電力会社別にわかるスマートメーター交換時の停電と設置後の対処法まとめ

電力自由化|スマートメーター交換時の停電

新電力会社と契約するために必要なスマートメーター。
長年使い慣れたものが新しいものに変わることで、なんとなく心配…という方も多いのではないでしょうか。

ソラサポに電力会社の切り替えを申し込まれる方の中では、特に停電の心配をされる方が多くいらっしゃいます。

停電の心配は、大きく分けて3つあるようです。

①スマートメーター交換時に停電や立会いが必要か?
②日常生活での停電と復旧方法が変わるか?
③電力会社を変えると停電が増えるか?

①切り替え時にはメーターの設置状況次第で5〜15分程度、停電することになります。
短時間の停電でも避けたい場合は、あらかじめ対処しておく必要があります。

②お住いの地域によっては、切り替え後に起きた「電気の使いすぎによる停電」への対処方法も変わってきます。

③増えません。

答えはすでに書いてしまいましたが、この記事では、切り替え時に停電や立会いが発生するのか、停電や立会いに備えて確認しておくべきポイント、切り替え後の停電に対してどうしたら良いのかを詳しくご紹介します。

最後まで読んでいただければ、ご心配のタネがひとつ解消されるはずです。ご家族やお勤め先で切り替えに関してご心配な方へのご説明にもお役に立てると思います。

※この記事は、各地域の電力会社のご家庭向けメニュー(アンペア契約制:60A以内、最低料金制:6kVA未満)で電気を利用している場合を想定しています。より多くの電気をご使用の場合は各電力会社へお問い合わせください。


1. 電力会社別にわかるスマートメーター交換時の停電情報リスト

この章では、スマートメーター交換時の停電や立会いの必要性があるかを電力会社別にまとめています。
※一般的な場合です。ご家庭のメーターの設置状況や電気の使用量によって異なります。

・電力会社別スマートメーター交換時に必要となる対応の一覧表

管轄の電力会社停電停電時間立会い
北海道電力しない設置状況次第不要
東北電力する10分〜20分程度不要
東京電力しない5分程度不要
中部電力する5分程度必要
北陸電力する15分程度不要
関西電力する20分程度案内用紙に記載
中国電力する10分〜20分程度不要
四国電力する5〜15分程度不要
九州電力しない30分程度不要
沖縄電力する10分程度不要

スマートメーターの手配は、新電力会社が取り付け費用0円(原則)で手配してくれます。
スマートメーターを設置することで、便利なウェブサービスが利用可能になる電力会社もあります。

一般的に停電しないという電力会社でも、メーターの設置状況によってできる場合とできない場合があります。
鍵を開けてもらわないとメーターの設置場所まで行けない場合などは立会いや事前の開錠が必要です。

また、電力会社所有のブレーカーを取り外すために屋内作業が必要となる場合があります。

※サービスブレーカーや契約ブレーカーと呼ばれます。30Aや50Aなど、電流のアンペア数で契約する場合に、契約以上の電流が流れないようにするためのブレーカーです。

停電や立会いが必要な場合は事前に連絡があります。
停電前に家電製品の電源を落としておく、復旧後にタイマーや時間設定の確認を行うといった対応が必要です。

電力会社ごとに、一般家庭でスマートメーターへ取替える場合の停電と立会いについてまとめました。

各電力会社に問い合わせた結果をご紹介します。

1-1. 北海道電力の場合

北海道電力 ロゴ

バイパスできない場合に停電が必要

北海道電力では、原則停電なしで切り替えが可能です。

なぜなら、メーター本体の取替え作業中にも電気が使えるように、バイパスとなる電線をつないで作業するためです。

ただし、次のような場合など、バイパスをつなぐことができない場所では停電が必要となります。

・使用している電線が太すぎてバイパス線を繋げない
・メーターボックスが小さすぎてスペースがない
・電線の余長が短すぎて届かない

立会いが必要かは事前に教えてくれる

メーターの取替え前に、事前確認を行うそうです。
事前確認の際に会うことができれば、その場で停電の有無や立会いが必要か教えてくれます。
会えなくても別途連絡がきます。

