最終更新日:2017.04.26
再生可能エネルギー発電事業者のみなさまへ。
資源エネルギー庁より大事なお知らせ
これってどういう意味だろう?自分にとって関係があるのか?
ひょっとして太陽光発電の認定が取り消しになるの?
こんなご心配をされていませんか?
実はこのハガキは、2017年4月1日から施行される
『改正FIT法(固定買取価格制度の改正)』を周知させるためのものなんです。
太陽光発電のオーナーであれば全ての人に関係のあるハガキです。場合によっては、取得した売電単価が取り消しになることもあります。しかし、この記事を読めば次の4つのことがよくわかり、取り消しならないための準備ができるようになります。
・このハガキが何の目的で発送されたものか
・このハガキに書いてある内容や言葉の意味
・あなたに影響があることか
・あなたに必要な手続きは、いつまでにどのようなものが必要となるのか
せっかく、取得した売電単価が失効したりしては大変なので十分に理解をしておきましょう。
【おしらせ 1】「改正FIT法」の手続きや義務の具体的な内容をまとめた記事を公開しました。旧FIT法で太陽光発電オーナーになった方は特に必読です!
【おしらせ 2】みなし認定※の事業計画を提出するために必要な書類と具体的な手順をまとめた記事を公開しました。
※昨年度までの売電単価を取得している人は全員みなし認定扱いです。
1.あなたにハガキが届いた理由
ハガキが届いた人の名前と住所で、過去に資源エネルギー庁に「設備認定」が出されたことがあるためです。
ピンとこないかもしれませんので具体例を挙げてみましょう。
ほぼ全ての方が、次に挙げるいずれかの場合に当てはまるはずです。
1-1. ハガキが送られる対象者の具体例
(1)売電中の太陽光発電(連系済み)を所有している
(2)あなたの名義で家族が太陽光発電を設置している
(3)太陽光発電を現在、設置中(工事中)である
(4)太陽光発電をこれから設置の予定がある
(5)太陽光発電を検討していて業者に相談したことがある
(6)以前、太陽光発電を検討していたが設置を見送った
(7)過去に、太陽光発電を所有していた人で撤去した
(8)過去に、太陽光発電を所有していた人で売却した
(9)身に覚えがない(勝手に出されている)
「設備認定」ってなんだっけ?という方は、次の解説をお読みください。
ご存知の方は読み飛ばして頂いて大丈夫です。
1-2. 旧FIT法の「設備認定」とは(おさらい)
- 設備認定とは
- 固定買取価格制度を利用するために必要な手続きのひとつです。太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電設備が法令で定める要件に適合しているかを国が確認するための手続きですね。
設備認定は、ほとんどの場合、太陽光発電業者が申請していますので、あなた(ハガキが受け取った方)が申請したとは限りません。
設備容量が50kW未満の太陽光発電で届出をする場合、設備認定の記載事項に、土地の住所・設置者の氏名・住所・電話番号・発電設備の概要・メンテナンス体制などを記入する必要がありました。
ここで記載された「設置者の氏名」と「住所」に今回のハガキが送られています。
ご自身で申請した覚えがない場合は、心当たりの業者に問い合わせてみましょう。
改正FIT法のハガキが来なかった!という人はメールを確認しましょう
自分にはハガキが来なかった…。という人は普段、誰かに教えているメールを確認しましょう。
何故なら、設備認定の申請を取得する際に「設置者のメールアドレス」という欄があり、メールアドレスを記載した場合は、ハガキではなく同じ内容がメールで届くからです。
問題は、その「設置者のメールアドレス」が正しい(あなたが確認できる)ものかどうかです。ひょっとすると、入力している人が、会社のメールアドレスや自分のメールアドレスにしているかもしれません。
仮に、届いていなくても次章にハガキそのものをスキャンしていますので内容は確認可能です。
(資源エネルギー庁から届いたメールはこちら kaisei-fit-mail pdfファイル80KB)
2.資源エネルギー庁がハガキで伝えたい内容(目的)
このハガキで、資源エネルギー庁があなたに伝えたいことは主に次の3つの内容です。
- 2017年4月1日から新制度(改正FIT法)が施行されますよ → ハガキ全体
- 必要な手続きをしないと過去の売電単価が失効する場合もあるので注意してくださいね → ①・②
- これから太陽光発電を検討し始める場合は、新制度が適用されますよ → ③・④・⑤
