。
蓋を開けた内部に貼ってある場合もありますが、感電の恐れがあります。開けないでください。

太陽光発電の出力制御 パワコンの型番確認

パワコンの型番は本体の側面や本体内、もしくは設置後に渡される検査成績証明書に記載されています。
監視装置の型番は監視装置本体や収納ボックス、カタログ等に記載されています。

監視装置を設置していない場合は、出力制御ユニットと通信機器が必要と判断できます。

出力制御に対応している型番か問い合わせて、必要な機器を確認する

パワコンメーカーと監視装置のメーカーに、出力制御に対応している型番か問い合わせます。
遠隔監視装置メーカーには、どのメーカーのパワコンを使用しているかも伝えてください。

メーカーの返答は大まかに次の4種類になります。

①出力制御に対応している
②ソフトウェアをアップデートすれば出力制御に対応できる
③機器としては出力制御に対応しているが、使用しているパワコンと監視装置の組み合わせでは動作確認していない
④出力制御に対応していない

①の場合が最も低コストですみます。電力会社との手続きと出力制御の設定だけです。
②の場合は、ソフトウェアアップデートの費用がかかりますが低コストです。
③の場合、パワコンもしくは遠隔監視装置を別のものに切り替えるか、出力制御ユニットのみ取り付ける必要があります。
 遠隔監視装置の通信回線を流用できない場合は、別途通信回線を用意する必要があります。
④の場合が最も高コストになります。パワコンから全て取り替える必要があります。

電力会社へ「仕様確認依頼書」を提出する

メーカーへの確認ができたら、必要な機器を取り付ける前に、電力会社へ仕様確認依頼書」を提出します。
電力会社側で出力制御を問題なくかけられることを確認するためです。

必要な機器を取り付けて電力会社へ「完了届」を提出する

電力会社での仕様確認が終わったら、必要な機器を取り付けて設定を行います。
取り付けと設定が終わったら、完了届」で電力会社へ報告します。

切り替え期限が近く、仕様確認が間に合わない場合は取り付けと完了届を優先するよう指示されます。

4-3.売電をやめて自家消費へ切り替える方法

工場屋根など建物に設置している場合、電力会社へ売電せずに自家消費に切り替えるという方法もあります。

固定価格買取制度から外れること、消費しきれなかった分を電力網に流れないようにする対策(逆潮流対策)が必要です。
自家消費に切り替えるという案件が無いため、どのような逆潮流対策必要なのか、一律の条件は決まっていません。

残りの売電期間で得られる売電収入と機器の切り替えにかかる費用と逆潮流対策にかかる費用を比べて判断することになります。

今後、北海道電力や東北電力、北陸電力、中国電力の管内で切り替えの案内が出る時期によっては選択肢になるでしょう。

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5.出力制御への対応に必要な機器

出力制御への対応に必要な機器は3つあります。

・出力制御対応パワコン
・出力制御ユニット
・通信機器

経産省第5回系統ワーキンググループ資料より

経済産業省新エネルギー小委員会系統ワーキンググループ第5回配布資料「出力制御機能付PCSの技術仕様について」より引用

パワコンメーカーでは、監視装置に出力制御ユニットの機能を持たせることが多いです。
出力制御対応パワコンを設置し、パワコンメーカー純正の監視装置を設置している場合はすでに一式揃っている、またはソフトウェアアップデートだけで対応できる場合があります。

監視装置をつけていない、純正の監視装置でない場合は別途出力制御ユニットや通信機器を用意する必要があります。

5-1.出力制御対応パワコンとは

出力制御対応パワコン」とは、太陽光パネルが作った直流の電気を交流の電気に変換する機械です。

制御ユニットが受け取った出力制御のスケジュールに基づいて、発電量を調整する機能を持っています。

出力制御対応パワコンには、「広義のパワコン」と「狭義のパワコン」という2つの呼ばれ方があります。

・広義のパワコンとは、出力制御のスケジュールを受信できるパワコンです。

・狭義のパワコンとは、出力制御する機能だけついていて、スケジュールを受信する機能はついていないパワコンです。

普及しているパワコンは、ほとんどが狭義のパワコンです。

パワコンメーカー純正の監視ユニットやコントローラーを取り付けている場合、広義のパワコンと同じ機能を持っていることもあります。

狭義のパワコン単体では実質的には何もできないので、出力制御ユニットと通信機器、通信回線を用意する必要があります。

5-2.出力制御ユニットとは

出力制御ユニット」とは、電力会社から送られてくる出力制御のスケジュールを受信し、パワコンに送る機器です。

「狭義のパワコン」を設置している場合、必須の機器です。
出力制御ユニット側が対応していれば、パワコンとメーカーが異なっても問題ありません。

出力制御ユニットは遠隔監視装置を兼ねているものもあります。
遠隔監視装置を設置していない場合は兼用タイプを選ぶことをお勧めします。
遠隔監視装置を設置している場合、ソフトウェアのバージョンアップなどで対応可能か一度メーカーに確認しましょう。