1-2. 東北電力の場合

東北電力 ロゴ

要望があって、バイパス可能なら停電なしでやる場合もある

東北電力では、原則として停電します
ただし、要望があってバイパスとなる電線をつなぐことが可能な場合は停電なしでの取替えを行なっています。

立会いは基本的に不要で、立ち会えない場合は停電なしでやる場合もある

停電しますが、基本的に立会い不要です。
ただし、停電によるトラブルを避けるためか、立会いがない場合は停電なしでやることもあるそうです。

1-3. 東京電力の場合

東京電力エナジーパートナー ロゴ

停電は不要も、確認先に注意

東京電力では原則バイパスとなる電線を繋げて工事するため、停電しません

東京電力は一足先に発電事業と送配電事業の法的分離(発電会社と送配電会社に分社化すること)しています。
事前に問い合わせる際は、送配電会社である「東京パワーグリッド」に問い合わせましょう。

原則立会いも不要

メーターの設置場所へ行くのに鍵がかかっているなど、立ち会ってもらわないと取り替える現場に行けないような状況でなければ立会いは不要です。

1-4. 中部電力の場合

中部電力 ロゴ

停電が必要、屋内作業もあることが多い

中部電力では、必ず停電し屋内作業が発生します

なぜなら、スマートメーターへの切り替え時に屋内の分電盤についているサービスブレーカーも取り外すためです。

立会いが必須

サービスブレーカー取り外しという屋内作業がありますので、立会いが必要です。

1-5. 北陸電力の場合

北陸電力 ロゴ

停電が必要、屋内作業をすることも

北陸電力では停電をともないます。
立会いができる場合、屋内のサービスブレーカーの取り外しもおこないます。

立会いは必須ではない

北陸電力の場合、立会いができない場合はサービスブレーカーの取り外しは行いません。
そのため、都合が合わなければ立ち会わなくてもよいです。

1-6. 関西電力の場合

関西電力 ロゴ

原則停電すると考えて欲しい

関西電力の場合、原則停電すると考えておきましょう。
契約内容や現場状況によって一概に言えないとの回答です。

立会いが必要かは案内の用紙で確認を

立会いが必要かどうか、案件によってバラバラで一概に言えません。
取替えの前にいつ頃行うのか、停電をともなうのか、立会いが必要か案内する用紙が投函されます。
新電力へ申し込んだ後や、10年毎の取替え時期が来た、という場合は案内用紙を見落とさないように注意しましょう。

1-7. 中国電力の場合

中国電力 ロゴ

中国電力では停電をともないます

チラシで周知はあっても、立会い不要

立会いは不要ですが、停電をともないます。
事前にいつ頃の作業となるか連絡がありますので、停電しても問題無いよう冷蔵庫の中を片付けておく等対応しておきましょう。

1-8. 四国電力の場合

四国電力 ロゴ

四国電力では停電をともないます

立会い不要だが、できるだけ立ち会って欲しい

四国電力としては出来るだけ立ち会って欲しい、という返答でした。
理由は、停電によるトラブルを避けるためです。

具体的には、パソコンの電源をつけっぱなしだった、熱帯魚が死んでしまったなどの思わぬトラブルです。

日中家にいないけど、トラブルが起きるような電化製品を使っていない、対策しておくことができる場合には、立会い必要なしと申し出れば立会い無しで作業してくれます。

1-9. 九州電力の場合

九州電力 ロゴ

バイパスできない場合に停電が必要

九州電力では、原則停電なしで切り替えが可能です。

なぜなら、メーター本体の取替え作業中にも電気が使えるように、バイパスとなる電線をつないで作業するためです。

ただし、次のような場合など、バイパスをつなぐことができない場所では停電が必要となります。

・使用している電線が太すぎてバイパス線を繋げない
・メーターボックスが小さすぎてスペースがない
・電線の余長が短すぎて届かない

立会いも不要

原則立会いも不要です
ただし、サービスブレーカー(契約ブレーカー)があって取り外す場合は立会いが必要となります。
ブレーカーを取り外す場合は原則停電もともないますのでご注意ください。

