野立て太陽光発電の雪下ろしをやってはいけない5つの理由

【いのちだいじに】野立て太陽光発電の雪下ろしをやってはいけない5つの理由

積雪で売電収入が減るのが心配…!? いやいや、絶対やめてください!

大雪警報のニュースが流れると、積雪で売電収入が減ってしまうことをご心配されている方も多いのではないでしょうか?
あなたのお考えのとおり、パネルの上に雪が積もっている間は、発電量は大幅に減少します。
特に目の届かない少し遠方にある太陽光発電所が心配になりますよね。
一刻も早く取り除いて、発電開始してほしい…!と思われるかもしれません。

太陽光パネルの雪下ろしは非常に危険です。

もし、あなたが、太陽光パネルの雪下ろしの方法を調べてこのページにたどり着いたなら
この記事をよく読み、雪おろしに出かけるのを諦めて欲しいと思います。
太陽光発電は、多くの人にとって収入を増やすことが目的です。
発電量を回復したいお気持ちも良くわかります。
しかし、その大前提となる「安心」と「安全」を施主であるあなたが忘れてはいけません。


1. 雪下ろしが危険な5つの理由

1-1. とにかく滑る、転ぶ、痛い。

雪下ろしが危険な理由

あなたの想像以上に、足元が滑ります。
太陽光発電所内は、凍結した地面や、 雑草、防草シートに生えた苔(コケ)等で足元が滑ります。
特に、パネルとパネルの間の通路はパネルの陰によって冬場は日当たりが非常に悪くなるのでよく苔が生えます。
他にも、埋設されていないケーブルにつまづくことがあります。
積雪によって、普段は露出している危険性が隠されてしまいます。
滑って体勢を崩された際に、パネルを載せている架台の角に頭をぶつけて怪我をされる方も大勢います。

1-2. 架台が崩れる!?

自然災害による太陽光発電所の倒壊

コスト競争により安さを重視するあまり、積雪の荷重に耐えれない架台設計になっている場合があります。
これは国産・海外製問わず起こりうる危険性があります。
また、設計ミス施工ミスにより本来あるはずの強度に満たしていない場合もあります。

1-3. そもそも発電所に辿り着けない…

自宅から離れた場所に発電所をお持ちの方は、車で移動されるかと思います。
交通量が少ない場所に太陽光発電を設置した場合、周辺の道路の雪は残ったまま…ということもあります。
また、雪道の運転には不慣れなドライバーから、「貰い事故」ということもあります。

設置されている地域周辺の情報をインターネットで調べることも可能です。
設置場所で雪が降り続けているならば雪下ろしにいっても、あまり意味がありませんよね。

ツイッター で調べる:キーワード検索欄に「地域名+雪」等と入れて検索してみましょう。
ウェザーニュース で調べる:設置場所のリアルタイムのレポートを見ることができます。地点をクリックすると、その地点と投稿日時の状況を知ることができます。

全国のウェザーニュース岐阜県のウェザーニュース

1-4. 雪かきは重労働!

雪下ろしで汗を掻く人

雪かきは、激しいスポーツと同じくらいの運動強度があります。
普段運動をされていない方なら、体を痛めてしまう可能性もあります。

また、車で太陽光発電所に向かう場合、雪下ろしでヘトヘトに疲れた後でいつもと同じ運転ができるでしょうか?

1-5. パネルを破損させる可能性がある!破損パネルを触ると感電の危険

破損したパネル

パネルの雪を下ろす際にパネルを傷つけたり、割ってしまう恐れがあります。
発電量を回復させるためにパネルを破損させてしまっては元も子もありません。
パネルの交換ともなると、回復する売電収入よりはるかに多くの費用がかかってしまいます。
何より、破損しているパネルを触れると感電する危険性がありますので注意が必要です。


2. 太陽光パネルに積もった雪は溶けやすい


そもそも行かなくて良い場合もあります。

実は、パネルに積もった雪は快晴であれば早い段階でパネルから落ちます。
それには2つの理由があります。

2-1.太陽光パネルの表面は滑りやすい!

屋根に設置した太陽光パネルに積もった雪
太陽光パネルの表面は強化ガラスで作られています。
瓦やスレート屋根のような屋根材に比べて摩擦係数が小さいので雪が滑りやすい構造になっています。

積雪量にもよりますが、ご自宅の屋根に雪が積もっていても、パネルの雪は落ちていることも考えられます。

2-2.発電に伴う熱で雪が溶ける!

サーモグラフィーで撮影したホットスポット現象

太陽光パネルは一部分にでも日光が当たれば発電します。
雪で覆われている部分は発電しませんが、発電の抵抗となり熱を帯びます。
この熱で溶けた雪は傾斜に沿って自重で落ちます。


3. 雪下ろしは損⁉︎データで見る雪下ろしをしない場合の損失額

ソラサポのお客様の「M様」と「T様」のデータを元に、積雪時に発電所の雪下ろしをしなかった場合の損失について考えてみましょう。

・M様の太陽光発電所の設備容量は63kW
・T様の太陽光発電所の設備容量は45.39kW
売電単価はどちらの発電所も32円(税込34.56円)です。

雪が積もった日の発電グラフM様
【M様】1月の積雪時の発電量=56.6kWh
晴れの日の発電グラフM様
【M様】1月の最も発電した日の発電量=325.8kWh
雪が積もった日の発電グラフT様
【T様】1月の積雪時の発電量=11kWh
晴れの日の発電グラフT様
【T様】1月の最も発電した日の発電量=169.4kWh

