
「クラピア」という植物を最近はじめて耳にしたあなたは、こんなことをお調べではないでしょうか。
「クラピアってどんな植物なんだろう?」
「どんな風に役立つの?(どんなメリットがあるの?)」
「他のグランドカバープランツや芝生との違いは何かな?」
実は、クラピアは全国で300万㎡以上の導入実績(メーカー公表)がある近年人気の植物ですが、まだまだ知る人ぞ知る植物です。
そこで、この記事ではたくさんの写真と共に、クラピアの用途、品種ごとの特徴、メリット、デメリット、他の植物との違いなどを網羅的に解説していきます。
最後まで読んでいただければ、あなたが他のグランドカバープランツと比較・検討する際にお役に立てることと思います。
そして、ぜひ次のステップとして植え方や育て方の解説記事を読み進めてください。
最終的には、適正なクラピアの導入で雑草の苦痛から解放され、一面に広がった綺麗な緑があなたのものになるはずです。
それでは、早速クラピアとの出会いの第一歩を踏み出しましょう!
1.クラピアとは?
この章では、「そもそもクラピアってなんだろう?」という疑問を持つ方に向けて、初歩的な部分から解説します。
1-1.クラピアの特徴
クラピアとは、在来種であるイワダレソウを改良し新たに品種登録された植物です。
宇都宮大学の故・倉持仁志先生が10数年の歳月を費やし、生み出されました。
クラピアは、グラウンドカバー・プランツ(英:Ground Cover Plants、地被植物)の一種です。
グランドカバーに使われる植物は「グランドカバー・プランツ」と呼ばれ、「地被植物」や「下草」とも呼ばれます。グランドカバープランツの定義は曖昧で、特定の種類を指すものではありません。
多くの場合、ひざ下あたりまでの高さに管理できる植物の総称(例:タマリュウ、芝桜、芝、クローバーetc.)だと思っていただけるとイメージしやすいかもしれません。
クラピアは、地面を這うように広がっていきます。早い成長速度、そして背が高くならない特性から高い雑草抑制効果をもっています。
また、種をつけず日光と水と土の栄養で繁殖していきますので、その管理のしやすさと見た目の可愛らしさから、雑草対策の植物・グラウンドカバープランツとして大きな注目を浴びています。
特に次の3つの特徴は、他のグランドカバープランツではなくクラピアを選んだ理由としてよく挙げられます。
・踏んでも大丈夫(むしろ踏めば葉が小さく綺麗になっていく)
・背が高くならない
・早く広がる
「クラピア」の名前の由来
「クラ」は開発者である宇都宮大学の故・倉持仁志先生の「倉」です。
「ピア」はリッピアの「ピア」が由来になっています。
1-2.クラピアの用途
クラピアは雑草対策のグランドカバープランツとして活用されています。
グランドカバーの中でもクラピアは、芝生より早く育ち、管理が楽という点で注目を集めています。
公共事業や太陽光発電設備などの大規模なものから、個人のお庭まで色々なシーンで採用されています。
1-3.クラピアの品種は4つ
クラピアには4つの品種があります。
いずれも種苗法による登録品種で、無断販売・譲渡・増殖などの違法行為は行政罰の対象となります。(音楽や書籍などの著作権のようなものです。)
今年発売された新品種は平成30年3月時点では一般向けに販売はされていませんが紹介します。
クラピアK5
クラピアK5は、3品種の中でもっとも緑の期間が長く(耐寒性)、病気になりにくい(耐病性)、品種です。
薄桃色の花が咲きます。S1、S2と比べると花の数は少なめです。
一番人気の品種(※)です。
※総生産元の出荷割合及び、ソラサポ出荷割合
クラピアS1
クラピアS1は、3品種の中で最も成長が早い品種(※)です。
白い花をたくさん咲かせます。
日本古来の在来種の改良品種です。
(※)K5、S1、S2を同条件で植栽した場合
クラピアS2
クラピアS2は、濃い紫の花をたくさんつけるのが特徴です。
成長速度はクラピアS1と比べるとやや遅くなります。
在来種とヒメイワダレソウの改良品種です。