多くの太陽光発電所のオーナーにとって最も気になるのは、ハガキの①と②の部分でしょう。
①新制度への移行条件
②新制度への移行後に必要な手続き
この2つは、稼働済みの発電設備の認定失効や取り消しにもつながる重要な内容なので、熟知する必要があります。
2017年4月1日以降に太陽光発電の設置を検討する場合には、③④⑤を理解しておけば大丈夫です。
③調達価格:2メガ以上の太陽光発電は、入札制度によって売電単価が決まる。10kW未満
④「設備認定」から「事業計画認定」へ:
⑤送配電買取への変更:
3.「接続契約」締結日によって、必要な手続きが4パターンに分かれる
電力会社との「接続契約」の締結日によって、必要な手続きや対処方法が異なります。
以下、4つの場合に分けましたので該当する項目をご参考になさってください。
・あなたの発電設備がすでに売電開始している場合
あなたの太陽光発電設備が2012年7月以降に売電開始をしている場合
2017年4月1日から9月30日までに、「事業計画」の提出が必要になります。
いつまで?: | 2017年4月1日から9月30日まで |
---|---|
何を?: | 「事業計画」 |
誰に?: | 経済産業省の代行申請機関 |
・2017年3月31日までに電力会社との「接続契約」の締結ができる(間に合う)場合
設備認定をすでに取得していて、3月31日までに「接続契約」の締結が間に合う場合は、
2017年4月1日から9月30日までに、「事業計画」と「接続契約」を証明する書類の提出が必要になります。
いつまで?: | 2017年4月1日から9月30日まで |
---|---|
何を?: | 「事業計画」と「接続契約」を証明する書類 |
誰に?: | 経済産業省の代行申請機関 |
・2017年3月31日までに電力会社との「接続契約」ができない(間に合わない)場合
パターン①:設備認定の取得日が、2016年6月30日以前の場合
→ 認定失効(売電単価の取り消し)です。
残念ですが、新制度で新たな売電単価のもと設置計画を練り直しましょう。
改正FIT法では、認定取得(売電単価決定)から運転開始期限(※)までに発電開始をすれば良いので取得しておいてコストの低下や円高を待つのもひとつの方法です。
- 運転開始期限とは
- 改正FIT法で新たに設けられた、タイムリミットです。事業計画認定を取得してから売電開始までの制限時間を「運転開始期限」と言います。運転開始期限を超過すると、設備の規模に応じて「調達期間(売電期間)の短縮」または「認定の失効」というペナルティが課せられます。
太陽光発電設備の規模 | 運転開始期限 | ペナルティ(罰則) |
---|---|---|
10kW以上 | 3年以内 | 調達期間が1ヶ月単位で短縮 |
10kW未満 | 1年以内 | 認定失効(最初からやり直し) |
“運転開始期限には、一切の例外が認められません。余裕を持った運転開始日の計画が求められます。”
こんな場合は、想定以上に時間がかかるので要注意!
- 金融機関への融資の申し込みから融資実行まで
- 農地転用などの法律関係での許可
- 部材を発注してから完工まで
- 台風や雪、地震などの天災
- 完工直前の部材の盗難
- 年度末や年末などの繁忙期による電力会社のスケジュール調整
パターン②:設備認定の取得日が、2016年7月1日から2017年3月31日までの場合
→ 次の2つの手続きが両方とも必要になります。
手続きその1:認定日の翌日から、9カ月以内に電力会社との「接続契約」の締結
いつまで?: | 認定日の翌日から、9カ月以内 |
---|---|
何を?: | 「接続契約」の締結 |
誰に?: | 電力会社 |
手続きその2:電力会社との「接続契約」の締結から6カ月以内に、経済産業省の代行申請機関へ「事業計画」を提出
いつまで?: | 電力会社との「接続契約」の締結から6カ月以内 |
---|---|
何を?: | 「事業計画」 |
誰に?: | 経済産業省の代行申請機関 |
・勝手に設備認定を出されて身に覚えがない場合
無視しても問題ありませんが…
念のために、ご家族に太陽光発電の見積もりや問い合わせを行ったことがあるか確認してみてください。
ひょっとすると、あなたの名前で提出したことがあるかもしれません。
なぜなら、ご家族のどなたかが公務員か副業規定が厳しい会社にお勤めの場合に、ご本人以外の名義で太陽光発電の運用を行う方も多くいらっしゃるためです。
4. 「接続契約」と「事業計画」ってなに?
