発電量回復!ソーラーパネル清掃で得する人損する人

発電量回復!ソーラーパネル清掃で得する人・損する人

太陽光発電を見に行ったら鳥のフンがビッシリ…
パネルは砂埃がたまっている…

あなたもこんな経験はありませんか?

太陽光パネルにびっしりとついた鳥のフン

汚れたパネルの1枚や2枚なら、自分でも拭き取れそうですよね。

では、10枚20枚30枚ならどうでしょうか?
…大変な作業になりますよね。
高いところにあるパネルは、手が届きませんしハシゴを架けるにしても足場が不安定で危険です。

太陽光発電の清掃はカンタンそうに見えますが、実は注意点がたくさんあります。

今回は、太陽光発電オーナーが知っていれば得をして知らなければ損をする、《清掃方法の種類》《ベストな時期》《汚れの種類》《パネル以外にも清掃すべきところ》《費用の負担をグッと軽くする方法》をお話しをします。


1. 間違いだらけ!やってはいけない清掃方法ワースト3

太陽光パネル清掃のNG行動

まずは、太陽光発電のプロの目線でこれだけはやらないで欲しい清掃方法をご紹介します。

NG(1)雑巾ゴシゴシ

太陽光パネルの表面は透明度の高い強化ガラスです。
雑巾でこすれば、曇ってしまう場合があります。
また、雑巾とガラスの間に砂粒があればキズがつきます。
損です。やめましょう。

NG(2)水道水をそのまま使う

水道水だけで洗浄するのはいけません。
カルキ成分が付着します。
水垢もついて取れなくなります。
川の水もNGです。
工業用純水が理想ですが、費用がかかり過ぎるのでオススメしません。
パネル洗浄専用洗剤を水道水で希釈して洗い、スクイジー(車のワイパーのようなもの)で水切りをするのが一番です。

NG(3)高圧洗浄機で高水圧の水を直接吹き付ける

高圧洗浄機が悪いわけではありませんので誤解しないようお願いします。
水を高圧で直接吹き付けてはいけません。
TVの通販番組で、壁の落書きやタイヤの汚れを高圧の水で落としている映像をご覧になったことはありませんか?
あの感じで洗ってはいけないということです。
見た目には、問題がなくても、パネルのセルが割れたり(マイクロクラック)、フレームと強化ガラスの隙間から浸水する事例があります。
もちろん故障につながります。メーカー保証対象外となるケースもありますのでご注意ください。


2. 太陽光パネル洗浄 主な方法はこの3つ

やってはいけない太陽光パネル清掃がお分かりいただけましたので、次は一般的な方法を3つご紹介します。
いずれの場合も、水を使いますが、水垢やカルキ跡が残らないように、専用洗剤を使用することがポイントです。

2-1. マイクロファイバー(手作業)

ガラス用の柔らかなモップと水切り(スクイジー)を使用して、人の手で1枚1枚清掃していく方法です。

マイクロファイバーモップでの手作業は、10kW未満の住宅用太陽光発電から50kW規模の低圧産業用太陽光発電にオススメです。大きな発電所には人件費が増えて、割高になるのでおすすめしません。

動画がありますのでご参考になさってください。

 

マイクロファイバーモップの写真

メリット

・小回りが利く。少ない枚数でも問題なく清掃が可能!
・狭い場所でも可能!道具を持ち込めるスペースがあればOK!
・手作業なのでピンポイントの洗浄が可能!

デメリット

・パネル枚数が多いと時間と費用が割高に…。
・モップの柄が長い(洗うパネルが遠い)と力が入りにくい。

2-2. 洗浄機器による清掃

高圧洗浄機の水圧でブラシを回転させて清掃する方法です。
洗浄水が高圧で噴出されるわけではありません。
大規模なものだと、重機に巨大なブラシをつけます。小規模なものでは、女性でも十分持てる重さです。

動画がありますのでご参考になさってください。

高圧洗浄機でパネルを洗う様子

メリット

・手作業よりもはやく、質の高い清掃が可能!
・ホースの届く範囲であれば清掃可能!

デメリット

・洗浄機本体(エンジン部分)の移動が必要
・水源がない場所では、タンクやタンク車を手配する必要がある…。
・機材も高価で、セッティングまでの時間もかかる。

2-3. 清掃ロボットによる洗浄

清掃ロボットは現在各社が開発を進めており、汚れに応じてブラシを交換できるものや、お掃除ロボのルンバのようにガイドレール無しでもパネル上を自走できるものが登場してきています。

メリット
・清掃の速度と人がいなくても掃除できる
・レール不要な自走式のものであれば、人の手が届かない場所でも清掃できます。

デメリット
・作業可能な場所が限られます。 
・製品ごとに、使用可能条件の制約が非常にたくさんある。
・最も機材が高価。


3. 太陽光パネル清掃の頻度とベストタイミングは?

パネル清掃のタイミング

太陽光発電所の大きさや設置の方法によって、適した清掃方法があるのはお分りいただけたでしょうか。
次は、コストパフォーマンスの良い時期についてお話しします。
適した時期、あまり適さない時期があります。
3つだけ覚えておいてください。

3-1. 春先をオススメしない理由

春先をオススメしないのは、黄砂が理由です。
岐阜県、三重県、愛知県の東海地方で言えば、黄砂の激しい春先は清掃してもすぐに汚れてしまいます。
お金をかけてせっかく綺麗にしても、1日も待たずに汚くなっては損です。
このように明確に汚れやすい時期が過ぎてからの清掃がおすすめです。

3-2. 梅雨明けをオススメする理由

梅雨時、秋雨の時期など雨の多い時期は、汚れても雨が少しずつ汚れを洗い流してくれます。
反対に、梅雨明け後の熱く、雨の少ない時期は汚れがこびりつきやすくなります。
比較的雨の少ない、気温の高い時期に一度清掃すると良いでしょう。

3-3. 足場があるとき(傾斜屋根に設置したパネルの場合)

傾斜がある屋根に設置されたパネルを清掃するときは、高い割合で足場が必要になります。
そして、この足場の代金が結構高いのです。
そのため、外壁塗装や屋根塗装など、足場を設置するタイミングでパネル清掃をすると足場代が浮くので経済的です。
逆に、屋根や壁を塗り替えてから10年以上経っている場合は、パネル清掃のついでに屋根塗装や外壁塗装を検討するのもひとつの方法です。


4. パネル清掃で落ちない汚れもある

太陽光パネルについた汚れが落ちていないじゃないか!