K5・S1・S2の違い
これまで紹介した3種類を比較すると、次のようになります。
特性/品種 | S1 | S2 | K5 |
---|---|---|---|
花の数 | 多い | 多い | 少ない |
開花期間 | 4月〜9月 | 4月〜9月 | 4月〜9月 |
繁殖力(成長スピード) | 早い | 早い | 普通 |
耐寒性(緑の期間) | 普通 | 普通 | やや長い |
特に気温は重要です。クラピアは最低気温が15度ないと成長しません。
例えば、日本では基本的に冬枯れするクラピアも、カリフォルニア州では常緑です。
新品種クラピアK7(2019年出荷開始予定)
2018年よりクラピアの新品種「K7」が公共事業向けに発売されました。
2018年4月現在はまだ一般の方向けには販売されておりません。
新品種K7について詳しく解説した記事を公開しましたのでぜひご覧ください。
1-4.リッピア(ヒメイワダレソウ)などの類似品との違い
ヒメイワダレソウは南米や東南アジア原産の植物で、日本に持ち込まれた「外来種」です。
クラピアは「1-1.クラピアの特徴」で記載した通り、日本古来の在来種「イワダレソウ」を品種改良された植物ですので、外来種ではありません。
クラピアは種をつけないように品種改良をされていますがヒメイワダレソウは種をつけます。
そのため、種を飛ばして周囲の生態系を崩す恐れがあります。
庭などに植栽すると、隣の家に種が飛んで迷惑をかけてしまう可能性があります。
ヒメイワダレソウは農林水産省から「重点対策外来種」に指定されている迷惑植物となっています。
そのため、公共事業などでは使用ができないものです。
クラピアは類似品では納品時の密度の差があります。
次の写真はクラピアとリピアの納品時の違いです。
クラピアが大切に育てられて出荷されているのがわかります。
次の写真は横から撮影したものです。
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根の密度を見ても、全然違うことがわかります。
リピアはクラピアに比べて、非常に安価で販売されています。
そのため、どうしてもかけることができる手間が限られますので、十分に根が張る前に出荷されています。
ホームセンターなどで販売されているリッピア
クラピアは株分けで栽培されていますので、根付きがよく、9月に植えつけても越冬できる可能性が高いです。
しかしリピアは挿し芽で栽培している場合が多いので写真の通り根が少ないです。
そのため、9月に植えつけをすると根付かず、越冬できない可能性が高いです。
1-5.グランドカバーで一番有名な芝生との違い
よくお庭のグランドカバーをクラピアと芝生で迷われている方がいらっしゃいます。
大きな違いは繁殖力と管理性です。
①繁殖力:クラピアは芝生と比べて10倍以上早く成長します。
②管理性:芝生は月1回以上(時期によっては2週間に一度)刈り込みが必要ですが、クラピアは年1、2回の刈り込みで問題ありません。
そのため、クラピアは「芝生の代わりのグランドカバープランツ」と言われています。
1-6.クラピアの評判を生の声でご紹介
実際に購入した方の生の声が気になるかと思います。
ソラサポに寄せられたお客様の声をご紹介します。
K様 お庭に植栽
その話をしたところクラピアを教えてもらい2ケース植えることになりました。
庭が南向きで日当たりが良いこともあり、順調に育っています。
毎日、クラピアの上を歩いているので背も高くなりません。満足しています。
S様 お庭に植栽
さっそくご相談したところ、植栽シートの併用で総費用を抑え少しずつクラピアを増やしていくという工事のご提案をいただけました。
植物が好きなので、クラピアの世話も楽しめています。
K・T様 太陽光発電所に植栽
除草の手間がほとんどなくなり助かりました。
綺麗に咲いた花を眺めるのも楽しいですね。
クラピアを植栽して本当によかったです。
1-7.クラピアを植えられた方の交流サイトで実際の写真や感想を見てみよう!
