2月のニュースといえば、2017年2月14日、4月1日に施行される改正FIT法についての説明会が東京で開催され、多くの人が参加しました。(我々ももちろん参加しました!)
資源エネルギー庁からハガキやメールが届いて、制度の変更を知ったという方もみえるのではないでしょうか。
資源エネルギー庁からのハガキについては、「資源エネ庁・改正FIT法のハガキ|売電単価の維持に必要な手続きとは?」をご覧ください。
20年間の売電収入は、固定価格買取制度(FIT)と天気(日射量)によって大きく変わります。
この記事では、岐阜県、三重県、愛知県に設置された太陽光発電(地面設置)の月間発電量のデータを設置パネル容量・パワコン容量とともに公開しています。
発電量のデータは、昨年同月との対比が必要なためソラサポで設置していただいたお客様の発電量を1年以上、遠隔監視をしたものです。周囲に影となる建物が出来るなど発電量に影響を与える変化のない発電所を対象としています。
昨年の発電量は、「2016年2月の発電量と天気 【岐阜・三重・愛知】」をご覧ください。
発電量を比較してわかること 発電量の比べ方
公開データとあなたの発電量を比較することで、異常の早期発見や、無駄なメンテナンス費用の回避ができます。
- あなたの設置場所と【近い地域】で比べてみましょう。
- あなたの発電所と【同規模】で比べてみましょう。
- 【1kWあたりの発電量】で比べてみましょう。
- 【昨年同月の発電量】との割合を比べてみましょう。
*予想発電量は、傾斜面日射量×太陽光パネル設置容量(kW)×各種係数(パワコン変換効率、温度係数など)
で計算することができます。
この記事では、天候の目安として「日照時間」のデータを記載しております。
日射量ではありませんのでご注意ください。
1. 2017年2月の天気
2月は雪が降ったり晴れたり、日によって寒暖の差があったように思います。
2月の下旬には、花粉症でくしゃみが何回もでました…せっかく晴れて暖かい日でも、花粉のことを考えると、少し憂鬱になりますね。
気象庁は、2017年(平成29年)2月の天候の特徴を以下のとおりに発表しています。
- 西日本では日照時間がかなり多かった
東日本太平洋側と西日本では、低気圧の影響が小さく、高気圧に覆われる日が多かったため、月間日照時間が多く、西日本太平洋側ではかなり多かった。 - 中旬から下旬前半にかけては全国的に寒気が流れ込み、日本海側を中心に大雪となった
中旬から下旬前半にかけては冬型の気圧配置が強まり、全国的に気温が平年を下回った。また、日本海側では中旬は東北地方から山陰にかけて、下旬前半は西日本を中心に大雪となり、太平洋側でも大雪となった所があった。 - 西日本では日照時間がかなり多かった
東日本太平洋側と西日本では、低気圧の影響が小さく、高気圧に覆われる日が多かったため、月間日照時間が多く、西日本太平洋側ではかなり多かった。
(引用元:気象庁 報道発表資料『2月の天候』より)
2月の平均気温は北・東日本では平年より高くなりましたが、中旬〜下旬前半にかけて全国的に寒くなりました。
冬型の気圧配置で、大雪になった地域もあり、雪かきや雪下ろしに困ったという人もいるのではないでしょうか。
東日本太平洋側と西日本で日照時間が多く、特に西日本太平洋側ではかなり多くなりました。
この地域では、発電量が平年以上になっているかもしれません。
それでは、岐阜県、三重県、愛知県の日照時間と発電量を見ていきましょう。
2. 岐阜県の日照時間と発電量
岐阜県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、岐阜県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
岐阜 | 169.7 | 104% | 95% |
高山 | 112.2 | 99% | 87% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「岐阜」「高山」の日照時間は、おおよそ平年並みでした。
「岐阜」は昨年比5%減、「高山」は昨年比13%減になっています。
1月と比べると差は少なくなっていますが、「岐阜」は「高山」より50h以上多いので、比較する際はご注意ください。
それでは、岐阜県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
岐阜県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
大垣市 | 26.00 | 29.7 | 1795.7 | 91% |
大垣市 | 40.28 | 29.7 | 2031.1 | 92% |
不破郡 | 29.95 | 27.5 | 2582.8 | 90% |
安八郡 | 64.60 | 49.5 | 5954.2 | 95% |
安八郡 | 44.00 | 39.6 | 3691.7 | 94% |
安八郡 | 59.00 | 49.5 | 4742.4 | 96% |
安八郡 | 50.00 | 49.5 | 4202.8 | 95% |
羽島郡 | 57.42 | 49.5 | 5546.0 | 95% |
羽島郡 | 43.56 | 38.5 | 4342.5 | 93% |
羽島郡 | 42.40 | 39.6 | 3484.7 | 95% |
羽島郡 | 63.00 | 49.5 | 6688.0 | 98% |
海津市 | 22.53 | 16.5 | 1758.5 | 96% |
岐阜市 | 13.50 | 11.0 | 1043.6 | 96% |
岐阜市 | 12.72 | 11.0 | 1019.9 | 93% |
岐阜市 | 46.19 | 36.9 | 3935.0 | 92% |