1-10. 沖縄電力の場合

沖縄電力 ロゴ

沖縄電力では停電をともないます

停電がトラブルにつながる場合は立会いを

ブレーカーの取り外しがありませんので、原則立会いは不要です。

ただし、小規模商店など停電がトラブルにつながる可能性がある場合は、立会いと共に作業前にブレーカーを切って停電状態にしてから作業を行います。


2. 停電や立会いに備える スマートメーター切替前に確認しておくべきポイント

この章では、スマートメーター交換に備えて確認しておくべきポイントと必要な対応をまとめています。

2-1. 分電盤にサービスブレーカー(契約ブレーカー)があるか、取り外しが必須か確認する

サービスブレーカーを取り外すかどうかで、立会いと屋内作業の有無が異なります。

サービスブレーカーとは、契約している電流よりも大きな電流が流れないようにするための「アンペアブレーカー」で、「契約ブレーカー」とも呼ばれます。

屋内の分電盤に、大きな文字で「○○A」という数字が書いてあるブレーカーがあるか確認してください。(下の画像参照)

分電盤とスマートメーター交換時に取り外すアンペアブレーカー

 

サービスブレーカーの取り外しが必須または取り外しを希望する場合は、立会いと屋内作業が必要です。

希望者だけ取り外すという場合は、どうしたいかを電力会社に伝えましょう。
立会いできるなら取り外すことをおすすめします。

確認する際に周囲を軽く片付けて清掃し、作業しやすくしておくのもお勧めです。

※関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力管内では原則ついていないため、基本的に屋内作業はありません。

アンペアブレーカーは可能であれば取り外してもらいましょう
スマートメーターへの切替後もアンペアブレーカーはつけたままで良い電力会社管内でも、3つの理由から取り外すことをお勧めします。

  1. 停電時にアンペアブレーカーまで落ちたら、スマートメーター側で復旧しても屋内の電気が復旧しない
  2. 契約している電流値を大きくすることになったら、結局停電と屋内作業が必要になる
  3. いつか故障する部品が1つ残ることになる

ただし、契約容量や、設置場所の都合上や法律上の問題でスマートメーターの一部機能が使えない場合など、取り外せない場合もあります。管轄の電力会社にご確認ください。

2-2. 停電したら困るものがないか確認する

あなたのお家の電化製品を、2つのグループに分けましょう。

使っている最中に停電しても、短時間なら大丈夫なもの
使っている最中に少しでも停電したら困るもの

停電すると困るものの具体例

②のグループで、特に注意したいのは、医療機器やアクアリウム、ペットのためのクーラーやヒーターなど生命に関するものです。

また、パソコンのサーバーなど、24時間電気を使っていて電源を落とせない場合もあります。

短時間の停電も駄目なものがあるなら、余裕を持って1時間程度は持つ予備電源を用意する、バイパスして停電しないように工事できないか電力会社へ相談するといった準備が必要です。

予備電源を用意する場合も、電力会社へ事情を説明して停電時間ができるだけ短く済むようにしてもらいましょう。

サーバーの停止や再起動、アクアリウムの温度調整などは、万が一のトラブル時に所有者以外対応できません。必ず、所有者本人が立ち会える日に変更してもらいましょう。

2-3. 停電・立会いの日時を確認する

スマートメーターへの切替前に、案内状などで作業日時や立会いの要・不要などについての連絡が届きます。

日時を確認して、必要に応じて再調整してもらいましょう。


3. スマートメーター設置後に電気の使いすぎで停電した場合の復旧対応

この章では、スマートメーター設置後に電気の使いすぎで起きる停電の復旧方法と注意点をまとめています。

3-1. 電力会社別にわかるスマートメーター設置後の使いすぎによる停電と復旧方法

電気を使い過ぎて停電した場合の復旧方法が変わります。

今まで、電気の使い過ぎを管理していたのは、サービスブレーカーでした。
停電になると、懐中電灯を持ってブレーカーを上げに行った経験がどなたもあるのではないでしょうか。

