・わたしの地域はけっこう雪が降るけど太陽光発電を設置しても大丈夫かな?
・積雪に対して何か気をつけるポイントはあるのかな?
あなたもこんなご心配ありませんか?
この記事では、わずかなコストと知識で雪害のリスクを大きく減らせる6つのポイントを解説していますのでご参考になさってください。
適切な設計と方法で導入すれば、積雪地域(※)でも、安全・安心に太陽光発電を運用をすることができます。
(※)…「積雪地域」とは、「豪雪地帯」の規定である年間平均5m以上の年間積雪積算値がある地域ではなく、10cm〜1m程度の積雪がある地域を指しております。
◆意外に多い!?過去30年間で10cm以上の積雪があった年
過去にどれくらいの積雪があったかなぁ、という方のために、1987年から2016年までの30年間で積雪を記録した年の数を地域別の表にしました。(気象庁・過去の気象データを元に作成)
観測地点 | 10cm以上 20cm未満 | 20cm以上 |
岐阜市(岐阜県) | 11回 | 10回 |
高山市(岐阜県) | 1回 | 29回 |
名古屋市(愛知県) | 10回 | 2回 |
津市(三重県) | 4回 | 0回 |
彦根市(滋賀県) | 7回 | 19回 |
静岡市(静岡県) | 0回 | 0回 |
こうしてみると、意外と多く感じられませんか?
後述しますが、10cm程度の積雪でもパネルに積もった雪は同じ場所に集中して落ちていきますのですぐ積み重なるので要注意です。
1. 設置角度は最低15度、理想は30度あれば積雪も怖くない
【ココがポイント】積雪地域で設置する場合は、パネルの角度をなるべく高く(最低でも15度以上)にしましょう。
【理由】パネルの上に雪が積もると、パネルや架台に負担がかかってしまいます。
設置角度が大きければ、パネルに積もった雪も早く落ちます。
つまり設置角度が高い太陽光発電設備であれば積雪による事故の可能性を低くすることができます。
【デメリット①】角度をつけることによって、アレイ間の離隔距離を多く取る必要があります
つまり、面積あたりのパネル枚数が減り、土地利用率が減少しますので注意が必要です。
【デメリット②】角度が大きければ、架台の足が長くなりますので、わずかながら部材費用が高くなります。
【結論】総合的に考えて、ソラサポでは積雪地域で設置をする場合、最低15度以上をオススメしております。
2. パネルの地面からの高さ(地上高・GL)が落雪に効果的
【ココがポイント】積雪地域では、地面から太陽光パネルまでの高さ(地上高・GL)をなるべく高く(最低でも80cm以上)にしましょう。
【理由】太陽光パネルに積もった雪は、パネルの前方に溶けて落ちていきます。
ごく少量の積雪量であれば、GLが低くても問題ありませんが、大雪が降った場合は、パネルの前方に溜まり、いずれは雪が落ちなくなってしまいます。
大量の雪がパネルから落ちず、しばらくパネル上にあると、沈降圧がかかり、パネルや架台が歪んだりしてしまいます。
歪むだけでは済まず、倒壊してしまう恐れもありますので、ご注意ください。GLを高くすることによってできるだけ雪の落ちる量を増やすことでリスクを軽減することができます。
【デメリット】架台の足の部分が長くなりますので、部材費用がわずかながら高くなります。(それでも雑草対策にも地面の熱の照り返し対策にもなるので絶対おすすめです)
3. 架台の強度を高めて大雪に備えよう
【ココがポイント】積雪地域で設置する場合は、架台の強度を強くしましょう。
架台の強度を強くすることで、最低でも20年に一度の大雪でも耐えられるような架台設計をすることが望ましいです。
【理由】20年間の長期事業の中で、大雪が降る可能性があり、大雪が原因で倒壊した太陽光発電設備を再稼動させるには少なくとも「除雪」→「撤去」→「発注」→「工事」の工程が必要となり2ヶ月はかかるためです。
また、それほどの大雪であれば広い地域で同じような状況になっているはずなので工事も混み合うでしょう。
オーバースペックに架台を設計することで、積雪による倒壊リスクを減少させることができます。
【デメリット】架台の強度を強くすると、アルミの量が増え、必然的に架台コストも上がります。
必要な強度と設置コストを比較して、一番良い方法を見つけることで安全・安心の発電事業をすることができます。
4. パワーコンディショナが雪だらけ 置き場に注意
【ココがポイント】積雪地域に太陽光発電を設置する場合は、パワコンや集電箱等の機器の置き場に注意しましょう。
雪に埋もれそうな場所や雪が直接当たってしまうような場所には設置してはいけません。
屋外仕様のパワコンでも、通常は以下の条件を満たす場所に設置します。
・地上から1m程度を確保する
・直射日光が当たらない場所
・雨風が直にさらされない場所
しかし、業者によっては参考画像のように設置をして雪や雨、直射日光が当たる場所に設置をしてしまうケースがあります。
パワコンは太陽光発電設備の中でも高価な機械となりますので、交換ともなれば数十万円の出費となってしまいます。
5. 除雪時を見越してパネル間の通路は広く
【ココがポイント】積雪地域では、パネル間の通路をできるだけ広く確保(どんなに土地が狭くても1.5m以上)しましょう。
【理由①】積雪時に雪下ろし等の作業を行う際に、滑って転んでしまうこともあります。
【理由②】除けた雪を仮置きする場所が必要
パネル間の通路を広く確保すれば、万が一転倒してしまった場合にも、怪我をする可能性を下げることができます。
※屋根上での雪下ろし作業は非常に危険ですので、屋根に設置している方は絶対に行わないでください。
また、野立て太陽光発電の場合でも、原則として業者に依頼しましょう。
不慣れな作業となりますので、怪我をする危険性が高くなります。
6. 損害保険で雪害と休業リスクをカバー
雪対策を施したとしても昨今の異常気象により、雪害等で倒壊してしまう可能性があります。
また、既に強度不足の架台で太陽光発電を設置してしまった場合、補強工事には多くの費用が発生してしまいます。
太陽光発電を設置して重機が乗り入れできなくなっている場合は手作業になりますのでさらに割高な費用となってしまいます。
そのために、保険には必ず加入しましょう。
「財産保険」に加え、「休業補償」にも加入しましょう。
太陽光発電の保険について詳しく知りたい方は【保険サービス】をご覧ください。
万が一のリスクを回避するためにも、保険は必要経費として考えておきましょう。
まとめ 安心とコストはトレードオフ
太陽光発電を設置する際に、導入コストを抑える事は重要なポイントの一つです。
しかし、設備の強度・耐久性も非常に重要なポイントです。
特に積雪地域では、太陽光発電所の設計に気をつけなればいけません。
分かりやすいパネルの発電効率や、kWあたりの単価だけに気を取られて低品質のものを安易に導入してしまうと、10年、20年の長期事業の中で多大な損失が発生してしまう可能性がありますのでご注意ください。
積雪地域でも、適切な方法で導入することで、安全・安心の発電事業を行うことができます。
これから検討する方は、注意ポイントを踏まえて業者選びを行ってみてはいかがでしょうか。