岐阜市 | 38.16 | 29.7 | 3495.7 | 96% |
岐阜市 | 35.19 | 33.0 | 2755.5 | 92% |
岐阜市 | 61.20 | 49.5 | 5274.7 | 100% |
岐阜市 | 14.84 | 11.0 | 886.9 | 96% |
岐阜市 | 54.32 | 49.5 | 4481.2 | 94% |
山県市 | 10.80 | 11.8 | 707.5 | 95% |
瑞穂市 | 27.04 | 22.0 | 2087.2 | 97% |
本巣市 | 15.90 | 15.4 | 1270.8 | 93% |
本巣市 | 33.15 | 29.7 | 2157.6 | 91% |
本巣市 | 20.14 | 19.8 | 1640.8 | 93% |
揖斐郡 | 44.52 | 39.6 | 3060.1 | 88% |
揖斐郡 | 53.04 | 49.5 | 4492.2 | 92% |
揖斐郡 | 33.18 | 29.7 | 2291.0 | 83% |
揖斐郡 | 24.03 | 20.2 | 1486.8 | 89% |
揖斐郡 | 16.9 | 16.5 | 1501.3 | 95% |
関市 | 30.60 | 19.8 | 2711.0 | 117% |
関市 | 45.39 | 36.9 | 3371.6 | 98% |
関市 | 59.40 | 49.5 | 4578.1 | 104% |
加茂郡 | 27.00 | 23.2 | 2495.3 | 104% |
加茂郡 | 18.50 | 16.5 | 1774.9 | 97% |
可児郡 | 58.14 | 49.5 | 6076.7 | 124% |
可児郡 | 48.96 | 39.6 | 4882.5 | 101% |
可児郡 | 61.20 | 49.5 | 4132.8 | 105% |
中津川市 | 66.30 | 49.5 | 5263.5 | 99% |
中津川市 | 63.60 | 49.5 | 5564.5 | 99% |
中津川市 | 42.27 | 36.3 | 3880.1 | 100% |
瑞浪市 | 62.22 | 49.5 | 5238.6 | 96% |
土岐市 | 34.00 | 29.7 | 3405.6 | 99% |
岐阜県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 83.8 | 97% |
岐阜県の発電量は昨年比で約3%減、という結果になりました。
多くの発電所で昨年比95〜100%と、昨年と同じような発電量になっています。
日照時間が少なくなった分、ほぼ比例して発電量も少なくなっていると言えそうです。
表の一番下には、「岐阜県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
岐阜県では「83.8(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 83.8 × 8.0 = 670.4(kWh)
2月の月間発電量は、670.4(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
3. 三重県の日照時間と発電量
三重県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、三重県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
津 | 161.7 | 103% | 97% |
上野 | 122.2 | 104% | 85% |
尾鷲 | 208.0 | 124% | 114% |
四日市 | 154.4 | 106% | 91% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「尾鷲」が平年比24%増、昨年比14%増と大きく上回りました。
一方で他の3箇所はほぼ平年並み、昨年をやや下回りました。
「上野」は昨年比15%減で、「尾鷲」との日照時間の差が80h以上あります。
発電量を比較する際は、設置地点に注意してください。
それでは、三重県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
三重県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
伊勢市 | 45.05 | 36.9 | 3572.4 | 100% |
桑名市 | 22.00 | 19.8 | 1694.0 | 91% |
四日市市 | 64.48 | 49.5 | 6385.9 | 94% |
四日市市 | 66.30 | 49.5 | 6016.3 | 88% |
三重郡 | 54.00 | 49.5 | 4673.3 | 96% |
津市 | 64.26 | 49.5 | 5886.1 | 93% |
津市 | 31.86 | 27.5 | 2347.7 | 95% |
津市 | 39.27 | 31.9 | 3079.3 | 96% |
津市 | 24.00 | 22.0 | 1820.0 | 96% |
鈴鹿市 | 42.84 | 38.5 | 3666.4 | 90% |
三重県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 86.2 | 93% |
三重県の発電量は昨年比で約7%減、という結果になりました。
設置状況の違いで数値に差があるものの、多くの発電所で昨年をやや下回りました。
発電所の多い津や四日市の日照時間から考えると、予想通りの発電量です。