通信機能がついているものは、通信機器が不要になります。

5-3.通信機器・インターネット環境

「出力制御対応パワコン」や「出力制御ユニット」をインターネットに接続するために必要となります。

屋根設置の場合、建物で使用しているインターネット回線を利用することができます。
野立て太陽光発電の場合、別途インターネット回線を用意する必要があります。

5-4.主要パワコンメーカーの出力制御ユニット一覧

主要パワコンメーカーが発売している出力制御ユニットを一覧でご紹介します。

主要メーカー 出力制御ユニット
SMA 純正の出力制御ユニットなし
オムロン 住宅向け:エナジーリンクゲートウェイ(監視装置)
産業向け:エナジーリンクゲートウェイ(監視装置)
山洋電気 SANUPS PV Monitor(監視装置)
GSユアサ 出力制御ユニット または 出力制御用ネットワークユニット(監視装置)
パワーコンディショナ総合カタログに記載
シャープ マルチエネルギーモニタ または カラー電力モニタ(監視装置)
新電元 出力制御ユニット・監視装置(通信機能付)
ダイヤモンド電機 純正の出力制御ユニットなし
田淵電機 単相パワコン向け: EneTelusリモコン(監視装置)
三相パワコン向け:マスターボックス(監視装置)と
                           通信ゲートウェイボックス(通信機器)との併用
デルタ電子 余剰買取向け:パワーモニター(監視装置)
全量買取向け:パワーモニター(監視装置)
パナソニック 太陽光用出力制御ユニット(監視装置)
日立 出力制御ユニット
三菱 カラーモニターエコガイド(HEMS)
安川電気 単相5.8kW以下のパワコン向け:住宅用表示システム(監視装置)
そのほかのパワコン向け:純正の出力制御ユニット無し

いずれのメーカーも、出力制御ユニットはオプション品です。
監視装置と一体になっていることが多く、通信機能付または通信機器とセットになっているメーカーもあります。


6.出力制御への対応がアナウンスされている各電力管内の状況

この章では、出力制御への対応がアナウンスされている各電力会社の状況について、電力会社ごとに解説します。

2018年2月現在、離島を除いて出力制御は実施されていません。

九州電力、四国電力、沖縄電力で、出力制御対応パワコン(広義のパワコン)への切替と確認のアナウンスが出されています。

出力制御が問題になっているエリア

6-1.九州電力管内の状況

九州電力管内では、2017年12月末までに広義のパワコン(出力制御対応パワコンと出力制御ユニット)への切り替えを行い、九州電力へ「切替完了届」を提出する必要がありました。

ただし、対応が完了していない設備がまだあるため、2018年3月末までに切替を行い、「切替完了届」を提出するよう案内されています。

高圧の発電所には2016年の9月頃に、低圧の発電所には2017年の5月頃と10月頃に切り替えと設定について案内が送られました。

詳しくは九州電力HP「再生可能エネルギー発電事業者の皆さまへの重要なお知らせ 」をご覧ください。

九州電力管内では、逆潮流対策を行って自家消費に切り替えることで出力制御ユニットを省くことができます。
実際にそうしている案件がないため、理屈としては出来るが実際にどのような手続きになるかなどは決まっておりません。

6-2.四国電力管内の状況

四国電力管内では、2018年9月末までに広義のパワコン(出力制御対応パワコンと出力制御ユニット)への切り替えを行い、四国電力へ「切替完了届」を提出する必要があります。

高圧の発電所には2017年の2月頃に、低圧の発電所には2017年の10月頃に切り替えと設定について案内が送られました。

詳しくは四国電力HP「【低圧】PCS切替のご案内 」をご覧ください。

四国電力管内では、逆潮流対策を行って自家消費に切り替える、もしくは余剰分を無償で四国電力に渡す(無償逆潮)という条件で自家消費に切り替えることで出力制御ユニットを省くことができます。
無償逆潮の場合は、固定価格買取制度から外れるため出力制御の優先順位が下がり、当面は必要ないという形です。
今後需給バランスが厳しくなれば結局出力制御への対応が必要になるため、お勧めできません。

6-3.沖縄電力管内の状況

沖縄電力管内では、10kW以上の太陽光発電は2018年10月末までに広義のパワコン(出力制御対応パワコンと出力制御ユニット)への切り替えを行い、沖縄電力へ「切替完了届」を提出する必要があります。
10kW未満の太陽光発電については、2018年2月現在まだ案内が送られておりません。

10kW以上の太陽光発電設備所有者に、2017年12月頃に案内が送られました。

詳しくは沖縄電力HP「再生可能エネルギーの出力制御について 」をご覧ください。

沖縄電力管内では、逆潮流対策を行って自家消費に切り替えることで出力制御ユニットを省くことができます。
余剰分を売電する場合は固定価格買取制度に関係なく出力制御への対応が必要です。

6-4.北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力管内では出力制御対応パワコンの設置義務がある