4-1. 改正FIT法で売電単価決定までの手続きはこう変わる
改正FIT法では、発電開始までに必要な手続きが大きく変わります。
旧制度では、設備認定 → 電力申請 → 売電単価・売電期間の決定という流れでしたが
新制度では、接続契約 → 認定取得 → 売電単価・売電期間の決定という流れになります。
下のフローをご覧ください。
改正FIT法では、「接続申込み」(旧制度の電力申請にあたるもの)と「認定申請(旧制度の設備認定申請がかなり複雑になったもの)」のどちらからでも先に行えるようになりました。
ただし、「接続契約」が完了しないと、「認定取得(売電単価・調達期間)」が決定されません。
送配電事業者(電力会社)との接続契約の締結が認定取得の要件になるということを理解しておきましょう。
それでは、「接続契約」と「事業計画」がどんなものなか確認していきます。
4-2. 「接続契約」とは、「連系承諾」と「工事負担金契約」の2つの契約のこと
- 接続契約とは
送配電事業者(通常は電力会社のこと)に太陽光発電(または風力発電などの再生可能エネルギー)の電気を売るための契約です。
「接続契約」には、次の2つの契約が含まれます。
①電力会社の「連系承諾」
②連系に必要なための「工事費負担金契約(電力会社が行う工事費用)」
新制度(改正FIT法)では、先に「接続契約」が締結されないと「事業計画認定」の取得ができません。
「事業計画認定」が取得できないと、売電単価・調達期間が決まりません。
このように取り扱いが変わったのは、旧制度ではとりあえずの幽霊申請(からおさえ)が多く未稼働の発電設備が問題視されたことが原因のひとつです。
「接続契約」=「売電開始」ではありません。勘違いされている方が多いので注意しましょう。
4-3. 「事業計画」とは、改正FIT法(固定価格買取制度)で必要となる手続きの一つ
- 事業計画とは
- 改正FIT法(固定価格買取制度)で必要となる手続きの一つです。(2017年4月1日から施行)
旧固定買取価格制度では、「設備認定」と「電力申請(接続契約+特定契約)」の2つの手続きで売電単価と売電期間が決定されました。
新制度では、この「設備認定」から「事業計画認定」に変わります。
「事業計画認定」は、「接続契約」が締結されてからでないと取得できません。
4-4. 「事業計画」に必要となる7つの項目
2017年2月21日現在、「事業計画」に必要となる項目は以下のとおりです。
改正FIT法の施行までに変更があるかもしれません。
・接続契約の締結日 | |
・買取契約の締結先 | |
・買取価格 | |
・設備を設置する敷地面積 | |
・太陽電池の合計出力 | |
・遵守事項への同意 | |
・接続契約を証する書類(運転開始前の案件のみ必要) |
《注意事項》「接続契約を証する書類」は電力会社ごとに異なります。
資源エネルギー庁のウェブサイトで、具体的な書類名をまとめたものや「事業計画」の具体的な申請書や申請様式が2017年3月中に公開される予定です。
みなし認定の事業計画を提出する具体的な方法をまとめました。こちらの記事をご覧ください。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
売電中の方もこれから太陽光発電を設置される方も、ハガキに記載されている「認定失効」という文字によるご心配が少しでも解消されたかと思います。
新制度への移行に関する具体的な手続きは4月1日以降でないとできませんが期間は十分にありますので焦る必要はありません。
一方で、平成29年度内に電力会社との接続契約を締結させなければいけない方は現在どのような段階まで手続きが進んでいるのかを確認することをお勧めします。
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