「尾鷲」周辺では、もっと違う結果になるかもしれません。
表の一番下には、「三重県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
三重県では「86.2(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 86.2 × 8.0 = 689.6(kWh)
2月の月間発電量は、689.6(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
4. 愛知県の日照時間と発電量
愛知県の日照時間(今月と昨年の比較)
下の表は、気象庁が発表した、愛知県内の観測地点における今月の日照時間です。
また、日照時間の平年比(※)、昨年比を算出しています。
観測地点 | 日照時間(h) | 平年比 | 昨年比 |
---|---|---|---|
名古屋 | 186.4 | 110% | 101% |
伊良湖 | 196.4 | 112% | 104% |
気象庁(報道発表資料)より作成
※平年比とは、1981年から2010年までの30年間の平均日照時間との比較した数値。太陽光発電のシミュレーションは、多くの場合この「平年比」を用いて予想発電量を算出します。
「伊良湖」も「名古屋」も、ほぼ昨年と同程度の日照時間になりました。
1月に続き、平年よりやや長くなっています。
それでは、愛知県内の実際の発電量と昨年比を見ていきましょう。
愛知県の発電量(今月と昨年の比較)
※ご紹介するデータは、遠隔監視装置を設置して1年以上経過(昨年同月と比較するため)している太陽光発電所のものです。
※特殊な条件で設置している発電所を除いた平均的な太陽光発電所から無作為に抽出したデータです。
※架台の設置角度や方位によって発電効率は変わりますが、大まかな目安を得ることが目的なので無視します。
設置場所 | パネル(kW) | パワコン(kW) | 今月の発電量(kWh) | 今月/昨年 |
---|---|---|---|---|
一宮市 | 15.39 | 11.8 | 1379.8 | 97% |
一宮市 | 51.67 | 38.5 | 4887.6 | 99% |
一宮市 | 53.00 | 49.5 | 4400.9 | 100% |
一宮市 | 58.66 | 49.5 | 5201.5 | 99% |
稲沢市 | 55.00 | 49.5 | 6002.6 | 100% |
稲沢市 | 41.00 | 29.7 | 4063.4 | 95% |
稲沢市 | 41.00 | 29.7 | 3713.6 | 111% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4750.9 | 104% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4403.4 | 98% |
稲沢市 | 54.00 | 49.5 | 4606.4 | 105% |
稲沢市 | 55.08 | 39.6 | 5267.8 | 103% |
稲沢市 | 55.90 | 39.6 | 5405.1 | 128% |
稲沢市 | 65.31 | 49.5 | 6138.1 | 118% |
稲沢市 | 67.84 | 49.5 | 6752.0 | 102% |
稲沢市 | 67.84 | 49.5 | 6667.4 | 111% |
西尾市 | 28.00 | 29.7 | 2748.9 | 99% |
西尾市 | 54.00 | 29.7 | 3942.3 | 74% |
大府市 | 62.64 | 49.5 | 5431.4 | 99% |
弥富市 | 24.91 | 19.8 | 2170.0 | 100% |
弥富市 | 19.08 | 19.8 | 1537.0 | 100% |
愛知県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh) | 91.5 | 102% |
愛知県の発電量は昨年比で約2%増という結果になりました。
発電所によって差がありますが、ほとんどの発電所が昨年を上回っています。
岐阜、三重の平均発電量は昨年を下回っているので、隣の県とは言え発電量に差があることがわかります。
表の一番下には、「愛知県に設置された太陽光パネル1kWあたりの月間発電量(kWh)」を記載しております。
愛知県では「91.5(kWh)」ですので、あなたの太陽光発電のパネル容量を掛け算して、実際の発電量と比べてみてください。
(例)あなたの太陽光発電システムが8.0kWだった場合。
【計算式】 91.5 × 8.0 = 732.0(kWh)
2月の月間発電量は、732.0(kWh)前後のはずです。
この計算式で求めた結果より20%以上も下回る場合は、太陽光発電システムに不具合や故障があるかもしれません。
2月の天気と発電量まとめ
発電量は天候によって大きく異なります。
ある発電所では、2月の晴れた日は、雨の日の10倍以上、発電しています。
晴れの日数によって、その月の発電量は変化します。
発電量の「多い・少ない」は、比較する対象と、算出の基準によって変わります。
シミュレーションよりも発電量が多くても、他の似た条件の発電所と比べると少ない、ということもあり得ます。
太陽光発電を長期・安定稼働させるためには、次の3つが絶対に必要です。
- 発電量の見える化(どれだけ発電しているか)
- 発電量の監視(今、発電しているか)
- 他所との比較(比べて少なくないか)
この3つを実行することで、発電量に関してより正しい評価をすることができます。
また、無駄なメンテナンス費用を投入することも回避できますので是非実行してみてください!