次に、M様とT様の2016年1月の月間発電量を記載します。

2016年1月の月刊発電量グラフM様
【M様】2016年1月の月間発電量=6221.9kWh
2016年1月の月刊発電量グラフT様
【T様】2016年1月の月間発電量=2544.2kWh
2016年1月の発電データABA-B
積雪があった日当月の発電量が最も多い日最大損失
M様63kW発電量56.6kWh325.8kWh -269.2kWh
T様45.39kW発電量11kW169.4kWh-158.4kWh

【最大損失】は2016年1月の積雪があった日と一番良く発電した日の発電量の差です。
この差で【1日の最大損失】がわかります。
両方の発電所は【売電単価32円(税込34.56円)】で売電していますので、
M様の最大損失は【-9,303円(269.2kWh×34.56円)】
T様の最大損失は【-5,474円(158.4kWh×34.56円)】
となります。

ここで、雪下ろしにかかる手間やリスクを考えてみてください。

果たしてこの損失回避はリスクと手間に見合うものでしょうか?
発電所の規模が大きいほど積雪による損失は大きくなりますが、雪下ろしにかかる労力も大きくなります。
M様の太陽光発電所の規模では雪下ろしの作業も半日がかりになります。

・雪下ろしにかかる時間
・発生するコスト
・危険性

これらを考慮すると、ご自身で雪下ろしを行うメリットはほとんど無い、と思いませんか。


4. それでも地面設置のパネルの雪下ろしをしたい場合

遠方に自分で雪下ろしをしにいくのはメリットよりデメリットの方が大きい
ということは前章で記載した通りですが
どうしても自分でやりたいという方は、最低でも以下の4つの項目を守ってください。

◆事前準備
・作業当日から翌日までの天候を調べる
・作業のパートナー選び
・車のバッテリーチェック
・スノータイヤの溝チェック
・持ち物リストチェック

◆服装のポイント
・防寒・防水着(インナーは汗を乾かしやすいものを選ぶ)
・ネックウォーマー
・太陽光発電用絶縁手袋(パネルが割れていた場合、感電します)
・肘当て、膝当て、ヘルメット(怪我や死亡事故が多い)
・防寒防水安全作業靴(釘などを踏み抜く場合があるので普通の長靴ではダメ)

◆持ち物
・タオル沢山(背中に入れておき汗をかいたら抜きとり交換する)
・魔法瓶(温かい飲み物で水分補給)
・ホッカイロ
・太陽光発電の配線図(雪に隠れたケーブルにつまづく)
・ブラシ
・スコップ
・携帯電話と車載充電器
(リチウムイオン電池は寒さに弱く、急速に消耗する場合がある)
◆道具・方法
・準備運動をする(寒さで血管が収縮し血圧が上がる)
・必ず複数人で行う
・あらかじめ作業時間を決めておく
・家族に行き先を告げ、定時連絡(短い間隔で)をする
・全ての雪を落とそうとしない(手前のパネルだけにする)
・ブラシなどがパネルに当たらないようにする

雪国にお住まいでない方が、これだけの用意をできますか?
特に、太陽光発電用の絶縁手袋防寒防水安全作業靴などは
一般の方にとっては仕様頻度が低い持ち物です。
また、手に入れるのにも時間がかかります。
装備品を揃えるだけでも結構な出費になりますよね。

太陽光発電 標識 販売

5. 意外と知らない⁉︎実質0円で雪下ろしをする方法

0円で雪下ろしをする方法

業者に雪下ろしを依頼すると、費用はメンテナンス経費として計上することができます。

経費計上することで、節税することができます。
(関連記事:太陽光発電とメンテナンス経費 賢いオーナーが知っている一覧表【税理士監修】

何より、安全に雪下ろしをしてもらうことができるので安心です。
もし依頼するのであれば、業者に見積もりをとって費用対効果があるのかどうかを確認しましょう。
また、雪が降る前にメンテナンスの業者選定を済ませておくとスムーズに依頼することができます。


6. 雪害対応の保険に加入しましょう!

保険の画像

雪下ろしを検討する方の中で、売電の損失よりも
「積雪によって発電所が倒壊しないだろうか…」
というお考えの方もいると思います。

確かに多くの費用をかけて設置した太陽光発電が壊れてしまうのは心配ですよね。

発電所が倒壊してしまった時に、発生する費用は再設置費用だけではありません。
撤去費用や産廃費用も発生します。
何より、太陽光発電設備が倒壊するレベルの大雪であれば、雪解けの春まで待つ必要があるかもしれません。
(※破損したパネルは感電の危険もあるので除雪は難しいかもしれません)
これらの莫大な修理費の負担と休業期間の逸失利益を考えると保険加入の検討が必要です。

保険について詳しく知りたい方は【保険サービス】をご覧ください。


まとめ よく考えていただきたいこと

太陽光パネルが設置されている家

積雪で発電量は減少しますが、一時的なものです。
雪下ろしをすれば発電量は回復しますが、出費と時間と労力と事故発生のリスクが発生します。

これらをよく天秤にかけてください。

特に、雪国にお住まいではない方には次の2点を強くおすすめします。

・雪下ろしは自分で行わない
・保険の内容を確認する

太陽光発電も大切ですが、ご家族はあなたの身体が一番大切です。
雪下ろしに限らず、太陽光発電の長期事業を安全・安心のもとに運用するためにも、この機会に信頼できるパートナーを見つけておくのもひとつかもしれません。