あなたの太陽光発電は大丈夫?遠隔監視装置でできることできないこと

あなたの太陽光発電所は大丈夫?遠隔監視でできること、できないこと

ー電力会社からの明細書を見たら、売電額が思ったよりも低い。
そう言えば先月は台風が多かったなぁ…そこから慌てて発電所を見に行ったらブレーカーが落ちていた。ー

一体、何日間の売電ロスがあったでしょうか。
20年間こんなことを繰り返していては、発電所の計画が大きく狂ってしまいますよね。
そこで強い味方となってくれるのが発電量の監視装置です。
今回は遠隔監視装置でどんなことができるのか、何ができないのかご紹介します。
必要最低限の機能か、多機能なものか、あなたに合った監視装置を選びましょう。


1.発電量遠隔監視装置の種類

発電量の監視装置と一口に言っても、製品によって計測の仕方に違いがあります。
測定方法(監視方法)は主に次の2種類に分かれます。

①電流値を測定するタイプ
②パワコンや接続箱から情報を取得するタイプ
それでは、種類によってどのような機能差があるのでしょうか?一覧表にまとめましたのでご覧ください。

①電流値を測定②パワコン等から情報を取得
発電量監視の細かさセンサー単位で計測パワコンまたは回路ごとに計測
対応パワコンメーカー不問メーカー、通信方法の確認が必要
パワコンが停止したかの確認×
パワコンのエラーコード確認×
アラート発信
価格安価高価

なお、パワコン(PCS、パワーコンディショナー)等から情報を得るタイプの装置は製品によって機能が異なりますのでご注意ください。
安価に様々なパワコンを監視できるが、発電量以外はわからないのが電流値を測定するタイプ。
細かく監視できるが比較的高価となるのがパワコン等から情報を取得するタイプと考えてください。

1-1. 電流値を測定するタイプ

エコめがねの発電測定方法
エコめがねの設置事例

電流値を測定するもので代表的なのは、なんと言っても『エコめがね(NTTスマイルエナジー)』と『発電見張り番(未来工業)』でしょう。
こちらの方式では、CTセンサーという測定器を電線に取り付けて、電線に流れている電流を計測します。
メリット》センサーが対応できる容量であれば、どのパワコンメーカーでも設置可能です。
設置、設定もシンプルで機材としても比較的安価なため、導入費用を抑えられます。
ソラサポのお客様でも8割以上の方がエコめがねを選ばれます。

デメリット》パワコン1台ごとのエラーは監視できません。
また、1台のセンサーで2~3台のパワコンを監視する場合、パワコンが1台壊れてもわかりません。
発電量が下がっても、パワコンが壊れたのか天気が悪かったのか他に原因があるのか、現地を確認しないとわかりません。
あくまで「安価に発電量を監視」するものです。

1-2. パワコン等から情報を得るタイプ

みえるーぷの発電測定方法
《画像》みえるーぷの設置事例

パワコン等から情報を得るタイプで代表的には、『みえるーぷ(LOOOP)』が挙げられます。
 通信機能が付いているパワコンや接続箱と有線または無線通信して情報を得るタイプです。
メリット得られる情報が豊富です。
例えば、パワコン1台ずつにつなぎこんでいるパネルの回路ごとの発電量の監視や、エラーコードも確認できます。
メンテナンスには非常に役に立つ機能です。
オプションで日射量計や気温計を取り付けて、発電量、日射量、気温をまとめて表示できる機能がついている製品もあります。
デメリット電流値を測定するタイプと比べて導入費用が割高です。
また、設置にはパワコンや接続箱のメーカーが限られます。
製品によっては、パワコンあるいは接続箱とセットでのみ販売されており他メーカーでは設置ができません。


2.遠隔発電監視装置 3つの基本機能

発電監視装置の3つの基本機能1.発電量遠隔監視装置の種類」でご紹介した電流値を測定するタイプの製品とパワコン等から情報を取得するタイプの製品も、様々なメーカーから販売されておりますが、主な機能は次の3つです。
2-1.発電量の表示機能
2-2.発電量の記録と保存機能
2-3.アラート通知(監視)機能
それでは、具体的にそれぞれの機能を見ていきましょう。

 

2-1. 発電量の表示機能 

エコめがねの発電グラフ時・日・月といった一定期間の発電量を表示できます。
電流値を測定するタイプではセンサー1台ごとの発電量を測定します。
パワコン等から情報を得るタイプでは、パワコン単位からストリング(1回路)単位の発電量を表示できます。
より細かい単位での発電量を確認できた方が、異常がどこにあるのか判断しやすくなります。

2-2. 発電量の記録・保存機能 

みえるーぷの発電グラフ過去の発電量を記録・保存してくれます。
測定方法ではなく、クラウドサービスが含まれるか否かによって保存される期間の長さが異なります。 
この機能は、万が一保険で修理する事態となった場合や、発電所を誰か売却する場合に、発電量の客観的な資料として必要となってきます。
「いつ発電が停止したか」「いつまで停止していたか」「いつ復旧したか」「どれぐらいの発電量があったのか」を証明してくれますので、非常に便利な機能です。

2-3. アラート通知(監視)機能 

太陽光発電所のアラート通知メール発電所が停止した時などに、メールで教えてくれる機能です。
電流値を測定するタイプでは、任意で設定した値よりも発電量が下がった時に通知が来ます。
パワコン等から情報を得るタイプではエラーが出た時に異常発生として通知してくれます。
この機能によって、知らぬが仏の状態を回避でき、速やかに対応することが可能となります。