今後は、スマートメーターが管理します。
スマートメーターの場合、電気を使い過ぎて停電すると、10秒〜1分程度で自動的に復旧するようになります。
※各部屋などにつながる子ブレーカーが落ちた場合はこれまで通り手動で復旧します。

ただし、短時間で複数回停電を繰り返すと、安全のため自動復旧しなくなります
漏電や故障の可能性があると判断して、事故や火災を防ぐためです。

自動復旧しなくなってしまったら、電力会社に連絡して復旧してもらう必要があります。
そのため、停電を繰り返す前に一部の照明を消すなどすぐに対処しましょう。

電力会社ごとに、スマートメーターに切り替えた一般家庭で電気を使いすぎた場合に起きる停電について問い合わせました。
自動復旧にかかる時間と、自動復旧しなくなる条件をまとめました。

管轄の電力会社復旧にかかる時間自動復旧しなくなる条件
何分以内に何回停電するか
北海道電力15秒60分8回
東北電力10秒30分10回
東京電力10秒30分10回
中部電力10秒30分10回
北陸電力1分程度10分4回または3回
関西電力スマートメーターで停電させることはない※
中国電力スマートメーターで停電させることはない※
四国電力スマートメーターで停電させることはない※
九州電力10秒不明10回
沖縄電力スマートメーターで停電させることはない※

※関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力はアンペア数(A数)制限での契約ではない、アンペアブレーカーの所有権が顧客側にあるなどの理由でスマートメーター側では管理しません。ご家庭側のアンペアブレーカーが落ちた場合は、アナログメーターの時と同じように自分で復旧する必要があります。

※サービスブレーカーを取り外さなかった場合、スマートメーターだけでなくサービスブレーカーも作動する可能性があります。サービスブレーカーが作動した場合は、手動で戻す必要がありますのでご注意ください。

3-2. 短時間の停電を繰り返すなら、電気の使用を減らしましょう

どの電力会社も短時間で停電から自動で復旧します。

あなたがその場にいれば、停電したとわかる程度の停電時間です。
その一方で、多くても10回目の停電でロックがかかってしまいます。あまり猶予はありません。

復旧時に自動で再起動しない電化製品もあり、ロックがかかることはあまり無いそうですが、短い停電が起きたら一部照明を消すなど電気の使用量を減らしたほうが安全です。

3-3. ロックがかかってしまうと、すぐに復旧できない場合も

ロックがかかってしまった場合、電力会社に連絡してロックを外してもらうことになります。

スマートメーターは通信機能付きなので、遠隔操作で解除できることもあります。
その場合は、すぐ復旧されますが、もしも遠隔操作で解除できない場合は作業員が現場まで来ることになります。

遠隔操作で解除可能かどうかは、どの電力会社でも実際に作業してみないとわかりません。
すぐ復旧するだろうと思っていたら、思ったよりも時間がかかって冷蔵庫の中身が全滅してた…となっては残念です。

ロックがかかることのないように、短い停電が起きたら一部照明を消すなど電気の使用量を減らすようにしましょう。

 


まとめ

原則として停電がない、立会い不要という電力会社でも、メーターの設置状況によって停電したり立会いが必要な場合があります。
取替え前には電力会社からチラシなどで案内がありますので、見落とさないようにしましょう。

北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、九州電力の管内では、電気の使いすぎを管理するブレーカーがスマートメーター内蔵になります。自動復旧で便利になる反面、ロックがかかってしまうと何時間も電気を使えなくなる可能性があります。

そうそうあることではありませんが、短い停電が起きたら一部の照明を消す等電気の使用量に注意しましょう。
何回も繰り返すようでしたら、契約容量そのものを見直しましょう。