2018年7月23日付で「定期報告に関するお知らせ(注意喚起)」という文書が資源エネルギー庁から公開されました。
定期報告の提出義務がありながら、これまで提出してこなかった発電設備のオーナー(設置者)に、期限を区切って提出を求める内容です。
以前は曖昧にされていた罰則について「経済産業大臣による指導の対象になる」と明記するなど、一歩踏み込んだ内容になっています。
全く対応しないでいると、売電の取り消しになる可能性が出てくるということです。
とはいえ、そもそも自分が該当するのかもわからない方も多いではないでしょうか。
そこで、この記事では次の5つについて解説していきます。
【定期報告の概要】 ー そもそも定期報告とは何か
【注意喚起の対象者】 ー 今回の文書で、提出が求められているのはどんな人か
【提出期限】 ー いつまでに、何をしたら良いのか
【未提出の罰則】 ー 定期報告を出さないとどうなるのか
【困った時の問い合わせ先】 ー 中古で購入したなど、個別の事情がある場合どうしたら良いのか
ぜひ最後まで読んで、「抜け・漏れ」なく対応して安心して発電事業を全うしましょう。
具体的な対応方法(定期報告の提出方法)についてお調べの方は、こちらの記事をご確認ください。
経済産業省からの指導が実施されました
2018年8月31日付で、経済産業省からの指導が実施されました。
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく指導について」という資料が届いた方は要注意です。
2018年9月20日までに定期報告を提出しないと、認定取り消しの可能性があります。
未提出の定期報告がある場合、今回指導の対象となっていなくても今後同様の指導が入る可能性があります。
認定取り消しとならないように、順次提出しましょう。
1. 定期報告とは|再エネ設備の所有者に義務づけられた定期的な報告
定期報告とは、太陽光発電や風力発電、小水力発電などの再生可能エネルギー発電設備を設置して、固定価格買取制度で売電を行う事業者に義務付けられた報告書です。
設置にかかった費用、発電設備の運転にかかった費用、設備を増設した場合は増設にかかった費用をそれぞれ報告する義務があります。
特に運転費用報告は、1年に1回報告する義務があります。
国の制度を活用して安定した事業を行う代わりに必要な手続きです。
2. 注意喚起の3つの内容|資源エネ庁の文書の概要と解説
2-1. 注意喚起の対象は定期報告を提出していないオーナー(設置者)
今回、監督省庁である資源エネルギー庁から注意喚起が出されたのは、提出義務がありながら提出していない人がいるためです。
以下に該当して、これまで定期報告を出していなかった方が注意喚起の対象となります。
10kW未満の場合
・JPECの補助金を受給していなくて、運転費用報告を提出していない
・経済産業大臣名義で運転費用報告の提出を求めるメール等が届いていながら、提出していない
10kW以上の場合
・運転開始後1回でも提出していない
心当たりがある場合は、期限までの提出を心がけてください。
2-2. 未提出の定期報告に提出期限(2018年8月10日金曜日)が設定された
今回区切られた期限は、今まで提出していなかった定期報告の「提出」期限です。
2018年8月10日までに「提出」することが必要です。
システムの制約で、1回につき一つの定期報告しか提出できません。
複数の定期報告を提出していなかった場合、まずは一番古いものを提出しましょう。
2-3. 提出しなかった場合の罰則は「大臣による指導」の対象となる
8月10日の期限までに提出しなかった場合、「経済産業大臣による指導」の対象になります。
改正FIT法第十二条に基づいた指導です。
どのような形で、いつ指導が入るかまではまだ決まっていません。
指導を受けた後も対応しなかった場合、いつどうなるのか決まっていませんが、認定取り消しの対象となる可能性があります。
売電できなくなる前に対応が必要です。
2-4. 「指導」として設置者に注意喚起が直接届く予定
7月23日付の注意喚起は、資源エネルギー庁のウェブサイトで公開され、業者やニュースサイトを通じて広がりましたが、
直接の注意喚起を受けた、という話はありませんでした。
この点についてJPEA代行申請センターの定期報告窓口に問い合わせました。
- 今回は、ウェブサイトでの注意喚起のみで設置者に直接連絡はしていない。
- 8月10日までに提出していない設置者には、今後直接注意喚起を行う。
- 内容は、ウェブサイトで公開している文書と同じようなものになると聞いている。
- 扱いとしては、直接の注意喚起が指導になると聞いている。
つまり、資源エネルギー庁から手紙やメールなどで定期報告についての注意喚起が届いたら、経済産業大臣の指導を受けたことになります。
見落として単価取り消し、などならないように注意しましょう。
3. 注意喚起への対応方法
3-1. 定期報告の提出方法は、電子申請(原則)か書面(例外)で行う
提出していない定期報告が一つでもある場合、期限までに提出する必要があります。
提出方法は、原則は電子申請システムで提出します。
どうしても電子申請システムが使えない場合、書面でも提出できます。
具体的な提出方法は次の記事を参考にしてください。
3-2. わからない時の問い合わせ先はJPEA代行申請センター
設置業者が撤退していた。
中古で購入したので、過去に定期報告を提出しているかわからない。
このように、誰に相談したら良いかわからない場合もあると思います。
そんな時は、JPEA代行申請センターに問い合わせてどのように対応するのか確認してください。
JPEA代行申請センターへの問い合わせは認定申請の場合と連絡先が異なる点に注意
JPEA代行申請センターの問い合わせ番号は次の通りです。
【TEL】0570-07-8210
【FAX】03-3578-8082
定期報告に関する窓口は、認定申請関係の窓口と電話番号、FAX番号が違います。
再生可能エネルギー電子申請の「お問い合わせ窓口」で確認できます。
ご注意ください。
できれば電話ですぐに返答が欲しいですが、なかなか電話が繋がらない状況が続いています。
電話が繋がらない場合は、FAXを送って返答を待ちましょう。
JPEA代行申請センターのウェブサイトで、返答にかかる目安の時間が公開されています。
問い合わせ内容によっては、新エネルギー課や電子申請システムに問い合わせることもできます。
詳しくは次の記事を参考にしてください。
まとめ
今回資源エネルギー庁から出された注意喚起は、これまで実質的に罰則がなくて放置されていた定期報告を、今後はきちんと提出してもらうためのものです。
時期や具体的な内容は決まっていませんが、提出しなければ大臣の指導の対象となることが明言されています。
認定の取り消しになる可能性があることも明記されています。
定期報告を提出していない場合は、期限までに提出しましょう。