これではがっかりしてしまいますよね。
実は、汚れの種類もいろいろです。

・どの方法で洗っても落ちない汚れ
・無理に落とすとガラス面を傷つけてしまう汚れ
・落とす必要の無い汚れ

残念ですが、これからご紹介する汚れは落とすことが難しいものです。

4-1. 鳥のフンの跡

パネルに付着した鳥の糞の写真

このような場合は、太陽光パネルの強化ガラスの表面が侵食されている可能性があります。

・鳥のフンは洗い落としたのに、跡が残っている
・ガラス表面の反射がそこだけ違うという場合

洗い終わってパネルがぬれている間は、綺麗に見えるので汚れが落ちたように見えます。
しかし、乾燥すると清掃前と同じような模様が出てきます。

無理やり取ろうとしてガラスの表面をこすってしまうと、表面の反射防止膜がはがれてしまう可能性もあります。
鳥のフンが固着してから長い時間が経過するとこのような症状になることが多いです。
メーカーとしては発電量やガラスの強度に問題はないという立場です。
メーカー保証の対象となる範囲で発電量が低下した場合は交換できるかメーカーに確認しましょう。

4-2. ガラス面に固着した汚れ

太陽光パネルに固着した汚れの写真

野焼きの灰、跳ねたセメントや塗料などです。
ガラス表面を傷つけないようにやわらかい素材で清掃する以上、ガラスに強くくっついてしまった汚れは落とせません。
パネルの端についている、染み込んでしまったかのような汚れや、野焼き等の灰が焼きついたもの等も同じです。
こんな場合は、お気をつけください。全て実例です。
・近所で野焼きをする人がいる
・屋根設置の場合は、屋根を塗り替えるとき(ペンキ跳ね)
・地面設置の場合は、コンクリ基礎を作るとき(セメント跳ね)

4-3. 落とす必要のない汚れ

太陽光パネルの落とす必要がない汚れの写真

ソーラーパネルの受光面以外は汚れていても発電量に関係ありません。
また、別の道具が必要となるため、コストが余計にかかります。
そのため、パネルフレーム横や架台の汚れは、発電量の改善を目的とする清掃ではオススメしません。
汚れが気持ち悪いのはよくわかります。追加で発生する費用と天秤にかけて、よく考えましょう。
ただし、架台の素材によってはサビが発生することがあります。
架台の汚れは発電量に関係ありませんが、サビて崩れたら大変ですので、サビに気付いたら再塗装等補修をおすすめします。

太陽光発電 標識 販売

5. 太陽光パネル以外で清掃が必要なところは?

太陽光発電所には、太陽光パネルの他にも定期的に清掃したほうが良い場所があります。
・パワコンの内部
・ファンフィルター
・接続箱
・集電箱

フタが閉めてあっても、わずかな隙間から少しずつホコリが溜まります。
これらの機械、器具の内側には端子台があるため、ホコリが溜まってしまうと発火の危険が出てきます。
そのため、定期的にエアダスター等で清掃してもらえると良いです。
ただ、前述の通り端子台がありますし間違って触ってしまうと感電する危険があります。
必ず、専門家にまかせて安心・確実に清掃してもらいましょう。

低圧でも太陽光発電のメンテナンスが義務化されました

2017年の改正FIT法で、太陽光発電のメンテナンス(保守点検、保安点検)が義務化されました。
50kW未満の太陽光発電でも、定期的にメンテナンスを実施する必要があります。

住宅用太陽光発電で義務化されたメンテナンスの項目や頻度、費用などを次の記事で確認しましょう。

家庭用太陽光発電に必要なメンテナンス|義務化の点検項目・費用・回数


6. パネル洗浄で経費計上

お金の写真

発電量回復のためのパネル洗浄ですが、発電量の回復以外にも効果のある点があります。
必要経費として計上できることです。
経費計上すると税金が少なくなり、結果的に割安に洗浄できます。
最近、この理由でメンテナンスのご依頼を頂くことも多くあります。

メンテナンスと経費の関係についてはこちらの記事をご確認ください

太陽光発電とメンテナンス経費 賢いオーナーが知っている一覧表【税理士監修】

 


まとめ 一番大事なのは【費用対効果】

ソーラーパネルの清掃は発電量の回復に繋がります。
しかし、忘れていけないのは費用対効果です。

パネル清掃で、得られるものは次の3つです。
1.発電量の回復  
2.故障発生リスクの軽減  
3.綺麗になった満足感

この3つを足したものと、パネル清掃の費用を比べてください。清掃費用の方に大きく傾いては意味がありませんよね。
愛車をピカピカにするのとは、目的が異なるのです。
また、時期や環境によっては清掃直後にまた汚れてしまいます。
清掃するタイミングを考え、あわせて鳥や飛来物対策を取る必要があります。
実際にパネル清掃のご依頼を頂戴したお客様からは、喜びの声をたくさん頂いております。
メーカー推奨の方法や、禁止されている方法を清掃業者が把握しているかよく確認した上で、割ける予算を考えて検討してください。