事業計画策定ガイドライン|太陽光オーナーが知っておくべき変更点まとめ・2018年版

最終更新日:2018年2月22日

2018年2月19日に、太陽光発電の事業計画策定ガイドライン改正のためにパブリックコメントが募集開始されました。

今回の改正は、再生可能エネルギー発電事業の適正化やFIT制度運用の在り方に関する議論の成果や決定事項を反映させるためのものです。

この記事では、改正案について次の2つを説明します。

・改正案の主な変更点
・設置者が受ける影響

パブリックコメント後に多少の修正が加わる可能性はありますが、基本的な変更点は維持される可能性が高いです。

前回のパブコメ募集時は結果公表から1ヶ月で施行となりました。

本決定(3月下旬頃)となったら、本記事を更新して確定した内容をご紹介します。
早めに内容を把握しておきましょう。

 


1. 主な変更点は4つ

今回の事業計画策定ガイドラインの改正は元号表記から西暦表記への変更や、記載順の変更など細かいものを含めると多数ありますが、主な変更点は4つです。

 

1-1. ガイドラインの努力義務に違反したときも罰則の対象にできるようになった

もともと、事業策定ガイドラインで遵守しなければならないルールに違反した場合は、次の3つに規定される措置が講じられます。

FIT法12条(指導・助言)
FIT法13条(改善命令)
FIT法15条(認定の取り消し)

最悪の場合「認定の取り消し」となるので、その設備での発電事業ができなくなります。

これに以下の文言が加えられました。

なお、努力義務として記載されているものについても、それを怠っていると認められる場合には、FIT法第12条(指導・助言)等の対象となる可能性がある。

(事業計画策定ガイドライン改正案より引用)

 

1-2. 売電価格が変更となる出力の変更が追記された

次の場合も売電価格が変更となることが追記されました。

・認定時から太陽光パネルを3kW以上もしくは3%以上の増加または20%以上減少させる場合

こちらは、2017年8月31日から施行された省令の改正ですでに実施されている内容です。
ガイドラインにも明記されました。

以下のような出力の変更を行った場合には、その変更の認定を受けた時点における調達価格が適用されることになる。(中略)太陽電池の合計出力の3kW 以上若しくは3%以上の増加又は 20%以上の減少(運転開始前・後問わず)(ただし、電力会社の接続検討の結果に基づく運転開始前の変更を除く。)

(事業計画策定ガイドライン改正案より引用)

 

1-3. 運転開始期限を超過した場合の罰則が明記された

10kW未満の太陽光発電設備では、認定から1年以内に運転開始しないと認定が失効します。
10kW以上の太陽光発電設備では、認定から3年以内に運転開始しないと月単位で売電期間が短縮されます。

⑤について、10kW 以上の太陽光発電設備であって、認定を取得した日から3年の運転開始期限内に運転を開始できない場合には、期限を超過した分だけ月単位で調達期間が短縮することに留意が必要である。また、10kW未満の太陽光発電設備は、1年の運転開始期限内に運転を開始できない場合には、認定が失効することに留意が必要である。

(事業計画策定ガイドライン改正案より引用)

 

1-4. 撤去費用の積立を計画することが求められる

事業計画策定ガイドラインでは、「処理業者などの見積もり」「設置費用の5%以上」を目安として、撤去及び処分の費用を想定して置くよう求めていました。

今回の改正案では次の一言が加えられました。

費用を想定した上で「積立を行い、その開始と終期、想定積立金額と毎月の積立金額を明らかにして」事業計画を策定すること。

(事業計画策定ガイドライン改正案より引用)

また、事業終了時に撤去及び処分費用を確実に確保するためには、撤去及び処分費用の負担を分散させるために、計画的に積み立てることが求められる。そのため、その積立の開始と終期、その想定積立金 額と毎月の積立金額を明らかにしたうえで事業計画を策定する必要があ る。なお、撤去及び処分費用の積立に際しては、資産除去債務に該当し、 会計上の費用算入が認められる場合があるため、公認会計士等へ相談する ことが有益である。

(事業計画策定ガイドライン改正案より引用)

1-5. その他の細かな改正

その他の細かな改正で、野立て太陽光発電で義務付けられている標識の運転開始日が元号表記から西暦表記に変わりました。

これから標識をつける方は注意しましょう。

太陽光発電の標識(看板)設置の完全ガイド|ルール・書き方・選び方

 


2. 改正が実施された時の影響

4つの変更点ごとに、この文言のまま改正が成立した場合どのような影響があるかご紹介します。

2-1. 周辺住民や環境への配慮と、自治体との調整がより重要になる

努力義務にあたる「努める」という表現は、事業計画策定ガイドライン中に49回出てきます。そのいずれかを怠ると、指導・助言を受ける可能性があります。

努力義務は大別すると次の3つにまとめられます。

「周辺住民と環境への配慮」
「安全に配慮した設計・施行・運営」
「設計から撤去・廃棄までの事業の運営管理」

特に周辺住民と環境への配慮に気をつけましょう。条例や法令の確認と合わせて自治体と調整を行うのが有効です。

 

2-2. パネル出力の変更は既に実施済みなので、新しい影響はない

2017年8月31日に公布・施行されたFIT法施行規則・告示改正で既に施行された内容です。

新たな規制をかけるものではないので、新しい影響はありません。

施行規則の告示改正を詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

増設と過積載の新ルール|5分でわかる省令改正の規制・変更点まとめ

 

2-3. 運転開始期限の罰則は既に実施済みなので、新しい影響はない

運転開始期限の付与は既に実施されています。
これから申請する人、認定取得済みでこれから設置する人に新しい影響はありません。

販売業者にとっては、罰則について明文化された資料がありませんでしたので、説明がしやすくなりました。

 

2-4. 認定申請時に申請する撤去費用の記入項目が増える可能性がある

事業計画策定ガイドライン改正前の2018年2月時点では、事業計画認定申請時に撤去及び処分の費用の総額を記載するようになっています。
改正後は総額だけでなく、毎月の積立額と積立を行う時期まで記載することになりそうです。

認定申請手続きについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

太陽光の新規事業計画認定の申請方法が図解でわかる完全マニュアル 2017年版


3. 事業計画策定ガイドラインのおさらい

太陽光発電の事業計画策定ガイドラインとは、太陽光発電設備のオーナー(発電事業者)が遵守しなければならないルールや考え方を記載したものです。

原文は資源エネルギー庁ホームページ「なっとく再生可能エネルギー」で公開されています。

 

3-1. ガイドラインの内容

事業計画策定ガイドラインには、FIT法とFIT法の施行規則に基づいて遵守しなければならない事項と法律の目的や趣旨に沿った適正な事業実施のために推奨される事項が記載されています。

固定価格買取制度を利用して売電する太陽光発電事業者全員に適用されます。

ガイドラインで遵守事項となっているものに違反すると、法律に基づいて指導や改善命令、認定の取り消しといった罰則が課せられます。

広く知られている遵守事項は、メンテナンスやフェンスの設置、標識の掲示などです。

 


まとめ

今回の事業計画策定ガイドライン改正案でもっとも影響がありそうな項目は、努力義務違反に対しても指導・助言できるようにしたことです。

運転開始している太陽光発電でも、運営上の努力義務を満たしていないと判断されれば指導・助言を受ける可能性があります。

パブリックコメントの受付は2018年3月17日までです。
締切後、結果を公開してから施行となります。

パブリックコメント後に本決定(3月下旬頃)となりましたら、本記事で改めて内容を解説します。ぜひご覧ください。