クラピアや芝生などのグランドカバープランツや、お庭づくりの交流サイトをオープンしました。
サイト名:『わたしのお庭』
URL : https://midoris.life
実際に植えられた方の写真や感想を見ることができます。
2.クラピアのメリット
クラピアを導入することで、あなたにどのようなメリットがあるのか気になると思います。
この章では、クラピアの9つのメリットを紹介します。
2-1.密に広がるから他の雑草を抑制できる
クラピアは写真の通り、葉っぱ同士が密になり広がります。
密に広がることで、他の雑草が土について発芽することを抑制できます。
刈り込みや人の足で踏圧すると葉っぱが小さく育ち、さらに密に広がって雑草対策の効果を向上することができます。
2-2.早いスピードで成長する
クラピアの特徴の一つに「驚異的な成長スピード」があります。
写真の実験では、60日で36倍の大きさになりました。
クラピアの成長に影響を与える要因はたくさんありますが、一定条件下では驚異的な成長力を発揮します。
2-3.多年草なので、寿命が長い
クラピアの成長に影響を与える要因は以下の通りです。
・日光
・水
・栄養(土の栄養も含む)
この3つが主な生命力の源となります。
これを満たせば半永久的にクラピアを楽しむことができるでしょう。
2-4.緑の絨毯で地表温度を下げる
クラピアを導入する頃で、アスファルトや砂利に比べて地表温度を格段に低下させることができます。
真夏はアスファルトや砂利は地表温度が70度以上になりますが、クラピアは40度程度に抑えることができます。
お庭に導入すれば夏場でも火傷することなく遊ぶことができます。
2-5.可愛い花が咲き、緑と花を楽しめる
クラピアには可愛い花が咲きます。
写真をご覧ください。
5月から9月にかけて花が咲いて、緑の絨毯に鮮やかさと彩りを演出してくれます。
植栽時に複数の品種を植えることで花の色のグラデーションも楽しめます。
2-6.種がないので、増えすぎた時の管理もしやすい
クラピアは種をつけないように品種改良をされています。
そのため風でどこかに種を飛ばしてそこで増殖して生態系を乱す可能性も低くなります。
仮に伸び過ぎてしまった場合も、除草剤や矮化剤(植物の生長を抑制する薬剤)でも管理ができます。
このように、人間がコントロールできる範囲で成長してくれる植物という点で非常に管理が楽です。
2-7.地盤保護、土壌流出防止に役立つ
クラピアは地中1m程度まで根を密に張ります。
公共事業では、法面の地盤保護や土壌流出防止のために導入されている場所もあります。
2-8.育てやすい!
これまでの本章を読んでいただければクラピアが管理が比較的楽で育てやすいことがわかると思います。
お花などは手入れが大変なイメージがあるかと思いますが、今まで植物に一切興味がなかった男性のお客様からもお喜びの声をいただいてます。
2-9.他のグランドカバープランツと比べて管理の手間が少ない
クラピアのメンテナンスは年1、2回の刈り込み程度ですので、芝生などに比べて非常に楽です。
刈り込むことで、葉っぱが密になり綺麗に育つので、お庭などに植えられた方は頻繁に刈り込みをされます。

刈り込みをすれば葉っぱが密になり、クラピアの密度が上がります。
密になれば、景観が良くなるとともに他の雑草の種が土まで届きにくくなるので、雑草対策効果が向上します。
そのため、年1,2回の刈り込みをしましょう。
3.クラピアのデメリットと対処方法
この章ではクラピアのデメリットについて記載します。
中には事前に対策をすれば回避できるものもありますので、ぜひご覧ください。
3-1.病気になったら迅速な処置をしましょう
クラピアは生き物なので、他の植物と同様に病気にかかることがあります。
特に水はけが悪い土地だと、蒸れて病気になりやすくなります。
病気になった場合は、その部分を刈り取るといった対処法があります。
またその際には販売店に相談してみてください。
そのため、病気になったからといって完全にダメになるということではありませんので安心してください。
クラピアの病気について詳しく記載した記事がありますので、ぜひご覧ください。
3-2.成長スピードが早いので越境しないように管理をする必要がある
クラピアは1年間で数十倍に成長しますので、敷地を覆った後はある程度管理が必要です。
お隣の土地に侵入したりしないように何かしらの対処が必要です。
この写真は「畦シート」を利用して物理的にクラピアが隣地にいかないように対策をしてあります。
他にも対策として以下のようなものがあります。
・敷地境界にクラピアの根が張れない防草シートを敷いて、それ以上繁茂させないようにする。
・定期的にカットや刈り込みをして管理をする。
3-3.類似品のヒメイワダレソウやリッピアと比べて高価
クラピアが1ポットで500円(税別)なのに対してヒメイワダレソウやリッピアは1ポット100円〜200円(税別)程度で購入できます。
価格だけ比較すると高く感じますが、「1-4.類似品との違い」でご紹介したように、葉の密度や生育管理、出荷基準が全く異なりますので、総合的にご検討いただければ良いでしょう。
ただし、ヒメイワダレソウは、農水省からいわゆる迷惑植物に指定された植物です。