北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力管内では新規設置の場合出力制御対応パワコンの設置が義務付けられています。

今後、九州電力、四国電力、沖縄電力管内と同様に、切替と確認のアナウンスが出ると思われます。

6-5.東京電力、中部電力、関西電力管内では出力制御対応パワコンの設置義務がない

東京電力、中部電力、関西電力管内では出力制御対応パワコンの設置義務がありません。
電気の需要量が大きく、まだ導入できる余裕があるためです。

接続申し込みが増えて接続可能量を超える可能性が出てきたら、以後の申し込みでは対応が必要になると思われます。


7.出力制御のQ&A

出力制御についてよくある質問をまとめました。

Qなぜ2030年に22%〜24%という導入目標までまだ余裕があるのに出力制御が必要なの?
A再生可能エネルギーの導入目標と出力制御の判断基準では範囲や基準となる期間が異なるためです。
導入目標は、日本全国という広い範囲で、1年間という長い期間を元に22%〜24%を再生可能エネルギーで発電するという目標値です。
出力制御は、発電所が繋がっている電力網の地域という狭い範囲で、30分という短い期間で実際に使う電気の量と発電する量のバランスが取れているかを基準に判断します。
全体では余裕があっても、部分的には余裕がないということです。
パワコンには、30分単位で制御できる機能をつけるよう求められます。
Q「出力制御対応パワコン」だけではダメなの?
A別途「出力制御ユニット」が必要になります。対応パワコンだけでは、出力制御のスケジュールを受信することができないためです。
Qなぜ「出力制御ユニット」が必要なの?
A出力制御のスケジュール」を受信して、パワコンにスケジュール通り制御させるためです。各社、純正のモニターや監視装置に出力制御ユニットの機能を持たせており、少し古い機種でもソフトウェアアップデートで対応できる場合があります。
Qインターネットの通信環境は必要になる?
A必須と考えましょう。山間部などで通信できない場合、手動制御か固定スケジュールでの制御となります。どちらも手間とロスが大きく、電力会社からもお勧めされていません。
Q「自動制御」手動制御」と「固定スケジュール」のどれが得なの?
A自動制御が最も得になる可能性が高いです。
手動制御の場合、毎日出力制御スケジュールを確認してパワコンに入力する手間がかかります。制御が必要なくなった場合、自動制御よりも反映が遅くなります。
固定スケジュールの場合、出力制御をかける日は1日中完全に発電を止めます。(全日全量)
制御が必要なくなった場合、反映させることができません。いずれも自動制御よりもロスと手間が大きいです。
自動制御の場合通信費がかかりますが、それを踏まえても自動制御の方が良いでしょう。
Q低圧でも固定スケジュールを選べるの?
A九州電力に確認したところ、可能です。ただし、ロスが大きく推奨されていません。
Q出力制御」があっても「自家消費分」までは発電できるの?
A自家消費分までは発電できます。あくまで、電線に流れる電気の量を調整するための制御です。
Q電圧抑制」でどうせ止まるんじゃないの?
A需給バランスの問題と電圧の高い低いの問題なので、別の問題です。
電圧抑制は安全装置ですが、出力抑制の代わりにはなりません。
電気は安全に安定供給することが大前提です。確実に安全に電気を供給する大前提を成立させるには、人為的にコントロールできる必要があるため「出力制御」をできるようにします。
Q「スマートメーター」で通信できないの?
A残念ながらできません。
スマートメーターの通信網と出力制御に使われる通信網は別になっていて、情報をやりとりできないそうです。
Qスマートメーター」でブレーカーを落とせばコントロールできるのでは?
A残念ながらできません。
スマートメーターの通信網と出力制御に使われる通信網は別になっていて、情報をやり取りできないそうです。
Q先に導入した人が対象外なのは不公平になるのでは?
A不公平にならないよう、出力制御のルールを考慮した上で売電単価が決定されています。そのため、先に導入した人も新しい出力制御のルールを反映してしまうと、先に導入した人が不利になってしまいます。
Q長期固定電源を先に止められないの?
A長期固定電源は停止が難しい、または再起動に時間がかかる電源です。
そのため一番最後に抑制を行います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
出力制御の内容や対処法がお分かりいただけたでしょうか。

固定価格買取制度での売電を続けたい場合は、速やかな対処が必要です。

今回の記事で特に大事な内容を7つにまとめましたのでおさらいしておきましょう。

・出力制御は電力の需要と供給のバランスを保つための措置
・出力制御は太陽光発電の独自ルールがある(360時間・無制限指定・30日)
・出力制御を無視すれば売電価格が取り消しとなる(固定買取制度・FITの対象外になる)
・出力制御は太陽光発電以外の発電設備(火力発電・水力・風力・原子力)も対象となる
・出力制御は電力管内単位で扱いが異なる(例:九州電力は対象 中部電力は対象外)
・出力制御の対応機器を購入し取り付ける必要がある
・出力制御の影響を悲観的に考え過ぎる必要はない

 

 

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