3. 遠隔監視装置でできないこと、弱点

発電監視装置のできないことと弱点発電量の遠隔監視装置は、異常事態の早期発見から復旧後の保険申請まで活躍してくれます。
しかし、監視装置はあくまで監視装置。
できないことや性質を理解していないと、思わぬ落とし穴があります。
それでは、見落としがちな弱点を確認していきましょう。

 

 

3-1. 故障箇所・原因の特定はできない

 電流値を測定するタイプは、ブレーカーと売電メーターの間に流れる電流を測定しています。
つまり、「天候が悪くて発電量が下がった」のか「故障して発電量が下がった」のかすぐには区別がつきません。
そのため、アラートメールが届いた=故障したとは断言できず、現地で確認するか数日発電量の変化を見る必要があります。

 パワコン等から情報を得るタイプでは故障か故障ではないかがある程度わかります。
しかし、ブレーカーが作動して停止した場合はやはり故障と区別がつきません。
また、どこが壊れたか、何が原因かまではわかりません。

いずれにしても、あるべき状態ではないことを知るためのキッカケに使う装置です。

3-2. 監視装置が故障・停止する場合もある

太陽光発電設備が落雷で壊れることがあるのと同様に、監視装置も壊れる可能性はあります。
監視装置につながるブレーカーが落ちたけど、発電所には特に問題がなかったという場合もあります。

3-3. 修理・復旧は人間の仕事

アラートや発電量で発電所の故障や停止を知らせてくれますが、修理や復旧には実際に現場へ行く必要があります。
多くの発電遠隔監視装置は、メールでアラートを通知する仕組みですのでメールの確認も必要です。

3-4. ランニングコスト(電気代や通信費)が発生する

監視装置も電気で動きます。また、インターネットで発電量などの情報を送ります。
そのため、電気代や通信費が必要です。
クラウドサービス利用料が別途かかるものもあります。
通信費とクラウドサービス利用料については、10年分セットになっているもの、クラウドサービス利用料と通信費を合わせて毎月支払うもの、インターネット環境を別途自分で用意しなければならないものといろんなパターンがあるため、監視装置の金額だけで判断出来ません。
必ず別途費用が必要か確認してください。


4. 遠隔監視装置って必要?

遠隔監視装置の導入で悩む人結論から書きます。
残りの売電期間中に取りこぼす売電収入 < 遠隔監視装置の導入費用+維持費用
この式が当てはまる場合は、遠隔発電監視装置を導入されることをおすすめします。
そして、20kW以上の太陽光発電設備のほとんどの方がこれに当てはまるはずです。
(※遠隔監視装置はもちろん適正価格で購入してください。異常に高額で販売している業者もあります。)

4-1. 太陽光発電オーナーに不都合な2つの事実

2.遠隔発電監視装置3つの基本機能」で、3つの基本機能をご紹介しました。

発電量の監視装置を設置して、売電量が増えることはありません。
しかし、発電量の監視をしないと、問題に気付かず売電量が減ることはあります。

ここで客観的な次の2つの事実を考えてみてください。

①太陽光発電は、壊れにくいが機械である以上いずれ壊れる。(内部要因)
②太陽光発電は、外部要因で発生する過電流や熱上昇で安全装置が働いて停止することがある。
 太陽光発電は、外部要因で停止する場合がある(盗難、いたずら)

これらの事実は、産業用太陽光発電におけるソラサポの経験に基づいたものです。
軽微なものも含めて、総出動回数/発電所の総基数が約25%です。
4基に1基という割合ではありません。天候などの要因で同一箇所で何度も発生すこともあるためです。

また、固定価格買取制度(10年間、20年間)による長期事業ですので、内部環境と外部環境が設置当時のままとは限らないでしょう。

4-2. ケーススタディ

太陽光発電のあるべき状態と問題点仮に、一年前の同じ月と比べると発電量が10%少ない売電明細書が届いたとします。

この太陽光発電システムは正常に稼働しているのでしょうか?

発電量が減るケースは様々ですが、よくある原因を3つ挙げます。

(1)日照量が昨年より10%少なかった。
(2)日照量は昨年と同じだが、設備の10%に故障があった。
(3)日照量は昨年と同じだが、検針日の3日前に設備全体が停止していた。

売電収入としては同じでも、その過程によって意味合いは大きく異なります。
(3)のケースは、翌月の電力明細書を見て真っ青になるのではないでしょうか。
お手元の電力明細にあるべき発電量が書かれていると言い切れますか?
シミュレーションより10%多く発電していても
設備が万全なら本当は15%多く発電しているかもしれないのです。

太陽光発電 標識 販売

まとめ

いかがでしたでしょうか?
遠隔監視装置は太陽光発電所に異常がないかどうか、人の代わりに常時確認してくれるものです。
発電遠隔監視装置は、パネル容量1~2kW程の金額です。冷静に考えればパネルを増やすよりも、優先して予算を割くべき装置です。
何かあった時は対応する必要がありますが、発電所の故障や停止を見落とさないことによって、売電のロスを防ぐことができます。
是非、ご予算と必要な機能をしっかり検討して、欲しい機能にあわせて最適な遠隔監視装置を選びましょう。