一番大きな違いとしては、クラピアは種をつけませんが、ヒメイワダレソウは種をつけて飛ばします。
隣地や周辺環境にとって迷惑な植物になってしまう危険性がありますので注意してください。
3-4.クラピアに向かない場所・環境がある
グランドカバープランツにはそれぞれ向き・不向きな環境があります。
日向を好むものもあれば、日陰を好むものもあります。
クラピアにも不向きな場所・環境がありますので記載します。
・光があまりあたらない場所(北向きの法面や常に影になる場所)
・土の深さが30cm未満の場所(根詰まりしてしまうため)
・マイナス5度以下になる地域(北海道など)
・雑草が生い茂ったままでの植栽
・隣地にツル・ツタが旺盛な土地
・極端に硬い地質の土地
・土質が粘土質の場所
このようば場所ではクラピアがうまく育たず導入しても失敗する可能性があります。
事前にあなたが検討している場所はクラピアを植えても問題ないかを確認しましょう。
3-5.冬の時期は冬枯れして緑ではない(常緑ではない)
クラピアは常緑ではありません。
冬になると冬枯れをします。
冬枯れをしても、また春になり暖かくなれば緑色に戻ります。
クラピアは季節によって様々な顔を見せます。
4.写真で見るクラピアの用途
この章では、様々な場所に使われているクラピアを紹介します。
4-1.おうちの庭
クラピアの代表的な用途の一つであるお庭です。
お庭の場合、日々の生活でクラピアの上を歩くことになります。
クラピアは踏まれると葉も背たけも小さく綺麗になっていくため、生活導線上では刈り込みが不要です。
そのため、芝生より管理が楽で、可愛い小さな花が咲くことで、近年急速に普及しています。
4-2.公共の場所(公共事業)
(画像引用元:株式会社グリーンプロデュース 施工事例)
クラピアは様々な公共の場所で使用されています。
高速道路の路肩の雑草対策や、法面の土壌保護、市役所の緑化などなど、いろいろな場所で見かけるようになりました。
4-3.太陽光発電所
まずは画像をご覧ください。
雑草対策にクラピアと植栽シートを採用している太陽光発電所の写真です。
1枚目の画像から3枚目の画像までの期間は1年半ほどです。
たった数株のクラピアがあっという間に広がる様子がお分りいただけたでしょうか。
太陽光発電所の天敵は雑草です。
雑草対策としてクラピアを導入することで、雑草を抑制できることに加え、地表温度が下がって発電効率向上が期待できます。
また、太陽光発電設備は殺風景になりがちですが、クラピアの美しい緑で中和できます。
4-4.駐車場
(画像引用元:株式会社グリーンプロデュース 施工事例)
駐車場でクラピアを活用した写真です。
クラピアは人が踏んでも全く問題ありませんが、車が毎日出入りする駐車場では擦り切れて薄くなってしまいます。
そのため、駐車場で利用する場合は写真の通りブロックと併用して運用するのがポイントです。
4-5.ドッグラン
クラピアはドッグランとしても活用することができます。
写真は太陽光発電所兼ドッグランとして運用されている事例です。
ワンちゃんは夏場に地面が熱いと肉球がヤケドしてしまいます。
クラピアにすることで、夏場でも元気に走り回って遊ぶことができます。
クラピアはワンちゃんが食べてしまっても問題ありません。(美味しくはありません。)
5.クラピアはどこで販売されているの?
クラピアは主に通販で販売されています。
ホームセンターなどでは販売されていません。
また、某フリマアプリで類似品がクラピアとして売られていたり、違法増殖して株分け販売している場合がありますのでご注意ください。
ミドリスでも通販サイトで販売しておりますので、気になる方はご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
クラピアの特徴やメリットなど様々なことがご理解いただけましたか。
クラピアを失敗しないための一番の秘訣は「クラピアをよく知って、愛情を持って育てること。」です。
この記事では、まずはクラピアという植物そのものの特徴を記載しました。
次に理解しておくべきことは植え方や育て方です。
導入前にクラピアの知識を蓄えてやるべきこととやってはいけないことを把握すれば成功率が飛躍的に向上します。
ご検討中の方はこちらの記事もお役に立てるはずです。
さぁ、次のステップに進みましょう!
植え方や育て方のマニュアル
クラピアの植え方や育て方に関する記事です。
広い面積で検討されている方はこちらの記事をご覧ください。
お庭で検討されている方はこちらの記事をご覧ください。
クラピアの植栽に適した時期はこちらの記事をご覧ください。
クラピア植栽後の育て方(管理方法)はこちらの記事をご覧ください。
クラピアのよくある質問とその回答
品種・生態・特徴に関するよくある質問
植え方・育て方に関するよくある質問
病気・管理に関するよくある質問
販売・価格・その他に関するよくある質問
クラピアの産地訪問インタビュー記事
クラピアの総生産元であるグリーンプロデュースさんへの取材記録です。
あなたのお庭や敷地がクラピアによる美しい緑の絨毯になって、雑草のわずらわしさから解放されますように!